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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
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#アメリカ

note60: ニューヨーク(2011.9.11)

【連載小説 60/100】 ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ国際空港に到着した。 入国審査を終えて荷物を受け取り、カフェに入ってこのレポートを入力しているのだが、おそらく通常より張り詰めた空気が空港内に流れていることに間違いない。 初めて降り立つ空港だから以前の記憶などなく、比較できるはずもないのだが、そう感じるのには訳がある。 現在時刻は9/10の午後16:50だが、時差がサマータイムで13時間あるから日本は翌午前5:50で既に日付が9/11に変わっている。 そ

note61: ニューヨーク(2011.9.13)

【連載小説 61/100】 闇の中から未来に光を見いだそうとする。 国家や民族、イデオロギーを超えて人類には共通する再生力があると信じたい。 「9.11」を精算し、いかなる21世紀を創造していくのかはアメリカだけの課題ではなく、国際社会、いやこの星に生きる全ての民に与えられた試練なのだと思う。 「自由の女神」が建つリバティアイランドからワールドトレードセンター跡地のあるマンハッタンを眺めながら、僕は改めて“21世紀”の意味を考えている。 あの日、新たな百年紀はスタート

note62: ニューヨーク(2011.9.15)

【連載小説 62/100】 以前に「Uncle Tom(トムおじさん)」と呼ばれる日本人の友人を紹介したことがある。 そう、世界を舞台に活動する某匿名機関のネゴシエイターで、僕にとっては貴重な情報人脈のひとり。 彼の勧めもあって僕は1回目の「Dice Free」システムを利用してミャンマーを訪れた。※[note26]に記した。 そんなUncle Tomから昨日メールが届いた。 折り入って話をしたいことがあるから、ニューヨーク滞在中に会えないか?というのである。 「21

note63: ニューヨーク(2011.9.17)

【連載小説 63/100】 僕が博物館好きであることは以前にも触れたことがある。 [note16]でシンガポールでのミュージアム巡りをレポートしたこともあったが、今回の旅ではその他にもマカオ・マニラ・プノンペン・バガン・イスタンブール・ジュネーヴなどで各国を代表する博物館を訪ねてきた。 そんなミュージアムマニアの僕にとってマンハッタンは極めて魅力的なエリアである。 セントラルパークの周囲だけでも10カ所近い博物館と美術館が点在し、既に幾つかを訪ねたが、その中でも最も気に

note65: ニューヨーク(2011.9.21)

【連載小説 65/100】 昨日・今日とホテルの部屋に籠って、たまっていた仕事を集中してこなした。 電子書籍の編集作業、某旅行誌の東南アジア企画構成プラン、ネットニュース向けのコラムが3本、といった内容だ。 世界一周の旅は他の仕事を放り出して出かけたのではなく、レギュラーの仕事はネットワークを通じて継続して引き受けているから、時に集中作業の日を設けている。 旅立つ前は周囲に迷惑をかけないか多少の心配もあったが、僕の仕事の殆どはひとりで構想を練ってテキストを打ち込む作業だ

note66: ニューヨーク(2011.9.23)

【連載小説 66/100】 「アメリカの今後と国際社会のポリティカルバランスのキーになるのは日本だよ」 待ち合わせたウォールストリートのカフェで、直接会うのは1年以上ぶりになるUncle-Tomが開口一番そう切り出した。 前回のレポートで僕が触れた内容を受けて、国際的に活動するネゴシエイターとしての考え方を披露してくれたのである。 彼の話を要約すると以下のようになる。 今、国際社会におけるアメリカの力は極めて弱くなっている。 冷戦終結以降「一極支配」とまで言われた

note67: ニューヨーク(2011.9.25)

【連載小説 67/100】 次の訪問地が決まった。 >>>>> Dice Roll ⑭/2011.9.23-20:00<<<<< NewYork→Miami 【マイアミ Miami】 USA2番目の訪問地はフロリダ州南端に位置する観光地マイアミ。 世界有数のビーチリゾートに9/30から10日間滞在していただきます。 宿泊は人気スポットのマイアミビーチとキーウエストに5泊ずつホテルを確保させていただきますので、アプリを通じてお好みのホテルをお知らせください。 マイア

note68: ニューヨーク(2011.9.27)

