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母からの「話があるんだけど」(622文字)




ちょっと話があるんだけど時間つくってくれる?


母から突然こんな連絡がくると、よぎるのは両親の別居か離婚。


いよい来たか~。



子どものころから両親は何かにつけ喧嘩勃発。
何をするにもバトル。
当時は弟と押し入れに入って耳をふさいだり、布団をかぶったり。
「離婚しちゃったらどっちについていこう」
遠く聞こえる怒鳴り声をかすかに聞き、考えていた。


「ついに離婚?」
いまとなれば本人たちが納得してきめたことなら何にも問題はない。

「なんでやの!お父さんと仲良くやってるわ!」




一見対極にある両親。
なぜこの二人が?
なぜそうまでして一緒にいる?

疑問でしかなかったけれど、
やっとわかったのは「二人はそっくり」だということ。



喧嘩は本人たちなりの懸命なコミュニケーション。
痴話げんかであり、ぶつかり稽古。
不器用同士の愛情表現。


結婚当初、私も【喧嘩コミュニケーション】はするもんだ、思いこんでいた。そのため夫に体当たりしまくり。
けれどどうにもこれは非効率だと、
省エネで生きたい私はとっととシフトチェンジし、今に至る。





昨日は両親の結婚記念日。
40年近く一緒にいる二人はもはや兄弟か親子のよう。
結局なんだかんだとなかよしで、おでかけしたときの嬉しそうなツーショットがときどき送られてくる。


「お母さんといたいけど、お父さん一人ではやっていけなさそう。
お父さん一人はかわいそうだから、お父さんについていこう」


大人になって話しをすると、弟も全く同じ考えだったらしい。
子どもはいつだって親想い。




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