見出し画像

note67: ニューヨーク(2011.9.25)

【連載小説 67/100】

次の訪問地が決まった。

>>>>> Dice Roll ⑭/2011.9.23-20:00<<<<<

NewYork→Miami
【マイアミ Miami】

USA2番目の訪問地はフロリダ州南端に位置する観光地マイアミ。
世界有数のビーチリゾートに9/30から10日間滞在していただきます。

宿泊は人気スポットのマイアミビーチとキーウエストに5泊ずつホテルを確保させていただきますので、アプリを通じてお好みのホテルをお知らせください。

マイアミ国際空港とJFケネディ空港間は就航エアライン及び便数にゆとりがありますので、前々日までに希望フライト時間をお知らせいただければ予約させていただきます。

>>>>>SUGO6 Support Desk<<<<<

ということで、久しぶりの「dice」の目は「1」。

一度は訪れてみたいと思っていた、あのヘミングウェイゆかりの地を目指すことになった。

そういえば「SUGO6」の旅でビーチリゾートは初めてである。
フロリダはこれからがベストシーズンらしいから、陽光の下でのんびりバカンスを過ごすことにしよう。

さて、フロリダといえば2005年に大きな被害をもたらしたハリケーンの「カトリーナ」が記憶に新しいが、昨夜も会っていたUncle-Tomが今回ウォールストリートまでやってきたビジネスの中身を聞いて驚いた。

なんと気象や天候に関わる金融商品に関する調査報告に来たというのである。

彼が関わっているのは「天候デリバティブ」もしくは「気象デリバティブ」と呼ばれる金融派生商品で、簡単に説明すると「気象現象によって発生する企業リスクをヘッジ(回避)する金融商品」となる。

これだけでは意味がわかりにくいだろうから、もう少し細かく説明しよう。

世の中にはハリケーンや台風、豪雨、降雪といった気象現象とそれに伴う気温や湿度変化に左右されるビジネスが多数存在する。

収穫量が収入に直結する農業・漁業が最もわかりやすい例だが、商品市場においても冷夏だとビールの売り上げが落ちるとか、暖冬だとストーブが売れないといった間接的被害が存在する。

旅行・観光産業も同様で、ビーチリゾートで天候が荒れると客足は遠のき、スキーリゾートでも度を超えた豪雪となれば施設が稼働しないといったリスクが様々に存在する。

そこで生まれてくるのがリスクをスワップ(交換)しようとする発想だ。

夏に暑ければ儲かる産業と涼しければ儲かる産業が共にリスクヘッジ(損失が出た場合の補償)のデリバティブ(金融商品)を事前に購入し、気温が高くても低くても損失を被った側には補償金が払われ、利益の出た側は購入したオプション(権利)を掛け捨て的に負担するという仕組みになっているそうだ。

日本国内だけでも数百億円規模の市場があり、購入者にとっては損害保険的な存在でもあるが、損害発生の有無に関係なく売買が成立する金融派生商品で、Uncle-Tomのビジネスは損害額を計算するのではなく、事前に設定された気温や降水量、日照時間などの数値を世界レベルで調査するところにあるらしい。

世の中には面白いビジネスがあるものである。

ところで、彼が僕に何か相談があると言っていた中身を聞くと

「たとえるなら“風評リスクヘッジ”に関わるビジネス案件があって頼みたいことがあるんだけど、次週ゆっくり説明する」という。

なんと、今週末で仕事を一段落させて休暇を取るつもりだったから、僕の次なるデスティネーションであるマイアミまで来るというのだ。

彼の役に立てるか否かは別にして、また面白い話が聞けそうだ。


>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年9月25日にアップされたものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?