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手紙のかわりに本を贈る



大事な人が
一人で泣いていた。


心が辛くて
理由もわからず
涙が出るという。



何と言えば良いか、言葉に詰まる。

嫌なことあった?
それとも、寂しくて?



…分からない。
嫌なことはされてないの。
寂しい、のかなぁ。
職場で、なぜか悲しくなって
一人で泣いてしまった…。

彼女の答えに、自分にもわからない涙があるのかと、沈黙する。


普段、弱さを見せない人が言うってことは、
結構、しんどいのかもしれない。


母が、以前こう言った。

「あんたには、分からないよ。身内を亡くした人の寂しさは、同じ経験をした人じゃないと、分からないよ」


そうなんだろう。
私は、まだ経験してない寂しさ。

きっと私が下手な慰めをするより、専門家にケアしてもらう方が、いいのだろうとも思う。


けど、私だって、伝えたいことはある。



だから、その気持ちを
本に込めて、贈ることにした。

贈りたい本を探して本屋をしばらく歩くと、パッとタイトルが目に飛び込んできた。


『きみのそばに いるよ』

作・絵 いぬい さえこ

見本が置いてあり、パラパラと中身を読んだ。

涙が出そうになった。

私が伝えたい言葉がそこにあったから。

……いままで ずっと
がんばって きたんだね。

好きなページを音読してみた。


絵本の最後のページに3行ほどメッセージが書けるスペースがあった。


こんなのは、夜書いて、読み返さず
さっさと送るのが、良いと思う。



恥ずかしくなるから。


どうか、心がホッとする時間になりますように。


P.S.》

彼女から返信が来た。

“生きてみようと思った!”

そっかぁ。
良かった…ぁ🤲


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