よく見てごらん、本当にそうなってる?
6歳の頃、ひまわりを描いた。
よくできたと思って、母に見せると、
「よく見てごらん。本当にそうなってる?」
と言われた。
自分の描いたひまわりと、植木鉢のひまわりを見て……ハッとした。
目からウロコという言葉がピッタリくるような感覚で、ひまわりという花を、そのまま見た。
粒々とした茶色の種がいくつも中心から渦巻きのように密集していた。
私はこれまで保育園などで見たのか、向日葵といったら、◯に♯を描きたしたような向日葵の絵を見てきたので、“向日葵はこう描くものだ”と思い込んでいたのである。
たしかに、違う。
爆睡している母の隣で、一人黙々と向日葵を描いた。
見える通りに。
なぜこのエピソードを思い出したかというと、今日行った喫茶店の壁に掛かっていたカレンダーの言葉に目が止まったからだ。
「どうして星は色んな形があるのに☆と描くの?」
小さな子どもが星を◯と描いたら、先生が「星は☆と描くんだよ」と直した。すると子どもが不思議そうに言った言葉……と、小さく解説が書かれていた。
星はこう描くんだよ
ひまわりはこう描くんだよ
“◯◯はこういうものだよ”
こうやって無意識のうちにモノの見方が作られていってるのかもしれない。
先生だって、何気ない言葉だったかもしれない。
だから、私もそういう事を言ってないかちょっと怖い。
どうして、そう描いたの?
どうして、そう思ったの?
ちゃんと、その子に聞いてみないと分からないし、たまに、自分の当たり前を「本当に?」と、考えないといけない気がした。
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