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股関節不安定性の診断。国際的コンセンサス研究

📖 文献情報 と 抄録和訳

股関節の微小不安定性の診断:デルファイ法を用いた国際的コンセンサス研究

📕Khanduja, Vikas, et al. "Diagnosing Hip Microinstability: an international consensus study using the Delphi methodology." Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy 31.1 (2023): 40-49. https://doi.org/10.1007/s00167-022-06933-4
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[背景・目的] 股関節不安定性(Microinstability)は、比較的新しい診断法であり、文献で論じられることが多くなってきているが、診断を下すための明確なガイドラインはまだない。股関節不安定性は一般的に、特に痛みを伴うような、持続的で過度な股関節の動きと定義されている。このデルファイ研究の目的は、股関節不安定性の診断基準を策定するために専門家の意見を求めることである。

[方法] 本研究ではデルファイ法を用いた。2019年3月までのPubMedにおいて、キーワード((股関節)および(微小不安定性))を用いて文献検索を行い、このトピックに関する関連論文を特定した。股関節の微小不安定性の診断に使用されるすべての関連基準を照合して質問票を作成し、専門家から提案されたさらなる基準も含めた。アンケートは、オンライン調査プラットフォームを通じて4回実施された。各ラウンドの間には、著者らが仲介役として、専門家に結果のサマリーを提供し、次のアンケートをまとめた。専門家パネルは27名で構成された: 世界中の整形外科医24名(89%)と理学療法士3名(11%)である。

[結果] 第1~4ラウンドにおける専門家パネルの参加率は、それぞれ27名(100%)、20名(74%)、21名(78%)、26名(96%)であった。著者らによる文献レビューにより、最初の質問票を作成するための32の診断基準が特定された。専門家からは、3つの基準の修正と5つの基準の新設が提案された。パネルの結論は、3項目(8%)を "重要でない"、20項目(54%)を "重要でない"、14項目(38%)を "重要である "とした。必須とされた基準はなかった。基準は患者背景、身体検査、画像診断に細分化された。専門家の投票により、少なくとも6つの "主要因子 "を含む、各サブカテゴリーにおける4つの基準が最低条件とされた。最終的な診断ツールは、最終ラウンドパネルの20名(77%)により承認された。

[結論] 本研究は、股関節の微小不安定性の診断に関する、初めての専門家によるコンセンサスについて述べたものである。最終的な診断ツールが比較的複雑であったことは、臨床医がこの診断を下す際に直面する困難さを物語っている。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

変形性股関節症者の歩行を見ていると、立脚期に「グニャッ」という感じの印象を受けることがある。
「何、これ?」と感じていた。
そして、去年か一昨年か、勉強会で「股関節不安定性」という概念と出会った。
そのときに、臨床体験として持っていた変形性股関節症者の歩行観察とリンクした。

だが、それをどうやって臨床中に「不安定性がある」と明確に判断できるのだろう。
その具体的な方法や評価方法については、深追いしていないままだった。
そして、今回の論文はまさにその部分の答えを与えてくれる論文となった。
理学療法士を含む27名の専門家が、診断基準を整えてくれたのだ。

なかなか考慮すべき項目が多く、また中には理解が難しい検査や用語も存在している。
この診断基準をさらに深く勉強していくことで、股関節不安定性についての理解も深めることができそうだ。
この論文を大黒柱として、自分自身の股関節不安定性に関する知識や技術を育てていこうと思う。

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