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脳卒中後のラテロパルジョン。臨床実践に関するコンセンサス


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後のラテロパルジョン管理に関するデルファイ専門家会議による臨床実践勧告

📕Nolan, Jessica, et al. "Clinical practice recommendations for management of lateropulsion after stroke determined by a Delphi expert panel." Clinical Rehabilitation (2023): 02692155231172012. https://doi.org/10.1177/02692155231172012
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[背景・目的] 脳卒中後ラテロパルジョンを示す人は、正中線を横切ってより患側へ身体を積極的に押し出したり、より患側の少ない方へ体重を移動させることに抵抗したりする。脳卒中後ラテロパルジョンは広くみられ、リハビリテーションの転帰に悪影響を及ぼすにもかかわらず、脳卒中後ラテロパルジョンのリハビリテーションに関する臨床実践ガイドラインは存在しない。我々は、国際的な専門家委員会を用いて、脳卒中後のラテロパルジョンを管理するためのコンセンサスに基づいた臨床実践の推奨を作成することを目的とした。

[方法] デザイン:デルファイ法は、Guidance on Conducting and Reporting Delphi Studiesの勧告に準拠した。参加者:脳卒中後ラテロパルジョン患者のリハビリテーションに関する臨床的および/または科学的背景を有するパネルメンバー。主な調査方法:プロセスは4回の電子調査で構成された。第1ラウンドは13の公開質問で構成された。その後のラウンドでは、ラウンド1で得られた記述に対する同意のレベルを確認した。コンセンサスとは、75%以上の同意(「同意する」または「強く同意する」)、または「わからない」を除いた70%以上の同意とした。

[結果] 20名の参加者が4ラウンドすべてに参加した。リハビリのアプローチや、リハビリの実施、ポジショニング、転倒恐怖や疲労の管理、最適な治療量、退院計画に関する考慮事項について、合計119の推奨事項に関してコンセンサスが得られた。「何らかの合意」(50%~74%の合意)が得られた記述と、推奨事項の明確化が必要な記述が記録された。

[結論] これらの推奨は、脳卒中後のラテロパルジョンに対する介入の選択を導くための既存のエビデンスに基づいている。今後の研究では、具体的なリハビリ戦略の詳細化、追加的な認知・知覚障害の影響の検討、ポジショニングの選択肢の記述、ラテロパルジョン患者に対する最適な治療量の詳細化が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

理学療法士というのは、つくづく個人事業主である、と感じる。
仮に病院に勤めていたとしても、同僚がいたとしても、治療においては1人対1人。
それぞれのプラットフォームで、蛸壺化された仕事が、複数箇所で行われているだけだ。

個人事業主の集合体、とでも言おうか。
そうすると、隣の先輩が何をやっているは、完全には見えない。
だって、こちらにはこちらの治療があり、目の前の患者に集中しているから。
見学専用の時間など、割り当てられることはほとんどないだろう。

そういった状況下において、今回の抄読研究のようにその道の専門家が推奨する治療の方向性やコツ、注意点などを教えてもらえるような文献はありがたい。
特に、ラテロパルジョンについては、近年概念について明確になってきたばかりという印象があるので、その部分のワールドリーディングな専門家たちの治療のブラックボックスが開かれることはとても重要なことのように思われた。
個人的には、ボディスキーマ障害 / 病態失認 / 衝動性などオプショナルな部分についての推奨も抜け目なく掲載されていた点が興味深かった。
早速、実践していこうと思う。

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