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スポーツ医学研究の主人公は?選手/患者=「生きた専門知識」を巻き込め

📖 文献情報 と 抄録和訳

「生きた専門知識」から学ぶ:スポーツ・運動医学の研究と政策にアスリートと患者を巻き込む

📕Thornton, Jane S., and Dawn Richards. "Learning from ‘lived expertise’: engaging athletes and patients in sport and exercise medicine research and policy." British Journal of Sports Medicine 57.4 (2023): 189-190. http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2022-106190
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※ Connected Papersとは? >>> note.

[レビュー概要]

■ スポーツ医学研究にはアスリートや患者の視点が重要
・スポーツ・運動医学の研究においては、アスリートや患者の視点が重要であり(📕Weissensteiner, 2015 >>> doi.)、研究、政策立案、実施において最も影響を受ける人々の声が、そのプロセスを通じて積極的に取り入れられなければならない
「私たちのことを,私たち抜きに決めないで」‘nothing about us, without us’
・アスリートは「生きた専門知識」を持っており、それはチームの他のメンバーの科学的、医学的専門知識を補完し、同等の重要性を持っている

✅ 障害当事者の間で使われているスローガン
“Nothing About Us Without Us”
私たちのことを,私たち抜きに決めないで

🌍 参考サイト >>> site.

■ スポーツ・運動医学の研究と政策にアスリートや患者を巻き込むヒント
①選手と患者を早期に参加させる:アイデア段階からプロジェクト全体を通して、プロジェクトの実施方法を設定するための委託条件を共同で作成する
②時間と資源を投入する:専任の担当者の予算、選手や患者パートナーの報酬、選手や患者パートナーの参加にかかるすべての経費の負担などが含まれる
③柔軟性であること:アスリート/患者にとって最適な方法と時間を見つける(月曜日から金曜日の午前9時から午後5時とは限らない)
④オープンマインドであること:関与の結果について、選手/患者の話を積極的に聞き、話す。彼らは、あなたが問題を理解し、解決策を見出すのを助けてくれる。彼らはあなたの「なぜ」を知る必要がある。
⑤選手/患者に適切に謝意を表す:論文執筆、学会発表、または彼らにとって有効な他の方法が含まれる
かもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!
踊る大捜査線 青島刑事

さすがBJSM、といったところだろうか。
「事件は研究室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!!」
青島刑事さながら、昨今、『患者中心』『選手中心』の医療が声高に叫ばれている。
そのための評価指標や訪ね方(PRO、PROM、PREM)も明らかにされてきている。

だが、ひとたび臨床研究となると、何をどうすればいいのか分からなくなる。
結局、研究者の一方的な視点による、独りよがりな研究になりやすいかもしれない。
そんなフツフツとした思いを抱いていた臨床研究者に対して、今回の論文だ。
とても短い論文だが、エッセンスが凝縮された珠玉だと思っている。

特に重要だと思ったのは『①選手と患者を早期に参加させる』だ。
どのような研究をして、研究者と選手がどのように関わるのか、そのデザイン段階から選手/患者に舵を握ってもらう。
そのプロセスを踏むことで、選手や患者にとって、その研究がはじめて『私たちのこと』になるのだろうと思う。
示されて合意する、のではなくて、そもそも一緒につくる。
その視点を強めたい。

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