Suzuki Junpei

仙台で精神科医、産業医、労働衛生コンサルタントをしています。 仕事に関して、自分で振り…

Suzuki Junpei

仙台で精神科医、産業医、労働衛生コンサルタントをしています。 仕事に関して、自分で振り返る形で文章にまとめています。何かご意見ありましたら教えてください。

最近の記事

「異動が必要」の診断書は有効か

 精神疾患で休職し、回復した際の復職時に「異動が必要」と記された診断書を時折見かけます。主治医主導で異動しなければならない、という場面はあまり想定できませんから、労働者が主治医に訴えた結果、このような文言が入った診断書となるのだと思います。  このような診断書は有効でしょうか?  私が産業医をしている企業では、特殊な経緯を除けば、すぐに対応してくれることはまずありません。特殊な経緯とは、何らかのハラスメントなど、職場の要因が明確になっている場合です。また、身体的な疾患では

    • ストレスチェック面談

       今シーズンもストレスチェック面談のシーズンがほぼ終了しました。私が産業医をしている企業の方々は秋にストレスチェックをすることが多いです。これは秋に行事が立て込んでいないということが主要因かもしれません。  どの企業にも高ストレスの方がいらっしゃる反面、産業医面談の希望者数は企業によってかなり異なります。普段から、産業医として顔を出していなければ面接希望者数は少ないと思いますが、私はそうではありません。衛生委員会や職場巡視、産業医講話等で、顔を売っている(?)のです。これは

      • 有名人への道?

         とある契約企業さんでコロナ禍で対面でのメンタルヘルス研修ができなくなりました。昨年度はなし崩しに中止となったのですが、さすがに今年は何かしなければ、ということになり、しかし一同に会しての研修はできません。  その企業では、産業医である私が各地を回ってその地域の人を集めて行うという研修形式なのですが、回数は限られますので隣県からも参加者を集い、大人数での研修になっていたのです。研修中に集団で密になる他に大勢の社員の移動のリスクも伴います。  私としてはe-learning

        • ストレスチェック

           夏~秋のこの時期にストレスチェックを行う企業が多いようです。ストレスチェックは年に一回行わなければいけないので、春や冬などは避け、比較的落ち着いている夏から秋が多いのでしょう。  このストレスチェックで「高ストレス者」と判定されるのは、だいたい全体の1割くらいなのですが、その「高ストレス者」の方で、面談を希望する方が医師(だいたいは産業医)との面談になります。  高ストレス=病気、ではありません。高ストレスの状態を放置したり、間違った対応をしてしまうと病気の状態になって

        「異動が必要」の診断書は有効か

          ISO45001 で産業医も監査されました

           産業医業務を行っていると、嘱託であっても、当然ですが責任が発生します。また、経営層から意見を求められることもあります。しかし、今回は外部の方から監査されるという初めての経験でした。  ISO45001は労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格なのですが、産業保健スタッフもインタビューされます。そうなると当然、産業医にその役目が回ってきます。  私がインタビューされた企業は安全衛生体制がしっかりされている事業所で特に問題がないはずなのです。それなのに私がダメダメだと事業

          ISO45001 で産業医も監査されました

          ワクチン予約でドタバタのその後

           知的障害のある方の代わりに(苦労して)ワクチンの予約をとりました。ワクチン接種の付き添いは他の方にお願いするつもりでいたのですが、「毒を食わば皿まで」という言葉の通り(?)ワクチン接種に同行してきました。  大規模接種会場だったのですが、次はこっち、次はこっちとスピーディーな対応で助かります。途中、トイレで脱線しても全く問題ありませんでした。ネット予約の際に誕生日入力を繰り返し行ったにもかかわらず、問診票作成の際になって前日が誕生日だったことに気づき、思わず「昨日誕生日だ

          ワクチン予約でドタバタのその後

          産業医視点での復職判断

           精神疾患で休職していた方が復職する際、産業医がいる企業であれば産業医面談を経て復職することが一般的です。稀ですが、「メンタルのことはわからないから」などといって面談しない産業医もいるとは聞いたことがありますが、通常はあり得ません。  休職している労働者にとって、産業医面談は一つの「関門」なのかもしれません。しかし、産業医が意図的に復職させないようにする、ということは無く、むしろ復職後までサポートする立場なのです(そうでなければいけません)。  また、「復職判断」と書きま

