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りんご農家を継がなかった落語家の農業体験記【落ち葉編】

山形は寒暖差が激しいなんてことは知っていたが、それにしたって温度差がある。

普段は8時30分頃に目覚めるが、実家の山形にいると、早寝早起きになる。やはり、両親が寝るのが早いということもあるし、東京と違って、外は真っ黒である。夜一人でテレビを見ていると、世界にたった一人取り残されたようなポツンと感が半端ないので、早く寝てしまうのだ。
だいたい7時過ぎに起きる。健康的な生活だ。ただ、朝起きると寒い。布団の中にからだ半分入れながら、窓の外を見みると、霧に覆われている。都内ではまずないなあと思いながら、布団から出る。山形にいるときは、だいたい朝食を食べながら、朝ドラを観る(今のブギウギ面白い)。
そのあと落語の稽古でもしようと思うと、父から声がかかった。

「出かけるぞ」

前日に、旧柏倉家住宅に行くぞと言われていたのだ。旧柏倉家住宅というのは、僕のふるさとにある国の重要文化財で、古くからあるお屋敷である。詳しくはこちら↓

今日は、いつもは見られない前蔵が見られるということ。旧柏倉家住宅は今は町で管理しているのだが、その前は柏倉家の方々が住宅として利用していたので、地元の人たちはよく中に入っていた。僕も入ったことがあるのだが、その前蔵は僕も父も見たことがなかった。

実家から歩いて5分ほどで、とても近い。

外へ出ると、町はまだ霧に覆われている。

何度も中に入ったことがあり、ここで落語会もやったことがあるのだが、行くとその都度また新しい発見というものがある。見たこともない前蔵も見る。そして、素敵な庭があるのだが、秋ということもあり、よりきれいである。

柏倉家の裏のほうに行けば、自然豊かだ。

30分ほど堪能したあと、柏倉家を出た。だが、家に帰る道すがら父が立ち止まった。
「落ち葉がたくさん落ちてるなあ」

父も秋を感じているのだろうか。

「掃くぞ」

「え?」

一旦家に帰り、着替えて竹箒を持って、道を掃くことになった。まさかの急な手伝いである。

実家の近くに岡千手観音というところがある。実家ではそこの管理を行なっており、御朱印もやっている。観音様へ行く道に落ち葉が多いということで掃くことになったのだ。

てなわけで、こんなかっこう。

普段は扇子と手ぬぐいを持つ僕が、久しぶりに竹箒を持った。
何事もやってみないと分からないことというのはたくさんあるもんで、掃くと新しい発見がある。落ち葉を掃くと秋の匂いがするのだ。
急にポエムっぽくなってしまうのだが、これは事実である。落ち葉というのは、秋の匂いなのだ。掃いて集めることによって、より匂いは強調される。どんな匂いなんだというのは、文字では難しいけど。
秋の匂いを感じながら、落ち葉を掃くのも意外と楽しいなあと思う。だが、思った以上に落ち葉は多い。掃いても掃いてもまだまだある。しばらくしていると飽きている自分がいた。しかも、いつの間にか霧は晴れて、日がさして暑くなり、汗ばんできた。寒暖差がすごい。
というか、なんで秋になると葉っぱって落ちるんだっけ。学校でも習ったし、なんとなく分かっているが、でもなんだっけ。そんなことを思いながら、落ち葉を掃き終わった。

ビフォー
アフター。
分かりづらいが頑張りました。


これだけ落ち葉があると、焼き芋をしたくなる。だが、スーパーで買う焼き芋を知ってしまった僕からしたら、ここからの焼き芋はしんどい。芋もないし。
家に着き、そのあとは稽古をしたり、ダラダラと過ごした。夜、風呂から上がると夕食のしたくができていた。山形名物の芋煮であった。

家族団欒で食べました。

秋だぜ。

そして、ビール。

ほろ酔いになり、また慣れない手伝いで疲れているのかすぐに眠くなる。その日は昼間が暖かかったおかげで、夜は思ったよりは寒くなかった。

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