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患者の心の声。患者は医療者をこう見ている

📖 文献情報 と 抄録和訳

整形外科医に対する患者さんのオンラインレビューの分析

📕Berns, Ellis M., et al. "Analysis of Patients' Online Reviews of Orthopaedic Surgeons." JAAOS Global Research & Reviews 6.10 (2022): e22. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9584189/
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[背景・目的] 医師評価サイト(Physician rating websites, PRW)は、患者と外科医の間のインターフェイスとして、ますます人気が高まっている。PRWの人気が高まっているにもかかわらず、整形外科医に対するオンラインレビューに関する指針はほとんど存在しない。我々は、オンライン評価とコメントを分析し、患者の価値観と期待をよりよく理解することで、外科医が臨床ケアとオンラインでの評判を向上させるために、それに応じて診療を調整できるようにした。

[方法] 2006年1月1日から2020年5月18日まで、3つの一般的なPRW(Vitals、HealthGrades、RateMDs)を調査した。定量的評価(1~5つ星)と定性的評価(フリーテキストコメント)の両方について、公開された評価を収集した。コメントは、転帰、性格、スタッフ、手術の腕、診察時間、ベッドサイドマナー、待ち時間、診断、知識、治療、高度医療従事者などのカテゴリーについて、ポジティブまたはネガティブな評価として定性的に集計し、カイ二乗適合度を使って分析した。星評価は、外科医歴、性別、診療環境、PRWで定量的に比較し、カイ二乗独立性検定で比較した。

[結果] 合計で81%の患者コメントが肯定的な評価であることがわかった。

■ 肯定的なコメントがあった領域
・転帰(P < 0.001)、スタッフ(P = 0.001)、手術の腕(P < 0.001)、知識(P = 0.001)に関するコメントがより肯定的であった。

■ 否定的なコメントがあった領域
・ベッドサイドマナー(P < 0.001)、待ち時間(P < 0.001)、診断(P < 0.001)、治療(P < 0.001)、または高度医療従事者(P < 0.001)に関するレビューは、否定的である可能性がより高かった.

外科医の性別は、診療環境(P < 0.001)およびPRW(P < 0.001)とは異なり、量的評価の差と関連しなかった(P = 0.131)。患者向け医師評価サイト(PRW)のコメントのフリーテキスト分析から、適切な根拠を持った評価向上のための提言がまとめられた。

[考察] PRWは、外科医と患者の間のインターフェイスとして拡大しており、外科医の市場性にかなりの影響を与える。本研究では、特定の患者中心の医療行為と肯定的な患者レビューとの間に統計的な関連があることが明らかになった。このことは、効果的な患者ケアのための基本を常に意識し、医師のオンラインプレゼンスを向上させるために、医師の診療を通じて高い水準を維持することの重要性を強調している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

患者の心の声。
それは、とても小さく、恥ずかしがりだ。
明るい日の元で、面と向かって、演説をするように伝えられることは、まずない。
葉に降りる朝露のような、小さく儚い声量。
その音を、大切に収音する作業。
患者の小さな声を拾うには、絶対的な信頼関係か、堅牢な秘匿がいる。
オンラインコメントは、後者だろうと思う。
今回の研究は、そんな貴重な患者の声を、一滴一滴瓶詰めしたアロマオイルのような研究だ。

その中で、僕がとくに注目したいのは『時間』だ。
結果の中で、診察の待ち時間について、患者は否定的なコメントをする傾向が強かった。
時間というやつは、本当に取扱注意の代物だと思う。
それは、量的なものでありながら、その量そのものが、すでに感情的な、政略的な価値を持ってしまっている厄介なものだ。
どういうことか。
例えば、メールが来たとする。
そのメールに即返信を返した場合、相手は「ああ、この人は自分に好意的なのかな。仕事ができるのかな」と思ったりする。
一方、1週間返信をしなかった場合はどうだろう。
相手は、「ああ、この人は自分に否定的なのかな。仕事ができないのかな。この事業に乗り気じゃないのかな」と思ったりする。
そういうものなのだ、時間とは。
量そのものが、感情的な、政略的な価値を持ってしまう性質がある。
それを知った上で、使うべきなのだ。

患者第一を謳うなら、そのメッセージを包含した時間の使い方をしたい。
それは、待ち時間なら、とにかく短く。
重大な決断の前には、熟考を。
医療者からのメッセージを、文字として伝えるのではなく、Actionとして伝えよう。
小さな小さな、患者さんの声を、1滴たりとも逃してはならない。

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