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治癒した or 治癒していないL5の脊椎分離症の骨構造


📖 文献情報 と 抄録和訳

L5脊椎分離症:治癒した病変と治癒していない病変を比較した解剖学的研究

📕Grayson, Viktoriya S., et al. "L5 spondylolysis: Anatomical study comparing healed and unhealed lesions." Clinical Anatomy (2024). https://doi.org/10.1002/ca.24094
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[背景・目的] 脊椎分離症の解剖学的構造と病態は広く研究されているが、腰椎の脊椎分離症の微視的解剖学的構造についてはあまりよく説明されていない。そこで我々は、この解剖学的構造をより明確にすることを目的とした。

[方法] ヒトの骨格標本から、L5椎体の脊椎分離症が治癒したものと治癒していないものの乾燥骨標本20点を収集した。12個のL5椎骨は癒合していない脊椎分離症の例であり、8個の標本は癒合した(すなわち、病変部が骨癒合した)脊椎分離症であった。これらの標本は、マクロ解剖学的およびミクロ解剖学的解析の後、CTおよびマイクロCTによる画像診断を受けた。最後に、治癒した病変と治癒していない病変を選択し、Mason Trichrome染色を用いて組織学的解析を行った。対照として、治癒・未癒合脊椎分離症の徴候のない2個のL5椎体の関節傍を組織学的に評価した。

[結果] 12個の未治癒L5椎体関節傍欠損のうち、3個は左側の片側欠損であった。治癒した8個の傍欠損のうち、すべて片側で、そのうち7個は左側であった。片側欠損の1例には後天性二分脊椎もあった。画像および組織学的解析のいずれにおいても、治癒した骨頭欠損は表面的なものであり、深いレベルには見られなかった。組織学的には、治癒していない骨端は緻密な皮質骨で構成されていたが、治癒した骨端は主に海綿骨で構成されていた。解剖学的所見から、いわゆる治癒した脊椎分離症病変は、外部的には癒合していたが、内部的には完全には癒合していなかった。さらに、癒合していない脊椎分離症病変の前縁と後縁は不規則であり、長期間の離断の兆候が見られた。

[結論] これらのデータを総合すると、このような "癒合した "病変は、正常なL5関節傍ほど安定していない可能性が示唆される。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

画像において骨の状態を見ること。
直に骨を見ること。
この間には、やはり谷があると思う。
画像で見た場合には、そのイメージは二次元的であり(3次元CTは別だが)、そのものは立体感を持ちにくい。
その二次元的なイメージを頭の中で3次元的なイメージに再構築していく作業が必要になるのだが、それが難しく、完全に再現しきることは至難の業だろう。

今回の抄読研究は、脊椎分離症において、『実際、こんな骨の状態です』を教えてくれた。
治癒した分離症の骨って、こんな感じになっているんだ。
そして、治癒していない分離症の骨って、こんな感じになっているんだ。
この「こんな感じ」がわかったことは大きい。
次に二次元的な画像を見たときに、「こんな感じ」を参照画像として、三次元イメージを構築していくことができる。
新人や学生にとっては、脊椎分離症の分離部位をはっきり知る上でも有用な画像だろう。

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