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風に揺れる芒

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筆者の作品『風に揺れる芒』のまとめ。
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記事一覧

風に揺れる芒 結句

 あの日からというものの、やはり、私の眼前に、あの美しく、良く見知った女の貌が、全く実に…

巣尾黒曜
9か月前
3

風に揺れる芒 十一日目

 柔和な光が、眼瞼の暗幕から、木漏れ日が如くに、射していた。私は、眼を覚ました。窓外を見…

巣尾黒曜
9か月前
4

風に揺れる芒 十日目

 零雨(れいう)が、屋根を篠突き、それから発される鳴動(めいどう)にて、私は覚醒した。褥(し…

巣尾黒曜
9か月前
2

風に揺れる芒 九日目

 気鬱で、陰鬱で、憂鬱で、沈鬱で、暗然とし、鬱屈とし、暗澹であり、重く、鈍重な、その様な…

巣尾黒曜
9か月前
2

風に揺れる芒 八日目

 暗晦の内の漠とした、暈された階調を有した燈火が、私の眼を、眼瞼の帷(とばり)など、恰も幽…

巣尾黒曜
9か月前
5

風に揺れる芒 七日目

 夏闌(なつたけなわ)の極暑が、私の身を灼き、私の内の湿潤を簒奪(さんだつ)せんとする炎昼に…

巣尾黒曜
9か月前
3

風に揺れる芒 六日目

邯鄲(かんたん)の微睡(まどろ)みから目覚め、離床し、天を仰ぐ。やはり、私の眼前に、これから見知るに能うであろう女の貌が、全く実にこれもまた物々しく、事によっては勿体をつけつつ、其処に在ったのであった。女は、白妙を何処とも知れずに吹く息吹に靡(なび)かせている。……風は、形而下の存在であり、現象であるが、何故、この女に吹き付けるに能うのであろうか。……今に至る迄、女に干渉出来る形而下の現象として、光条が在ったが、しかし、風は……。いや、或いは、昨日、私は声音を以て、女と意を交

風に揺れる芒 五日目

 陽光が、眼瞼の晦冥を越え、炯々(けいけい)と夢幻を見つめていた私の眼窩に、射し込むのが、…

巣尾黒曜
9か月前
4

風に揺れる芒 四日目

眼瞼(がんけん)の緞帳を、重々しく、勿体つけ、上げる。やはり、私の眼前に、最早見知ったと言…

巣尾黒曜
9か月前
3

風に揺れる芒 三日目

 さて、眼、というものには、古来より様々な表象が纏わり付いている。その一つには、万物を見…

巣尾黒曜
9か月前
2

風に揺れる芒 二日目

 空調の、凛気を纏った、だが、何処か無機質な涼風が頬を撫で、そして部屋の主を睨め付ける内…

巣尾黒曜
9か月前
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風に揺れる芒 一日目

 事の始まりは、鬱屈と怠惰の領する、とある盛夏の一日であった。私はおそらくその当時の日の…

巣尾黒曜
9か月前
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風に揺れる芒 序句

本作は数年前の筆者の体験を、多少潤色を加えた形で綴った虚構である。 パブーで無料配布して…

巣尾黒曜
9か月前
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