【連載小説 68/100】 異国を旅してこそ見えてくる“日本”がある。 昨夜は「SUGO6」アプリのレストラン情報でチェックしておいたタイムズスクエアにある寿司屋を訪ねた。 若い世代にこんな話をすると意外に思われるのかもしれないが「SUSHI」という日本の食文化が外交上果たしてきた役割は大きい。 今でこそ、ニューヨークに限らず世界中いたる都市で寿司屋やSUSHIバーを見かけることができるが、以前はそうではなかった。 おそらく20年くらい前までは「ローフィッシュ(生魚

note69: ニューヨーク(2011.9.30)

【連載小説 69/100】 20日間滞在したニューヨークのラストナイトはどこで過ごそうかと考えて昨夜はエンパイア・ステート・ビルディングを訪れた。 このビルの86階にある屋外展望台からは、窓越しではなく直接ニューヨークの街を360度で眺めることができるのだ。 「SUGO6」の旅では香港やシンガポール、ドバイで摩天楼の夜景を見てきたが、さすがは800万人を抱える米国最大の「眠らない街」だけあって格が違う。 眼下に広がる光の海はビジネス、文化、ファッション、エンターテインメ

note70: マイアミ(2011.10.3)

【連載小説 70/100】 マイアミの空と海はどこまでも青く、ビーチで過ごす人々の表情は皆明るい。 アメリカ屈指のリゾートということでハワイと比較されることの多いフロリダだが、米国東部に暮らす人にとっては圧倒的にフロリダの方が身近なバカンス地のようだ。 ハワイに触れたのは他でもない。 トラベルライターとしての僕のキャリア上ハワイは欠かせない場所なのだ。 1994年に独立してフリーランスになった僕が最初に足繁く通ったのがポリネシアやミクロネシアの島々でハワイは創作活動の

note71: マイアミ(2011.10.5)

【連載小説 71/100】 「“マイアミバイス”ってTV番組があったのを覚えてる?」 とUncle-Tom。 1980年代にヒットした刑事ドラマのことはよく覚えている。 マイアミ警察特捜課に所属するふたりの刑事が犯罪組織と闘うでシリーズで、主人公の着こなすアルマーニのスーツやビルボードチャートのヒット曲とのタイアップが話題となり日本でも人気の番組だった。 確か数年前には映画版も公開されたはずだ。 実はあの番組がその後のマイアミ観光に果たした役割は非常に大きかったと彼は言

note72: マイアミ(2011.10.7)

【連載小説 72/100】 スティーブ・ジョブズの訃報をアメリカで聞くことになるとは予想もしていなかった。 「iPhone4S」のニュースをいつものようにワクワクしながらネット上で見て「帰国後は買い替えかな…」と考えていたところに悲しいニュースが飛び込んできた。 僕がiPhoneとMacBookAirを持って世界一周の旅を続けていることは、何度もこのレポートで取り上げてきたのでご存知の通り。 これらに加えてiPad2も持っていればジョブズは喜んでくれただろうが、僕が日

note73: キーウエスト(2011.10.9)

【連載小説 73/100】 アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(1899年- 1961年)。 つい先日ノーベル文学賞が発表され、残念ながら今年も村上春樹は受賞を逃したが、歴代のノーベル賞作家で日本人に最も知名度が高いのは間違いなくヘミングウェイだろう。 没後50周年ということもあって、雑誌で特集が組まれたり研究書が発刊されたりして、新たなブームが起きていると聞く。 多分、その作品を読んだことがない人でも、その髭面と強い眼光、カジュアルなファションを着こなすダンディな男を

note77: ロスアンゼルス(2011.10.25)

【連載小説 77/100】 半月ぶりにアメリカに戻って感じるのは、この国は常に挑戦し続ける“チャレンジ”の国だということ。 グローバル社会における相対的な弱体化はありながらも、やはり世界を動かす覇権国であることは間違いなく、そのポジションをキープしているのは建国以来遺伝子的に持つポジティブなチャレンジ精神なのだと思う。 たとえば環境(エコロジー)に対するLA(ロスアンゼルス)の取り組み。 3日前、バンクーバーからロサンゼルス国際空港に到着して知ったのだが、この近代的な空