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相対的エネルギー不足

📖 文献情報 と 抄録和訳

2023 国際オリンピック委員会(IOC)がスポーツにおける相対的エネルギー不足(RED)に関するコンセンサス声明を発表

📕Mountjoy, Margo, et al. "2023 International Olympic Committee’s (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs)." British Journal of Sports Medicine 57.17 (2023): 1073-1097. http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2023-106994
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ 前提知識①:スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs, Relative Energy Deficiency in Sport)とは?
・女性および男性のアスリートが経験する、生理学的および/または心理学的機能が損なわれる症候群で、問題のある(長期的および/または重度の)低エネルギー利用可能性(LEA, Low energy availability)にさらされることによって引き起こされる。
・有害な結果としては、エネルギー代謝、生殖機能、筋骨格系の健康、免疫、グリコーゲン合成、心血管系および血液系の健康が低下することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

✅ 前提知識②:低エネルギー利用可能性(LEA)
・LEAとは、食事からのエネルギー摂取量と運動で消費されるエネルギーとの間にミスマッチがあり、身体の総エネルギー必要量が満たされない状態、すなわち、最適な健康とパフォーマンスを維持するために身体が必要とする機能を支えるエネルギーが不十分な状態をいう(📕Mountjoy, 2018 >>> doi.)。
・LEAは、影響が軽微なシナリオ(adaptable LEA)と、健康およびパフォーマンスに実質的かつ長期的な障害が生じる可能性のあるシナリオ(problematic LEA)の間で連続的に発生する。

[コンセンサス声明概要] スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)は、国際オリンピック委員会の専門家執筆委員会によって2014年に初めて導入され、低エネルギー利用可能性(LEA;運動エネルギー消費量に対する不十分なエネルギー摂取量)にさらされた女性および男性アスリートが経験する、健康とパフォーマンスの有害な結果の症候群を特定した。2018年のREDsコンセンサス以降、低炭水化物アベイラビリティの役割の増大を示す新たなデータ、メンタルヘルスとREDsの相互作用のさらなる証拠、男性におけるLEAの影響を解明するさらなるデータなど、REDs科学の分野を前進させる170を超えるオリジナル研究論文が発表された。REDsの徴候と症状に関する知識は、健康とパフォーマンスの概念モデルを更新し、新しい生理学的モデルを開発することにつながった。この生理学的モデルは、問題のあるLEAまたは適応可能なLEAへの曝露が、個人の緩和因子と相まって、健康およびパフォーマンスの結果に変化をもたらす複雑性を示すように設計されている。また、REDsの予防に役立つ安全で効果的な体組成評価のガイドラインについても概説している。新しいREDs臨床評価ツール-バージョン2が紹介され、蓄積された重症度とリスク層別化に基づくREDsの検出と臨床診断が容易になり、関連するトレーニングと競技の推奨がなされた。REDsの予防と治療の原則は、スポーツ団体と臨床医にベストプラクティスを奨励するために提示されている。最後に、REDs研究のための方法論的ベストプラクティスについて概説し、重要な知識のギャップを解決するための質の高い今後の研究を促す。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

ぼくは、ほとんど毎日、自転車に乗っている。
通勤の場合、片道40分間 × 往復なので、1時間20分間だ。
良いことも多い。
身体が軽くなる、思考が洗練される…etc。
だが、弊害もまた、ある。

その1つが、甘い思考が芽生えやすい、だ。
・今日も自転車を漕いだ→だから甘味を食べまくっても大丈夫
というような感じで、自転車を漕ぐことがすべての諸悪をリセットするような、そんな思考が芽生えやすい。
その結果、相対的にエネルギーが過多、になり、諸所の問題が生じてくる。

その逆もあるだろうと思う。
・今日は自転車を漕いだ→だけどまあ、いつも通りの食事を取ろう、計算もよくわからないし
というような感じで、エネルギー消費に対するエネルギー摂取が不足してしまう。
とくに、爆発的なエネルギー消費量を伴うスポーツパフォーマンスにおいて、これは生じやすい。
今回抄読した文献は、その概念について、濃厚に説明されている。

世のことの多くは、相対的に決まる。
食事と運動だってそうで、運動した分だけのエネルギーが必要になる。
ここらへんは、活動量計などを用いて自動化できたら便利だと感じるのだが…。
今後、おそらく進むことだろう(もうあるか)。

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