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いまの身体活動。これまでの身体活動

📖 文献情報 と 抄録和訳

📕Pucci, V., Guerra, C., Barsi, A., Nucci, M., & Mondini, S. (2023). How long have you exercised in your life? The effect of motor reserve and current physical activity on cognitive performance. Journal of the International Neuropsychological Society, 1-7. https://doi.org/10.1017/S135561772300022X
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※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 高齢化が進む中、認知力や生活の質をいかに維持するかという研究が進められている。多くの研究が、身体活動(physical activity, PA)が高齢者の認知にプラスの影響を与えることを示している。しかし、生涯を通じて行う運動は、高齢期の認知に影響を与える可能性がある。私たちは、加齢に伴う運動能力や認知能力の低下を補う、柔軟でダイナミックな構成要素であるMotor Reserve(MR)の存在を仮定している。

[方法] MR(生涯を通じて行った身体活動)と現在の身体活動(current physical activity, CPA、過去12ヶ月間に行った身体活動)を推定するための2つの質問票を開発し、検証を行った。50歳以上の健常者75名を対象に実施し、認知との関連性を検証した。MRとCPAには、身体運動(すなわち、体力を向上または維持するための構造化された活動)と偶発的なPAが含まれ、ベースライン以上の代謝コストをもたらすあらゆる動き(例:家事、歩行)と考えている。さらに、認知パフォーマンスの信頼できる予測因子であるCognitive Reserve Index質問票(CRI)を用いて、各参加者のCognitive Reserveを測定した。

[結果] サンプル(N = 75)は、50歳から89歳(M = 65.6; SD = 11.7)で、女性の割合が60%であった。

■ 異なる年齢層におけるPAとグローバル認知の関連
・サンプルは年齢に応じて2つのグループに分けられた: 成人(50-64歳、N=37)と高齢者(65-89歳、N=38)である。
・2つのグラフは、2つの年齢層におけるMRI(左側)とCPA(右側)のグローバル認知機能への影響を示している。

■ 重回帰分析によるモデル1
・モデル1は、グローバル認知機能指数の変動の約52%を予測し(R 2 = .52)、3つの予測因子(年齢、CRI、MRI)はすべてモデル内で有意だった(β Age = .95; Adults performed better than Older adults; β CRI = .30, p < .001; β MRI = .28, p = .004).
・MRIは、モデルにおいて単一の予測因子として考慮した場合にも有意であった(R 2 = .25, p < .001)。グローバル認知機能指数に最も影響を与えるMRIqのセクションは、職場活動に関するものであった(R 2 = .22; p < .001)。

■ 重回帰分析によるモデル2
・モデル2は、グローバル認知機能指数の変動の約54%(R 2 = .54, p < .001)を説明し、3つの予測因子はすべてモデル内で有意だった(β 年齢 = .72, p < .001; つまり、成人の方が高齢者よりも成績が良い;β CRI = .30, p < .001;β CPA = .38, p < .001 )。
・CPAは、モデルにおいて単一の予測因子として考慮した場合にも有意であった(R 2 = .38; p < .001)。グローバル認知機能指数に最も影響を与えるCPAqのセクションは、職場活動に関するものであった(R 2 = .35; p < .001)。

[結論] 成人および高齢者集団における認知機能の変動は、MRとCPAの両方によって説明される。PAトレーニングは、新しい予防的介入や既存の介入に有益に取り入れることができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、リクルートのCMでこういうのがあった。

今日も走り続ける
時計は止められない
時間は一方向にしか流れない
後戻りできないマラソンコースだ
ライバルと競い合いながら
時の流れという一本道を
僕らは走り続ける
より早く
一歩でも前に
その先に未来があると信じて
必ずゴールはあると信じて
人生は、マラソンだ。

🌍 参考サイト >>> site.

そのあとにすごい展開があるのだが…
とにかく、人生とはある意味マラソンに近い。
そんな中で、近年巷(ちまた)を賑わせている身体活動量研究は、直近の調査が多い。
過去の客観的調査を後方視的にはできないので仕方がないのだろうが、それにしても、これまで走ってきた道を調査する方法が少なかった。

今回抄読した研究は、まさにその部分に光を当て、評価方法を開発し、調査まで実施した。
MR(Motor Reserve)という概念は、とても重要と感じた。
それは例えば、血糖値とHbA1cの関係に似ている。
同じ方向性の価値を示す、直近の値と、もう少し長尺の過去を示す値。
そのどちらもが、有用だ。
身体活動量という舞台に、また違う役者が登場した。

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