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(High IF)理学療法雑誌の50.3%に論理の飛躍あり


📖 文献情報 と 抄録和訳

主要な理学療法雑誌に掲載された単一群研究は、治療効果修飾因子に関して一般的に不適切な結論を出している。系統的レビュー

📕Douglas, Tayla J., et al. "Single-group studies in leading physical therapy journals commonly make inappropriate conclusions regarding treatment effect modifiers. A systematic review." Brazilian Journal of Physical Therapy (2023): 100520. https://doi.org/10.1016/j.bjpt.2023.100520
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🔑 Key points
🔹対象研究の50.3%が治療効果修飾因子を不適切に報告していた。
🔹不適切な報告は理学療法ジャーナル間でかなり差があった。
🔹不適切な報告は、直近の2018~2022年(59.6%)で最も高かった。

[背景・目的] 特定の介入に対して異なる反応を示す患者を特定する特徴は、治療効果修飾因子と呼ばれる。適切な研究デザインを行わずに治療効果修飾因子の存在を不適切に報告している研究がある。
●目的:主要な理学療法ジャーナルに掲載された単一群研究のうち、治療効果修飾因子を不適切に報告している割合がどの程度かを評価し、その割合が時系列またはジャーナル間で異なるかどうかを評価すること。

[方法] 2000年以降に8つの主要理学療法ジャーナルに掲載された研究の系統的レビューを実施した。適格な研究は、あらゆる状態、治療または転帰を調査した単一群研究(例えば、コホート研究または無作為化対照試験の治療群の二次分析)であった。

特定のベースライン特性を有する参加者が、治療により良好または悪化したことを示唆する研究は、不適切な報告とみなされた。特定のベースライン特性を有する参加者の転帰が改善したことを報告したが、それが治療によるものであることを明言していない研究は、適切に報告されたと考えられた。不適切な報告の割合は、時系列およびジャーナル間で比較した。

[結果] 対象となった145件の研究のうち、73件(50.3%)が治療効果修飾因子を不適切に報告していると分類された。不適切な報告の割合は、直近の2018~2022年(59.6%)と2006~2011年(55.6%)で最も高かった。不適切な報告の割合は、0%(Journal of Physiotherapy)から91.7%(Journal of Neurologic Physical Therapy)まで、ジャーナルによって大きく異なっていた。

[結論] 主要な理学療法ジャーナルに掲載された単一群研究の大部分(50.3%)が、治療効果修飾因子を不適切に報告している。この不適切な報告は、個々の患者に対する介入を選択する際に、臨床家を誤解させる危険性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

この結論は飛躍です。→リジェクト!
結果から適切な考察を導けていません。→リジェクト!
報告の表現が不適切なものが多いです。→リジェクト!

何度、殴られてきたのだろう。
論文執筆において、「飛躍」は極端に嫌われるものの1つである。
だがそもそも、飛躍があるとどうしていけないのだろう?
結果(事実)そのものをみて、読者が判断すればいいではないか?

確かに、その通りである。
だが、現実はそう簡単ではない。
High IFジャーナルの結論に記載されたことを疑える人間は、少ないだろう。
だが、今回の文献抄読によれば、ハイインパクトファクター雑誌でも50%以上が飛躍を含む記載をしているそうだ。
僕たちには、今より強く、事実そのものを見て、考察や解釈を疑う目が必要なのかも知れない。

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