春風亭昇りん

落語家。春風亭昇太一門。山形県出身。実家はりんご農家。美術、本、体験したこと書いてます。

春風亭昇りん

落語家。春風亭昇太一門。山形県出身。実家はりんご農家。美術、本、体験したこと書いてます。

マガジン

  • 落語家としての日常

    落語家として起きた身の回りのおはなし。

  • みたものきいたもの

    プライベートで行った美術館やらなんやら。 その体験を書いてます。

最近の記事

人生の三分の一は睡眠です

人生の三分の一は睡眠だよであるとか、大谷がすげえ寝具にこだわってるらしいよとか、やたらと最近睡眠の情報が入ってきます。 僕は若い頃から、けっこうどこでも眠れるタイプで、寝つきが悪いとかすぐ目覚めるだとか、そんな悩みとは無縁でした。ところが、30を過ぎて様々なストレスが溜まっているのか、それとも使っている布団がびっくりするぐらいせんべい布団のせいなのか分かりませんが、眠りが浅くなってきました。 7時間しっかり寝ても、なんだか寝た感じがしないんです。腰や肩も痛いし、やっぱり布団

    • 立川晴の輔師匠

      僕は、笑点にチラッと出演している。 もう一度言うが、チラッとである。 というのも落語家として、笑点のアシスタントをやっているからである。 アシスタントとは、収録の前説や師匠方の着付けなどの裏方業務、また収録では、 「山田さーん、例のものを持ってきてくださーい」 と言われれば、山田さんと一緒に例のものを運んでいくのだ。青い着物を着ており、その時にチラッとうつりこんでいるというわけだ。 そして本日、笑点の新メンバーが立川晴の輔師匠に決まった。 新メンバー発表のときは本当

      • レインボー

        いい仕事というものがある。 お金であったり、その会に出ることがその人の評価をあげるものであったり、その「いい仕事」の意味合いはさまざまではあるが、今回ご紹介するのは待遇の良いという意味での「いい仕事」である。 先輩である春風亭橋蔵兄さんからいただいたお仕事で、その名は新小岩落語会。名前の通り、新小岩で落語をやるわけなのだが、その場所が特徴的である。サウナ&カプセルホテルのレインボーの一室で落語会を行うのだ。 こちらの施設は男性専用で、基本的にサウナ目当てのおじさまばかり

        • ルート9フェス2024

          ルート9フェス2024が無事に終わりました。たくさんのご来場感謝しかありません。行けなかったけど、「いつも応援してるよ」という方もありがとうございます。 ルート9知らない方は詳しくはこちら。 ざっくり言えば落語・講談の9人組のユニットです。(今から何人か芸人の名前を当たり前のように出しますが、一応読めると思います。) 毎年この時期にルート9フェスと題して、大きな会場でやるのですが、今回はレベルアップしました。今までになかった文京シビックホールで昼夜公演。 また、ゲストで

        人生の三分の一は睡眠です

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        • 落語家としての日常
          9本
        • みたものきいたもの
          19本

        記事

          噺家が聞いたハナシ-さくらんぼの実染めの着物-

          山形での仕事の合間に、着物の展示会へ寄った。たまたま入ったのだが、ふとした出会いがあった。 それは、さくらんぼの実染めの着物である。 着物において草木染めというものは、草木であればなんでも染めることができるらしい。だが、色落ちが激しいものが多く、なかなか商品になりづらいのだ。紅花や藍染は有名だが、さくらんぼの実染めは聞いたことがない。その珍しさもさることながら、反物自体も魅力的で、すぐに購入したのだった。 着物が届き、袖を通したが、やはり良い。 鏡を見ながら「いいね〜」

          噺家が聞いたハナシ-さくらんぼの実染めの着物-

          くるま

          「君は運転できるの?」 師匠である春風亭昇太が僕に聞いてきた。 「免許はあるんですが、免許を取ったその日からハンドルを握ってません。」 「なんだそりゃ。」 そんな会話をした。 僕の地元である山形は車社会。どこに行くのでも車がなくては不便で仕方がない。親に言われ、高校卒業後すぐに取ったのだが、大学進学で上京し、それ以来運転していない。東京で生活してると、こんなところで運転できるわけないと絶望する。 「山形ではできるだろ。」 と続けて師匠に聞かれたが、もう運転すら怖

          ルート9フェス2024in花座

          1月6日,7日に仙台の花座さんで行われた落語会『ルート9 フェス2024in花座』が無事に終わりました。 ルート9 とは、落語家・講談師の9人組のユニットですが、詳しくはサイトをご覧ください。 見ていただいた方が早いと思うので。 ルート9は普段、都内で活動をしていますが、花座さんにもお世話になっており、月一で『ルート9shuffle』という落語会をひらいていただいておりました。メンバー入れ替わりの3人づつの落語会だったんですが、今回は9人全員が集合する公演でした(晴太兄さ

          ルート9フェス2024in花座

          落語家が落語について書いたっていいじゃないか

          年末年始は暇です。 まあ、基本的には仕事をとらないようにしているのもありますが。 時間がたっぷりあるので、年末年始は落語についていろいろ考えました。それについて、まとめていこうかと思います。 でも、落語家が落語について書くというのは、あんまりないです。楽屋で起きたこと、師匠のことはありますが、肝心の落語はあまりない。 なぜか? だって角が立つから。 落語家が十人いたら、十人それぞれの考えがあります。それに、こういう落語について書くのは「野暮だよ兄ちゃん」案件です。 

