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Near Peer Teacher。1つ上の先輩こそ最良の先生


📖 文献情報 と 抄録和訳

理学療法教育におけるピア主導のシミュレーションは価値があり魅力的であると学生が経験した:混合法研究

📕Granger, Catherine L., et al. "Students experienced near peer-led simulation in physiotherapy education as valuable and engaging: a mixed methods study." Journal of Physiotherapy 70.1 (2024): 40-50. https://doi.org/10.1016/j.jphys.2023.11.006
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[背景・目的] 学生(ニアピア・ラーナーおよびニアピア・ティーチャー)の視点から、理学療法教育におけるニアピア主導のシミュレーションについて、学生はどのような経験をしているか?教育・学習活動としてのシミュレーションに対する学生の期待、認識、関与はどのようなものか。短期的な利点はあるか?

[方法] デザイン収束的混合方法研究。参加者大学院入学の理学療法学博士課程の1年生111名と2年生20名が参加。介入1年次の心肺、筋骨格系、神経系の理学療法カリキュラムの中で、また2年次の臨床実習の前段階として、ニアピア主導のシミュレーションが実施された。1年生はニアピアの学習者であった。2年生はニアピアの教師と模擬患者であった。成果測定:フォーカスグループ、シミュレーション前後のアンケート、直接観察。データは三角測量され、全体的なテーマとして提示された。

[結果] 6つのテーマが浮かび上がった
1. リアリズムと本物志向:友達だと真剣さが欠けてしまう→患者を経験している先輩だと実際の患者の再現だと感じた。学習参加、知識の伝達を促進した。
2. 親近感と暗黙の信頼:最近後輩として「同じ立場」になったことで親近感が湧いた先輩が自分の学習上の苦労を理解してくれると答えた。
3. フィードバックの価値:学習経験を豊かにする学習プロセスの不可欠な一部。率直でフィルターを通さないフィードバックが提供された。
4. 自信をつける:間違いを犯し、そこから学び、FBを行動に移すチャンスであった。シミュレーションは安全な学習環境で行われ、達成感につながった。
5. さまざまな期待:不安や緊張といった予期的な感情や期待が存在した。これらの感情は、自信がつくにつれて消えていった。
6. 知覚された知識の成長:シミュレーションにより、学習を定着させ、臨床推論と実践技術を向上させ、自己反省を通じて知識のギャップを確認できた。

[結論] ピア主導のシミュレーションは、学生にとって価値のある魅力的な活動であった。学生は、特に自分のパフォーマンスに対するピアフィードバック(与えたり、受けたりすること)から、自分たちの学習に幅広い恩恵を感じ、シミュレーション後に自信を深めた。ピア主導のシミュレーションは、理学療法入門教育の本格的かつ価値ある要素である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

“Residents-as-Teachers”
遠くの偉大なコーチより, 最も近くにいる上長

あなたにとって、先生は誰だろうか・・・?
全国でも有名な講師だろうか。
おそらく、ほとんどの理学療法士にとっては違うだろう。

普段の臨床における、悩みや疑問や課題を解決する方法を思い出してほしい。
多くの場合、『先輩に相談』していないか?
特に、遠くの先輩ではなくて、距離感の近い1個上の先輩に
そうなのだ。一番の先生は、直属の先輩や上司なのだ、現実的に。

今回の研究は、理学療法士学生を対象として、その有用性を明らかにした。
やはり、直近の先輩は、聞きやすく、間違いやすく、成長しやすい環境を提供してくれる。
心理的安全性が高いといおうか、学習以外のことへの配慮が少なくて済むのだろう。
なので、すべての後輩を持つ先輩は、先生としての自覚をもち、自身を成長させることを怠らずにいたい。
そして、職場環境としては、“Residents-as-Teachers”、“Near peer”をどのように教育にシステムとして持ち込めるかを検討してみたい。

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