インソールでランニング負荷予測
📖 文献情報 と 抄録和訳
機械学習と計測インソールを使用したランニングによる一般的な損傷部位における筋骨格への負荷予測
[背景・目的] ウェアラブルデバイスは、ランニングによる一般的な負傷部位における組織負荷を正確に推定できる可能性を秘めています。 ここでは、市販の計測用インソール(ARION; ATO-GEAR、オランダ・アイントホーフェン)が、ランニングによる一般的な負傷部位における筋骨格負荷を予測できる精度を調査しました。
[方法] 19人のランナー(男性10人)が、5つの異なる速度、4つの傾斜、異なる歩調で、計測用インソールを装着した状態で、計測用トレッドミル上で前方に体幹を傾斜させながら走りました。インソールデータは、アキレス腱の歪み、脛骨および膝蓋大腿関節のストレスインパルス、加重インパルス(損傷の代理指標)を予測するように訓練された人工ニューラルネットワークへの入力として使用されました。精度は、1つを除外した交差検証と相関関係を用いて調査されました。異なる入力メトリックの影響も評価されました。
[結果] ニューラルネットワークは、膝蓋大腿関節、脛骨、アキレス腱インパルスについて、それぞれ組織負荷を1.95 ± 8.40%、−7.37 ± 6.41%、および−12.8 ± 9.44%の全体的な相対誤差で予測した。ランニング速度、傾斜、歩数を変えると、精度は大幅に変化した。各条件におけるモデル化されたインパルスと予測されたインパルス間の個体内相関(平均値、95%信頼区間)は、それぞれ膝蓋大腿、脛骨、アキレス腱のストレス/歪みインパルスで、0.92(0.89~0.94)、0.95(0.93~0.96)、0.95(0.94~0.96)と、概ねほぼ完璧な値を示した。
[結論] この研究は、市販されている計測機能付きインソールが、絶対値は変動するものの、相対値としては(非常に)高い精度で、ランニングによる一般的な損傷部位における負荷を予測できることを示している。絶対誤差は、歩数を測定する方法や、速度や傾斜ごとの負荷を一定と仮定する方法よりも低かった。この開発されたモデルは、競技中の組織負荷の定量化と、組織負荷に基づくリアルタイムのフィードバックにより、損傷リスクを低減できる可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
ランニングしかり、スポーツ動作というものを一生懸命にやっているとき、当たり前のことなのだが、自分で自分を見ることはできない。
そして、たまにビデオで自分のフォームを見てみると、「えっ、自分ってこんなフォームになってたの?」と驚くことになる。
多くの場合、ボディイメージは、客観的な動作と乖離している。
つまり、異常動作に自分自身では、気が付きにくい、ということだ。
異常なフォームに気がつくところから、フォームの修正が始まると思えば、気がつくプロセスは非常に重要だ。
今回抄読した研究は、そんな気が付かせることを、計測用インソールを活用して、最終的には携帯アプリで簡便に把握しようとした実装を強烈に意識した研究だ。
最終的な携帯アプリ画面の画像を見ていただきたいのだが、これをみると視覚的にどこの負荷が強まっているかが簡便に把握できる。
機械学習や人工知能というものは、ウェアラブルデバイスと掛け合わされることで凄い力を発揮しそうだ。
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