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あとできくやつ

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#小説

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※試聴版です。オリジナル版(33:15)は購入後に視聴できます。

今回お迎えするエキスパートは、作家の李琴峰さんです。2017年、『独り舞』で群像新人文学賞を受賞してデビュー。今年2021年『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞受賞。そして先ごろ、『彼岸花が咲く島』で165回芥川賞を受賞されました。今回はその作品、文藝春秋、『彼岸花が咲く島』を基に伺って参ります。

“出てくる人や起こった出来事を私が断罪しない。”藤野可織『来世の記憶』を語る。

“出てくる人や起こった出来事を私が断罪しない。”藤野可織『来世の記憶』を語る。



これまでに書きしたためた20編の物語を集めた

藤野可織およそ3年ぶりの短編集、『来世の記憶』(KADOKAWA)。

2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞。

13年『爪と目』で第149回芥川龍之介賞。

そして14年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞を受賞するなど

活躍を続ける藤野可織。

その最新作『来世の記憶』にあるのは“静か”で“ちょっと不思議”な物語たち。

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“いっぱい色んなものを隠し、埋め、漂わせた物語”高山羽根子『首里の馬』を語る。

“いっぱい色んなものを隠し、埋め、漂わせた物語”高山羽根子『首里の馬』を語る。



2009年「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作。

2016年「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞受賞。

そして今年2020年『首里の馬』(新潮社)で第163回芥川賞受賞。

沖縄の古い資料館で様々な記録の整理をする。

オンラインでクイズを出題するオペレーター。

それが主人公の仕事。

台風が近づくある夜、幻の宮古馬が庭に迷い込んできた・・・

どんなものでも記録は残して

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“座右の言葉は、読者の期待に応えない。”森見登美彦が語る『四畳半タイムマシンブルース』。



森見登美彦の代表作『四畳半神話大系』。

上田誠率いる劇団ヨーロッパ企画の代表作「サマータイムマシンブルース」。

二つの名作が“悪魔の合体”して誕生したのが

『四畳半タイムマシンブルース』(KADOKAWA)。

表紙は、森見作品には欠かせない中村佑介が飾る。

舞台は夏の四畳半アパート「下鴨幽水荘」。

『四畳半神話体系』のあの面々の前にタイムマシンがやってきた!

そう、あの“もっさり

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“主人公は私に似ている。”遠野遥『破局』を語る。

“主人公は私に似ている。”遠野遥『破局』を語る。



昨年11月、『改良』でデビュー。

今年7月、『破局』で第163回芥川賞受賞。

遠野遥。

本の帯にはこうある。

“いびつなキャンパスライフ”

“新時代の虚無”

本人は言う。

「そんなにいびつ、虚無だとは思わない。そんなに変ですか?」

重ねて言う。

「主人公の陽介は僕に似ている・・・」

28歳の鬼才が紡ぐ物語の舞台は自身の出身校、慶応大学でもある。

その物語はどのように書かれ

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“主人公が推しに捧げる姿勢は私が小説を書く時と似ている。”宇佐見りんが語る『推し、燃ゆ』。

“主人公が推しに捧げる姿勢は私が小説を書く時と似ている。”宇佐見りんが語る『推し、燃ゆ』。



現在大学生。

2019年、『かか』で第56回文藝賞、第33回三島由紀夫賞を受賞。

2021年、『推し、燃ゆ』で第164回芥川賞を受賞。

若き俊英、宇佐見りん。

生きづらい社会の中で困難さを抱えながら生きる主人公、

あかりが推す男性アイドル、真幸がファンを殴って炎上した。

その事件から物語は始まる。

いつしか当たり前に使うようになっていた“推し”という言葉。

物語の中には「推しは

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“小説は世界に不都合な言葉をかける最後の場所・・・”朝井リョウが語る『正欲』。

“小説は世界に不都合な言葉をかける最後の場所・・・”朝井リョウが語る『正欲』。



あなたはこの物語に共感するのか?

それとも目を背けるのか・・・

朝井リョウ最新刊『正欲』(新潮社)。

曰く「簡単には言い表せない」物語。

そこに描かれているのこの社会の流れに“水を差す”物語。

あなたの中にはどんな欲があり、

どんな感情があるのか?

多様性が合言葉のように使われるこの時代、社会の中で

そこからこぼれ落ちる、そしてそのしんがりとなる人々に向けて

どんな想像力を働

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“生きることを肯定する思想にしか共感できない。”平野啓一郎か語る『本心』。

“生きることを肯定する思想にしか共感できない。”平野啓一郎か語る『本心』。



『マチネの終わりに』『ある男』が国内はもとより海外でも大きな反響を呼ぶなど

世界を舞台に活躍を続けている。

平野啓一郎。

その最新刊『本心』(文藝春秋)

舞台は2040年代。近未来の日本。

「母を作って欲しいんです。」

不穏で謎めいた言葉から始まるこの物語。

そのテーマは、自由死、格差。

「VF(バーチャルフィギュア)。お母さんのような存在を仮想空間にVFで作ってもらう・・」

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