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南風に吹かれる時間

ウサギは『Moon Rize』で選び抜いたネックレスで日焼けした首元を飾り、満足そうに微笑んでいた。しかし、ふと空腹を思い出し、顔を曇らせた。彼女の隣にいたカメが、「もう少しだけ、歩けるかな?」と優しく手を差し伸べた。

「大丈夫だと思うわ」と頷いたウサギは、彼の手を借りて立ち上がった。彼の手は冬の日差しのように温かった。ウサギとカメが歩く道は冬の太陽に柔らかく照らされており、程なくして、二人は沖縄料理のお店「南風」にたどり着いた。

古い木枠のガラスドアを押して店内に入ったウサギは、カウンターに並ぶ泡盛の瓶を眺めながら、「このお店、ぱいかじって読むのね」と呟いた。カメは少しだけ遠い目で、「ここは初めて石垣島に来た時に見つけたんだ。その時は、ぱいかじと読めなかった」とぼんやりと語った。

マンゴージュースで乾杯し、今日という一日に感謝をすると、二人は海ぶどうのプチプチとした食感や、コラーゲンたっぷりのテビチをゆっくりと楽しんだ。ラフテーの深い味わいに心奪われ、流れゆく時間は二人を置き去りにした。

「ここに居て安らげるのは気温のせいだけではないわね。心を温める何かが、この島にはある気がするの」南国の自然の優しさや人の優しさを感じながら、ウサギは言葉少なく、カメの横顔を見つめていた。


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