大洗サーフレジェンドヒストリー 風の来し方、波の行く末。

「この街で最初に波に乗ったのは誰だ?」 茨城県大洗町を舞台に、サーフィンの導入と発展…

大洗サーフレジェンドヒストリー 風の来し方、波の行く末。

「この街で最初に波に乗ったのは誰だ?」 茨城県大洗町を舞台に、サーフィンの導入と発展を紡ぐリサーチプログラム。 この街のレジェンダリーサーファーたちからかつての海を記憶を聞き、次世代に繋いでいく試みです。

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    「この街で最初に波に乗ったのは誰だ?」 茨城県大洗町を舞台に、サーフィンの導入と発展を紡ぐリサーチプログラム。 この街のレジェンダリーサーファーたちからかつての海を記憶を聞き、次世代に繋いでいく試みです。

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Legend2:小野瀬祐一さん(4)

(前回の続き) レジェンダリーボード(倉庫に移動して) ––––この板を小野瀬さんのイトコのお兄さんが使ってたんですか。 小野瀬:使ってたと思うんですよ。ガレー…

Legend2:小野瀬祐一さん(3)

(前回の続き) 阿字ヶ浦から大洗へ小野瀬:その頃の大洗って、サーフィンはあんまり(主流ではなかった)。夏は午後から南風が吹いちゃう。午前中はできるんだけど、自分…

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(前回の続き) 大洗の“free and easy”小野瀬:自分の一世代前には、もう大洗が(サーフスポットの)メインだった。“free and easy”っていうお店が大洗にあったって聞…

Legend2:小野瀬祐一さん(1)

サーフショップウェッジオーナー:小野瀬祐一さん  サーフショップ「ウェッジ」は、大洗町の最北端、那珂川の河口からほど近い場所にある。栃木県の那須岳を源とするこの…

Legend1:坂本清克さん(4)

(前回からの続き) 現在の大洗サーフィン事情––––今と昔で変わったことってありますか。やってる人は当時より増えましたよね。 坂本:(サーファー人口が)増えたね…

Legend1:坂本清克さん(3)

(2020.7.6一部訂正) (前回からの続き) 坂本さんのサーフヒストリー––––坂本さんは大洗から離れたんですか。 坂本:一八のときに神奈川に行った。サーフボードと…

Legend1:坂本清克さん(2)

(前回からの続き) 最初のサーフショップ––––その頃サーフィンで覚えてることはありますか。怖かったとか。 坂本:ボードもチョウロク(=マトモ)じゃないけど、リ…

Legend1:坂本清克さん(1)

(2020.7.6一部訂正) イエローサンズ代表:坂本清克さん サーフショップ「イエローサンズ」は、全長一.五キロの海岸線をもつ大洗サンビーチの最南端にある。あまり観光…

はじめに

 古代ポリネシア人がかつて海と対峙する中で育まれたサーフィンという行為は、大航海時代の最中、イギリスの探検家ジェームス・クックによって「発見」された。この民族の…

Legend2:小野瀬祐一さん(4)

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(前回の続き)

レジェンダリーボード(倉庫に移動して)

––––この板を小野瀬さんのイトコのお兄さんが使ってたんですか。

小野瀬:使ってたと思うんですよ。ガレージの中にあった。だけどもう壊れてたからそのまま置いておいて。

––––貴重ですね。

––––シングルですね。見た目は重そうですね。

小野瀬:素材も重いですよ。長さは二メーターくらいですね。多分大洗のルーツはここだと思うんだ。俺の

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Legend2:小野瀬祐一さん(3)

Legend2:小野瀬祐一さん(3)

(前回の続き)

阿字ヶ浦から大洗へ小野瀬:その頃の大洗って、サーフィンはあんまり(主流ではなかった)。夏は午後から南風が吹いちゃう。午前中はできるんだけど、自分らは南風だと阿字ヶ浦が朝からいいって知ってるから、夏は南風だと阿字ヶ浦。北風だと大洗。北東が吹くと平磯(※現ひたちなか市平磯町の海岸)も出来た。港に囲まれて風の影響もないから。

