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午前トレ vs. 午後トレ。代謝適応の効果が大きいのは?


📖 文献情報 と 抄録和訳

午前と午後のトレーニングの代謝適応:系統的レビューとメタ分析

📕Galan-Lopez, Pablo, and Rafael A. Casuso. "Metabolic Adaptations to Morning Versus Afternoon Training: A Systematic Review and Meta-analysis." Sports Medicine 53.10 (2023): 1951-1961. https://doi.org/10.1007/s40279-023-01879-0
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🔑 Key points
🔹グルコースホメオスタシス、血圧、筋パフォーマンスは概日振動を示すことが知られている。
🔹ここで我々は、午前中のトレーニングは午後のトレーニングに比べてさらなる代謝効果をもたらさないことを示した。
🔹われわれのデータは、午後のトレーニングは午前のトレーニングよりも、循環トリグリセリドをより大きく減少させることを示している。
🔹さらに、午後のトレーニングは空腹時血糖をより低下させるという確固とした傾向を示した。

[背景・目的] 循環グルコースや筋パフォーマンスなど、いくつかの生理学的反応は概日リズムを示す。本研究では、午前と午後のトレーニングによって誘導される代謝適応を比較するデータを定量的に統合することを目的とした。

[方法] PubMed、SCOPUS、Web of Scienceの各データベースから、午前と午後のトレーニングによる代謝適応(2週間以上)を比較した研究を系統的に検索した。空腹時血糖、ヘモグロビンA1c(HbAc1)、恒常性モデル評価(HOMA)、インスリン、トリグリセリド(≒中性脂肪)、総コレステロール、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)について、DerSimonian-Laird法によるランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。結果11の異なる集団(n = 450人)を対象とした9件の研究を同定した。

[結果] 午後トレは午前トレよりもトリグリセリドを減少させる効果が高いことがわかった[標準化平均差(SMD)-0.32;95%信頼区間(CI)-0.616~-0.025]。

さらに、午後トレは午前トレよりも空腹時血糖をより低下させる傾向があった(SMD - 0.24;95%CI-0.478~0.004)。

[結論] 運動に対する代謝適応は時間帯に依存する可能性がある。午前中のトレーニングは、分析されたアウトカムのいずれにおいても、午後の運動より優れた効果を示さない。しかし、午後のトレーニングは、午前のトレーニングよりも、循環トリグリセリド値を低下させ、おそらく空腹時血糖値を低下させる効果が高い。本研究はPROSPERO(CRD42021287860)に事前登録された。アクセスはJUSTICE SJアドバンスドパッケージにより提供される。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

我々は貴重鵜な財産-時間-を軽んじてきた。
時間の使い方を工夫することによって、
我々は自分を素晴らしい存在に変えることができる

フリードリヒ・シラー

同じトレーニングをしたとしても、時間によって効果の大小が変わってくるなら、それは効果的な時間に行いたいものだ。
今回の抄読研究は、代謝適応の側面から、効果的なトレーニング時間帯が午前か午後かを明らかにしてくれた。
そして明らかになったこととして、どうやら「午後」が望ましいらしい。

僕自身のことで言えば、午前にも午後にも有酸素トレーニング(通勤;自転車)を行っているので、さして考慮することは少ない。
だが、例えば代謝適応の改善(健康増進)を目的としている方が、午前中だけにトレーニングをしている場合には、検討に値することかもしれない。
僕たちは、時間の使い方を工夫することによって、自分を素晴らしい存在に変えることができる、かもしれない。

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