精神科医としての仕事

 産業医を精神科医の両方の肩書で仕事をしています。そのうち、精神科医としての仕事についての紹介です。

 精神科医を経て産業医としての仕事に取り組む人はあまり多くありませんがいらっしゃいます。私の周囲ではほとんどお見掛けしませんが、首都圏とか他地域の方ですと多いのかもしれませんね。そういった先輩方は産業医だけでなく、精神科医として臨床も大事、と仰いますので精神科医としての仕事も続けています。両方を同時に続けているところがウリですから。

 もっとも、そういった先生方の言うことが間違っているということは全然ありません。精神科としての疾患や薬剤の知識は臨床をしていないとどんどん過去のものとなってしまいます。産業医面談で、こういった薬を服用しています、と言われた時に、何それ?と言うわけにはいきませんからね。

 同じ立場の先生方がどのくらい臨床をされているのかはわかりませんが、私は精神科の病院で週1.5日の仕事をしています。その他に、入院設備がある「病院」なので当直もありです。私は当直の時は、何も無くてもあまり眠れない体質なので、体力的にかなりきつく感じることもあります。当直の他はひたすら外来です。長くやっているので患者さんも多く、診察時間の間はほぼ途切れることなく診察です。

 産業医の仕事とどっちが楽か?と聞かれることがあります。楽か楽でないか、ということではないですが、精神科医の仕事の方が疲れます。理由は、外来の場合、来院する患者さんの数をコントロールできないからです。産業医は緊急対応を除けば、面談スケジュールを組めますし、面談以外の別な仕事とのバランスもとれます。もちろん、臨床の現場で患者さんが自由に来院できるフリーアクセスは医療の現場では必要なのですが、積んであるカルテ(いまだに紙カルテです。その分、患者さんの顔をみて話せます。)を見て、時間を調整して、でも、不調の様子が目立つ人には時間を割かないと、などと考えるのは、なかなか骨の折れる仕事です。毎日外来をされているクリニックなどの先生は、よく続けられるなと尊敬します。

 産業医の仕事の方が、一人ひとり時間をとって話を聞けます。どちらの仕事も話を聞く仕事で一長一短あります。今のところ、疲れたなあ、辞めたいなあと思うことも時にはありますが、なんとか続けています。書いていて、当直が無ければもう少し楽かも、と思ってしまいました。当直だけは切りのいい年齢になったら辞退するかもしれません。

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