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柿の木のある家

10年前の写真をRAW現像した。写真でもわかるように朽ち果てた曲がり屋が冬を乗り越え、夏を迎えるまでの流れを写真におさめた。

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癌で亡くなった伯父さんの家。小さい頃は囲炉裏の周りで遊んだり、薪のお風呂を沸かしたりした思い出がある。曲がり屋の前方部分は潰れて平らになっているのが写真からもわかる。住む人がいなくなったことなど知らないかのように柿の木が立っている。

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潰れた屋根を横から写した写真。伯父さんが亡くなってから数年経つが、曲がり屋の屋根は原型をとどめないくらいに壊れてしまっている。

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伯父さんが軽トラを停めていた車庫。曲がり屋ほどではないが、こちらも雪の重さに耐えきれず全体的に曲がってしまっている。

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曲がり屋は雪下ろしする人がいないため雪が積もり放題になっている。こちらは南側のせいか真ん中から二手に分かれて積もっているのが珍しい。

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会津と言えば身しらず柿が有名だが、この柿の木は身しらず柿ではないようだ。伯父さんが生きていたころは秋に収穫して、冬にかけて干し柿にしていたのを思い出す。干し柿でも完全に渋みが抜けておらず、食べると口の中に渋みがでてくる、そんな柿だった。

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この年は雪が多かったのか少なかったのか、もう覚えていないが、おそらくそれほど雪の多い年ではなかったのかもしれない(とは言っても都会の人からすれば多いだろうが)。

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ここが玄関になるが雪が積もっていて中に入ろうとは思わない。柱についているオレンジ色のものは農機具メーカー「クボタ愛用者」のプレート。記念に取っておけば好かったと思う。

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囲炉裏から茅葺屋根へ流れていって蓄積された煙が、10年以上も経ったいまでも、屋根からのつららに茶色い色をつけてくれる

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真正面に見える山。ここは奥会津なので空が180度あるような盆地ではなく、せいぜい140度くらいあるかないかだと思う。そのせいか日の出は遅く日の入りも早い感じがする。

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夏になって曲がり屋を一周してみると、家の後ろ側の台所の下に、なにやら丸みのおびた石ころが重ねられていた。なんのためだかわからなかったが、父に聞いたところ漬物石だろうとのこと。

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夏になって潰れた曲がり屋からはうっそうと草が生い茂っていた。この辺が囲炉裏だったな、などと写真を撮っていても感慨深いものがあった。

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誰が植えたのか曲がり屋の前に花が咲いていた。曲がり屋の前方部分が完全に潰れているのがわかる。故人を思い返しながら手を合わせた。

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父が育てていた花。名前など知らないが、これを見ると隣の曲がり屋の前に咲いていた花は父が植えたものだと思った。潰れた曲がり屋は既に解体されてしまって今はもう雑草の生えた空き地になっている。


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