常連:本当に阿字ヶ浦で出来なくて、大きいときだけ(大洗でや

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Legend2:小野瀬祐一さん(2)

Legend2:小野瀬祐一さん(2)

(前回の続き)

大洗の“free and easy”小野瀬:自分の一世代前には、もう大洗が(サーフスポットの)メインだった。“free and easy”っていうお店が大洗にあったって聞いてるけど、自分もその時代にサーフィンしてなかった。

––––それはサーフショップだったんですか。

小野瀬:そう、メーカー。そこの古い板もうちにもあるんだけど。

––––そこが坂本さん(イエローサンズ代表の

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Legend2:小野瀬祐一さん(1)

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サーフショップウェッジオーナー:小野瀬祐一さん

 サーフショップ「ウェッジ」は、大洗町の最北端、那珂川の河口からほど近い場所にある。栃木県の那須岳を源とするこの川は、今もサケやアユが遡上する関東最後の清流として名高い。そしてこの那珂川の河口に位置する大洗海岸は、毎年Japan Pro Surfing Tourの「I.S.U茨城サーフィンクラシック」が開催される県内随一のサーフスポットでもある。

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Legend1:坂本清克さん(4)

Legend1:坂本清克さん(4)

(前回からの続き)

現在の大洗サーフィン事情––––今と昔で変わったことってありますか。やってる人は当時より増えましたよね。

坂本:(サーファー人口が)増えたね。阿字ヶ浦もそうですけど、ここにも地元でやってる人たちがいて、どっちかっていうと、よそから来る人はその地元の人たちのことをわかって、多少遠慮してやってたんだけど。今はもうその辺がなくなっちゃって。

––––サンビーチとか大きくメジャー

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Legend1:坂本清克さん(3)

Legend1:坂本清克さん(3)

(2020.7.6一部訂正)

(前回からの続き)

坂本さんのサーフヒストリー––––坂本さんは大洗から離れたんですか。

坂本:一八のときに神奈川に行った。サーフボードとかウェットスーツとかやってるとこ。知り合いがその時(神奈川に)行ってて、そこのシェイプしてたんで紹介っていうか。叔父さんがここにいてもしゃあないから、神奈川いけって。就職みたいな感じで。で、神奈川で大きいサーフショップでお店番

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Legend1:坂本清克さん(2)

Legend1:坂本清克さん(2)

(前回からの続き)

最初のサーフショップ––––その頃サーフィンで覚えてることはありますか。怖かったとか。

坂本:ボードもチョウロク(=マトモ)じゃないけど、リーシュコードってあったんだろうけど、ウチら買えなかったし。サーフショップがまず大洗になかった。始めた頃はイシゲさんが、今の那珂湊(ひたちなか市の地名。大洗と橋で隣接する港町)でテナントを借りてサーフショップ始めたんだよね。ワックスとか買

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Legend1:坂本清克さん(1)

Legend1:坂本清克さん(1)

(2020.7.6一部訂正)

イエローサンズ代表:坂本清克さん サーフショップ「イエローサンズ」は、全長一.五キロの海岸線をもつ大洗サンビーチの最南端にある。あまり観光客が立ち寄らないが、サーフスポットとしてはよいエリアだ。「海の子ポイント」といえば、茨城をホームにするサーファーにはなんとなく場所がわかるかもしれない。

 取材に伺った際には、お店の改修工事が行われていた。「こっちに移転して一七

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はじめに

はじめに

 古代ポリネシア人がかつて海と対峙する中で育まれたサーフィンという行為は、大航海時代の最中、イギリスの探検家ジェームス・クックによって「発見」された。この民族の生の様式と密接に関係した行為が遊戯・スポーツとして人口に膾炙するようになるのは、二〇世紀初頭のハワイでのムーブメントを待たなくてはならない。カハナモク家の長男、デューク・カハナモクによって世界中に紹介されることになったスポーツとしてのサーフ

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