          落語家が落語について書いたっていいじゃないか

          りんご農家を継がなかった落語家の農業体験記【落ち葉編】

          山形は寒暖差が激しいなんてことは知っていたが、それにしたって温度差がある。 普段は8時30分頃に目覚めるが、実家の山形にいると、早寝早起きになる。やはり、両親が寝るのが早いということもあるし、東京と違って、外は真っ黒である。夜一人でテレビを見ていると、世界にたった一人取り残されたようなポツンと感が半端ないので、早く寝てしまうのだ。 だいたい7時過ぎに起きる。健康的な生活だ。ただ、朝起きると寒い。布団の中にからだ半分入れながら、窓の外を見みると、霧に覆われている。都内ではまず

          りんご農家を継がなかった落語家の農業体験記【落ち葉編】

          祭りのあと〜独演会を終えて〜

          独演会が無事に終わりました。 先日、都内で初めての独演会ということで、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。自主開催ということで、準備は全て自分。 まあ、はっきり言って大変でした。 なにが大変かと言われれば、これ。 動員 です。 とにかくこれです。 独演会というのは、やはり落語家にとってのバロメーターの一つだと言っていいでしょう。自分の力でどれだけのお客さんを呼ぶことができるのか、そして満足させることができるのか。 そして、小さいところから、徐々にキャ

          祭りのあと〜独演会を終えて〜

          落語家のこだわり−紅花染めの着物−

          着物は商売道具だし、衣装だし、そりゃ好きなものを着たい。だいたいの落語家がそうだと思う。 やっぱり、お気に入りの着物を着たらテンションが上がるし、いろいろと凝り出してくる。 少し前だが、りんごの紋をつくった。 このへんは、意外と落語は自由である。基本的には一門の師匠の紋であったり、実家の紋なのだが、好きなものだっていい。僕は実家がりんご農家だから、りんごの紋である。師匠だって、クラゲのようにフラフラ生きたいということで、クラゲの紋である。 また僕は、山形出身。 山形は紅

          落語家のこだわり−紅花染めの着物−

          りんご農家を継がなかった落語家の農業体験記【師匠に贈る初めてのりんご】

          「りんごは贈らなくていいからな。」 師匠、春風亭昇太に入門して、はじめに言われた言葉である。 僕の実家はりんご農家である。 改めて書くが、りんごのりんで昇りんという。 師匠は全国の知り合いからいろんなものをいただくのだが、その中にりんごも入っている。しかも師匠は当時独身で、ひとりでたくさんは食べきれないということで、りんごは送らなくていいとなったのだ。 そんな師匠から、さまざまな言葉を今みでにいただいてきた。 その中で師匠がよく言う言葉がある。 「独演会はやっとけ

          りんご農家を継がなかった落語家の農業体験記【師匠に贈る初めてのりんご】

          粋(いき)

          ようやく秋がはじまりやがった。 多少乱暴ではあるが、こう言ってもいいだろう。何をしていたのだ秋は。 「来週も暑いですよ」の連続で、もういい分かったから!と言いたくなるものであった。 過ぎていく時間は早いが、不思議と振り返ると、夏のことが昔に感じてしまう。 夏もいろんな仕事をしたが、その中で少し変わった仕事もあった。 文部科学省で仕事をしたのだ。 なかなかないことである。文部科学省が主催で、文部科学省の建物の中で行う『こども見学デー』というイベントがあったのだ。 浮世

          の、ついでに美術館【老舗酒造「出羽桜」が運営している美術館】

          成人式(今は二十歳を祝う会と言うらしい)の挨拶のため、地元山形へ帰ってきた。 いつもは落語をやって笑ってもらうわけだが、今日は違う。二十歳のみんなに真面目な挨拶。多少、笑いどころはつくるが、メインはそこではない。いかにして、二十歳のみんなの心に突き刺すことを言えるか。 それを考えすぎたため、多少強気で攻めすぎたのはいなめない。気づいたらこんな事言ってた。 「18歳の頃、僕はこの町が好きじゃなかった」 いなめない、、、 もちろん、これはフリ部分で町が好きになった経緯を話す

          の、ついでに美術館【老舗酒造「出羽桜」が運営している美術館】

          の、ついでに美術館【蔵王の老舗旅館が運営している美術館②】

          さて、貸し切り状態で始まった美術館であったが、品揃えがめちゃくちゃ良いのだ。 さらに、江戸時代に使われていた煙草入れに印籠(薬入れ)があったが、どれも素敵なものだった。説明によると、 とのことである。 山形にどうしてこれだけの品があるのだろうか。はっきり言って、なめてました。 ごんなさい、、、 こちらの美術館はタカミヤホテルグループが運営している。タカミヤホテルグループというのは、県内でホテル・旅館を経営しているところで、創業が1716年という引くほどの老舗なのである

          の、ついでに美術館【蔵王の老舗旅館が運営している美術館②】

          の、ついでに美術館【蔵王の老舗旅館が運営する美術館①】

          成人式で挨拶の、ついでに美術館へ行ってきた。 普段から落語家として、全国さまざまな場所へ行く。交通費もいただけるので、そのついでにいろんな場所に行けるというのが、落語家としての特権なのだ。嬉しいね。 というわけで、今回は成人式(今は二十歳を祝う会と言うらしい)の挨拶の依頼があり、地元山形に来た。山形では、お盆で上京している人たちも帰りやすいということで夏に成人式を行うらしい。 朝が早いため、前乗りした僕は今回は美術館へ行こうと決めていた。もともと美術館にはよく行っていたの

          の、ついでに美術館【蔵王の老舗旅館が運営する美術館①】