ルート9フェス2024
ルート9フェス2024が無事に終わりました。たくさんのご来場感謝しかありません。行けなかったけど、「いつも応援してるよ」という方もありがとうございます。
ルート9知らない方は詳しくはこちら。
ざっくり言えば落語・講談の9人組のユニットです。(今から何人か芸人の名前を当たり前のように出しますが、一応読めると思います。)
毎年この時期にルート9フェスと題して、大きな会場でやるのですが、今回はレベルアップしました。今までになかった文京シビックホールで昼夜公演。
また、ゲストでは人間国宝である神田松鯉先生、五街道雲助師匠に太神楽の小助・小時兄さんに出演していただきました。
僕は昼の部のトリに上がり、大きなキャパで自分のつくった好きな新作をやるというのはとても気持ちの良いものでした。
終われば完全に抜け殻状態。
夜の部はチケット引き換えの受付をやりましたが、頭がボーッとして計算できない。どっと疲れがでてくる。
夜の部も盛況に終わり、終わったのが22時前。さあ、これから打ち上げだ!と思ったんですが、その日は東京ドームでアイドルのライブがあったらしくどこの店もいっぱい。しかも我々は人数が多い。
打ち上げは行きたい人だけで行くことに。何人か帰り、ファミレスは空いてるだろうと思い行ってみるが、そこもいっぱい。
「よし、解散しよう」
水道橋、後楽園あたりはどこもダメだ。
残念ながら諦めるしかないのか。
すると昇がこう言った。
「本郷三丁目まで行ったら空いてそうだね」
おお、そうか。
だが、それに対して花金兄さんが、
「けっこう歩くよ。坂道だし。」
否定的である。そんな花金兄さんに僕はこう言ったのだ。
「おれは行くよ。」
物語であれば、登場人物の心が一つになる大事な場面で、大事な台詞である。
もう一度書いておこう。僕は言ったのだ。
「おれは行くよ。」
かくして、意地でも酒を呑みたい数人の決死隊は歩き出したのだ。やはり、皆この気持ちの昂りに酒を浴びせたいのだ。なんだかんだ花金兄さんもついてくる。桜子姉さんに関しては、酒は呑めないけど、いろいろ話したいのだろう。講談で使う釈台が入った重たいキャリーケースを押して一緒についてくる。1日はたらき、疲れ、そして長い坂道を上っていく。果てしたい道のりであった。まさかこの時間にこんなに息を切らし汗をかくとは。
坂を上がりきりしばらく歩くと、あかりが灯った看板が見えてきた。
やった!
みんなで疲れも忘れ、喜び勇んで駆け寄る。
準備中
日曜の22時過ぎは、早めに閉じているお店も多い。
あっちに明かりが!!
「すみません、ラストオーダー終わっちゃいました。」
あっちにも!
準備中
あっちにも!
あっちにも!
まるで砂漠の蜃気楼である。幻影を追いかけ、近づけば消え、近づけば消えの繰り返しである。
「やってねえんならさっさと看板消せ!」
疲れのせいか、わけのわからないクレーマー状態になっている。もう疲れた。ダメなのか。
「おーーい!」
遠くから弁橋兄さんの声が聞こえる。
何か言ってるぞ。なんて言ってるんだが分からない。
もういいよ。
どうせやってないんだ。
どうせ。
「この店やってるぞー!」
こんなに嬉しかったことはない。もう皆が諦めかけていたなかで見つけた灯火。
その店の名は『加賀屋』
なんとも雰囲気の良いお店である。
「ラストオーダー22時30分までですがよろしいですか?」
ラストまで20分だったが、もうそんなものは関係ない。欲しいものを注文していき、生ビールが届く。
「お疲れ様でした!かんぱーい!」
こんなに美味かったビールはいつぶりだろう。心が高揚していくのが自分でも分かる。そこから出てくる出てくる料理が全て美味しい。
たまらん。
わずか1時間弱ではあったが、仲間と労いながら、呑んで食べて呑んで呑んで食べて食べてと最高であった。
気持ちが高揚したまま電車に乗り、自宅へ着いた。ふと、Xを見ると昇咲さんがこうポストしていた。
おい!昇咲!
なんか呑んでた俺たちが馬鹿みたいじゃないか!!
僕の高揚した気持ちが幻影となって消えた。