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南の島のお部屋

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#日本最南端

南風に吹かれる時間

南風に吹かれる時間

ウサギは『Moon Rize』で選び抜いたネックレスで日焼けした首元を飾り、満足そうに微笑んでいた。しかし、ふと空腹を思い出し、顔を曇らせた。彼女の隣にいたカメが、「もう少しだけ、歩けるかな?」と優しく手を差し伸べた。

「大丈夫だと思うわ」と頷いたウサギは、彼の手を借りて立ち上がった。彼の手は冬の日差しのように温かった。ウサギとカメが歩く道は冬の太陽に柔らかく照らされており、程なくして、二人は沖

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Moon Rizeの魔法

Moon Rizeの魔法

図書館を後にしたウサギは、柔らかな日差しの中で深く息を吸い込んだ。彼女は大きく伸びをしながら「うーん」と思わず口に出していた。「海で泳いで、本に触れて、心も体も満たされたけれど、お腹だけは空っぽね。」

カメは彼女の横でゆっくりと頷いた。「そうだね、早く食べる場所を見つけよう」そう言うと、いつもより少しだけ早い足取りで歩き出した。 しかし、ほどなくしてウサギは足を止めた。「ちょっと待って!」彼女の

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日本最南端の図書館

日本最南端の図書館

ブルーの海に囲まれた南の島で、ウサギとカメはサンゴ礁や熱帯魚との出会いに心を躍らせていた。海を後にした二人は、温かな日差しを背にして車で南へ向かった。冬とは思えない暖かさに包まれ、二人は海の風を感じながら、海人の半袖シャツを選んでいた。

石垣市街地に着いたウサギとカメは、ビーチサンダルを履きながら、のんびりと街を散策し始めた。二人の目に飛び込んできたのは、交差点の脇にある、青く「730」と書かれ

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二人だけの海

二人だけの海

波照間島で過ごした星空の夜は、ウサギとカメにとって時間が止まるような体験だった。目を閉じれば今でも、瞼の裏には満天の星があざやかに蘇る。

翌朝は波が穏やかになり、ウサギとカメは波照間島から石垣島へ向かう船の中にいた。ウサギは「泡波」という珍しい泡盛を愛おしそうに抱えていて、「波照間といえば、これがなくちゃね」と、どこか遠い世界を思い浮かべるようにつぶやいた。

石垣島に到着した二人は、車で島を北

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もっとも星が見える島

もっとも星が見える島

寒さから逃れたウサギとカメは、南ぬ島石垣空港へ足を踏み入れた。朝早くの空の旅にウサギの瞼は重く、細い指で目をこすりながらも、島の暖かさに心を開いた。「ああ、暖かい…」彼女の声は、重ね着のコートを脱ぎながら、小さな喜びに満ちていた。その姿を見てカメは静かに微笑んだ。「やっと楽園に着いたね」

カメはウサギに、さらに遠い島への冒険を提案した。「この島よりも、もっと遠くへ…」彼女は彼への信頼を胸に秘め、

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