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関節拘縮を引き起こす要因。システマティックレビューで明らかに

📖 文献情報 と 抄録和訳

成人の関節拘縮に関連する因子:ナラティブシンセシスによるシステマティックレビュー

📕Tariq, Hina, et al. "Factors associated with joint contractures in adults: a systematic review with narrative synthesis." Disability and Rehabilitation (2022): 1-18. https://doi.org/10.1080/09638288.2022.2071480
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[背景・目的] このレビューの主な目的は、成人の関節拘縮に関連する因子に関する利用可能な証拠を照合することである。

[方法] MEDLINE、CINAHL、AMED、EMBASEで系統的な文献検索を実施した。18歳以上の参加者を対象とし、一次または二次アウトカムとして関節拘縮を評価した研究を対象とした。2名の独立した査読者が、適格性基準に照らして研究をスクリーニングし、データ抽出を行い、エビデンスの質を評価した。領域およびサブ領域ごとにナラティブシンセシスが実施された。プロトコルはPROSPERO: CRD42019145079に登録された。

[結果] 47件の研究がレビューに含まれた。特定された因子は、社会人口学的因子、身体的因子、寝たきりの代理人という3つの主要な領域に大別された。社会人口学的要因は、関節拘縮と関連しなかった。機能的能力(ADL/IADL能力)、痛み、筋力低下、身体運動能力(移動能力)、および寝たきりは、関節拘縮との関連性を示す最も一貫したエビデンスを提供した。痙縮と関節拘縮の関係については、まだはっきりした証拠がない。他の要因も重要かもしれないが、推論するには証拠が不十分であった。

[結論] 本レビューでは、関節拘縮に関連する因子に関するエビデンスを特定・整理し、効果的な予防・管理戦略の開発に活用することができる。

[臨床意義] 脆弱な成人における関節拘縮に関連するリスクを適時に特定することに基づく臨床的介入は、その発症または進行を予防または改善する可能性がある。このレビューで示されたエビデンスに基づき、効果的な関節拘縮予防およびリハビリテーション戦略を開発することで、社会的弱者に対するケアの質と一貫性が高まると考えられる。脆弱な成人の多くは地域社会または非急性期医療の環境にいるため、戦略はこれらのケアの場所を対象とすべきである。このようなケア現場で働く理学療法士以外のスタッフが、関節拘縮に関連するリスクを特定できるような構造化されたリスク評価は、リスク管理のための重要なリソースとなるはずである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

褥瘡ができやすい。
オムツを交換しにくい。
装具を履かせることができない。
歩行時に膝が痛い、膝折れしてしまう。
関節拘縮が臨床において患者に与える弊害をあげれば、枚挙に遑がない。
この関節拘縮リスクが高い患者を早期に特定して、集中的な介入をすれば、問題は大きくならずに済むかも知れない。

これまで、関節拘縮に関してはその要因や介入方法について、単一の研究をいくつか見てきた。

今回の研究は、それら単一の研究を束ね、「結局、何が重要だと分かっているのよ?」を明らかにした。
その結果、「機能的能力(ADL/IADL能力)、痛み、筋力低下、身体運動能力(移動能力)、および寝たきり」の5項目が一貫して重要であることが分かった。
臨床において、この5項目を満たす患者には目を光らせる必要がある。

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