          産業医視点での復職判断

          復職後の処遇をめぐって 2

           今回は「精神科医側」からの視点です。  うつ病などの治療をうけている患者さんは、特別な事情が無い限りは復職しても治療を継続します。医療機関の立地や診療日などで通院できなくなることはあるとしても、一般的には同じ医療機関で通院、治療を継続することになります。  復職した患者さんはコミュニケーションの範囲が増えます。復職前は家族と医療機関くらいしか話す機会がなかった人が、復職後は職場のいろいろな方と話す必要が出てきます。このため疲労感を感じる人も多いのです。  他にも仕事上

          復職後の処遇をめぐって 2

          ウェブでのメンタルヘルス研修

           某契約企業様で毎年行っているメンタルヘルス研修を、このご時世ですから、ウェブで研修会を開くことになりました。  対面とウェブと何が違うのか?話す内容や資料には特に違いがありません。アニメーション満載のプレゼンにはならない、という程度。グループディスカッションなどは設定できませんから、座学のみとなります。  つまり、えんえんと数十分(今回は90分)、私が一方的に話すのみ。時々、ワークとして、数分の作業を行ってもらうくらいです。  話す内容は、毎年の研修ですでにネタ切れ状

          ウェブでのメンタルヘルス研修

          ワクチン予約でドタバタ

          知的障害のある方から頼まれ予約に挑戦。 優先接種者のみ予約可の時期ですら、まったくサイトに入れず、入れた頃にはすでに遅し。キャンセルがないかたびたびチェックしても、とても遠くて行けないところしか空き無し。 日を改めチャレンジし惨敗。予約を取ってくれるはずのコールセンターは「話を聞きます、頑張って予約取ってね」しか言ってくれなかったけれど、今回は全くつながりもせず。 「持病があるけれど自己防衛可能な人」よりも「自己防衛が十分にできない人」こそ優先接種させるべきと思うのだけれ

          ワクチン予約でドタバタ

          復職後の処遇をめぐって 1

           私は精神科医の仕事、産業医の仕事の他に、その企業の産業医でなくても労働者の対応について相談を受ける、という相談の仕事もしています。企業によって、産業保健をどの程度熱心に行っているかという問題でもあるのですが、産業医にすべてを任すのもよし、精神面の問題は専門医に任すのもよしですので、これ自体は企業の考え方でよいと思っています。  ですが、その「相談業務」となるとやや異なる対応を求められることもあります。その一つが、精神疾患で休職中の社員について、この社員を職場はどのように扱

          復職後の処遇をめぐって 1

          精神科医としての仕事

           産業医を精神科医の両方の肩書で仕事をしています。そのうち、精神科医としての仕事についての紹介です。  精神科医を経て産業医としての仕事に取り組む人はあまり多くありませんがいらっしゃいます。私の周囲ではほとんどお見掛けしませんが、首都圏とか他地域の方ですと多いのかもしれませんね。そういった先輩方は産業医だけでなく、精神科医として臨床も大事、と仰いますので精神科医としての仕事も続けています。両方を同時に続けているところがウリですから。  もっとも、そういった先生方の言うこと

          精神科医としての仕事

          職域接種

           私は複数の企業で嘱託産業医をしていますが、お伺いしている企業独自で職域接種をしているところはありません。職域接種は1000人以上のワクチン接種を要求されており、産業医も常勤で必要とされる規模になるため、中小規模の事業所では困難だからです。検討した企業はありましたが、人数やマンパワーの問題から断念しています。しかし、その過程で、企業の社員に対する考え方がありありとわかる場面もあり、複雑な気持ちになります。  ある企業では、私は本社ではなく、地方の工場が担当です。本社から実験

          ご挨拶

          はじめまして。私は宮城県で産業医、精神科医、労働衛生コンサルタントをしております。 産業医業務は数社を嘱託で掛け持ちしておりますが、一応、事務所を開いているのと、事務所のホームページを作成したこともあり、ブログのかわりとして書かせて頂いています。事務所のホームページはまだできたばかりで、情報らしい情報は無いのですが、今後、精神科医の視点から見た産業保健について情報をお伝えできればと思っています。今後ともよろしくお願いします。