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月星真夜(つきぼしまよ)
2024年10月8日 06:22
その日、ウサギとカメは広々とした原っぱをゆっくりと巡っていた。澄んだ空気をひと息吸い込むたびに、自然と足取りはゆるやかになっていく。やさしく肌を包む陽射しの中、二人は静かに秋の訪れを感じていた。「見て! コスモスがあんなにたくさん咲いてる!」ウサギは声を弾ませると、まるで風に乗るように一気に駆け出していった。「今がちょうど見頃だね」カメは少し時間をかけて、ようやくウサギの隣に立ち、咲き誇る
2024年9月17日 06:36
その日、ウサギとカメは下北沢の古着屋を訪れていた。ウサギは「そろそろ長袖が欲しいの」と呟きながら、鏡の前で自分の姿を確認しては、眉をひそめたり、口元に微笑みを浮かべたりしていた。ウサギは、買ったばかりのシャツを抱え、浮かれた気分で街へ飛び出した。軽やかな足取りの彼女は、ふと、風に揺れる案内表示に目を留め、自然と足を止めた。「ムーンアートナイトって何かしら?」彼女は眉を寄せ、まるで秘密を探
2024年8月29日 06:25
「急に賑やかな場所に来ちゃったわね。さっきまでいた昭和記念公園とは別世界だわ」ウサギはふと立ち止まり、下北沢の街を見渡した。目の前に広がる細道は、それぞれの世界に夢中になっている人々で賑わっていた。そのエネルギーに溶け込むように、ウサギとカメはそっと足を踏み出した。「さっき見たひまわり畑は、本当にきれいだったなぁ。あんなに元気で眩しかったなんて、もう絶対に忘れられないわ」と、ウサギは遠い
2024年6月23日 06:50
その日、下北沢の真ん中でウサギはとてもご機嫌だった。シャツの入った袋を胸にしっかりと抱きしめると、宝物を手に入れたような幸福感に浸りながら、周囲の視線を気にすることもなく、その場で一回転して飛び跳ねた。「この街を歩くと、どういうわけか古着が欲しくなるの」と彼女は言った。笑顔を振りまきながら歩いていたウサギは、ふと足を止めた。「シーズンメニューあじさい?」ウサギは少し首を傾げて写真に近づ