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ADL動作 × 肘関節負荷


📖 文献情報 と 抄録和訳

日常生活動作模擬時の肘関節荷重:人工肘関節全置換術後の推奨事項策定への示唆

📕Duijn, Roos GA, et al. "Elbow joint loads during simulated activities of daily living: implications for formulating recommendations after total elbow arthroplasty." Journal of Shoulder and Elbow Surgery 33.1 (2024): 145-155. https://doi.org/10.1016/j.jse.2023.07.042
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 人工肘関節全置換術後の人工肘関節の過負荷は、インプラントの破損につながる可能性がある。日常生活における関節モーメントは、人工関節の破損限界について十分に説明されておらず、現在の術後指導が肘関節荷重に及ぼす影響も不明である。本研究では、日常作業を模擬し、屈曲-伸展、前屈-上臥位、外反-内反の運動方向による肘関節モーメントの違いを調査した。さらに、現在の術後指導が肘関節負荷に及ぼす影響についても検討する。

[方法] 9名の健常者(年齢45.8±17歳、男性3名)が、"1kg以上は持ち上げない "という指示なし、指示ありで、車の運転(ハンドル操作)、ドアを開ける、椅子から立ち上がる、持ち上げる、滑らせる、髪をとかす、飲む、コップを空にするという8つの作業を行った。上肢運動学と手の接触力が測定された。肘関節角度と正味モーメントは、動作データと外力から正味モーメントを推定する逆動的解析を用いて分析した。

[結果] 肘関節のピークモーメントは、課題間(P < 0.01)および動作方向間(P < 0.01)で有意に異なっていた。最も負荷の高い課題は椅子からの立ち上がり(伸展位13.4Nm、仰臥位5.0Nm、外反15.2Nm)、最も負荷の低い課題はスライディング(屈曲位4.3Nm、仰臥位1.7Nm、外反2.6Nm)であった。正味モーメントは、椅子課題でのみ指導後に有意に減少した(P < 0.01)。

[結論] 本研究では、日常生活における様々な方向の肘関節モーメントを分析した。その結果、術後指導が肘関節荷重の減少につながるかどうかが疑問視された。今後の研究では、屈曲-伸展方向および外反-内反方向の肘関節荷重の軽減に焦点が当てられるかもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

立ち上がり、歩行、階段昇降。
その際に下肢関節に加わってくる負荷量(関節モーメント)。
それらの知識は、よく研究されてきたし、最新の研究もどんどん追加されてきている。

一方で、日常生活中における上肢関節への負荷は?、と問われると困ってしまう。
そもそもの負荷量自体がそんなに大きくなさそうだし、それに関わる研究なども知っているものは少ない。
今回の研究は、そんな日常生活における肘関節負荷を調査した貴重な論文だ。

その結果としては、「立ち上がり時の上肢指示」、「車の運転時のハンドル操作」、「ドアの開閉」などが肘関節に加わる負荷が大きくなる動作であることを知った。
日常生活に即した知識を、今後も増やしていきたい。

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