三遊亭 司

【さんゆうてい-つかさ】落語家。飲むひと、食べるひと、旅するひと。しゃべるひと、時とし…

三遊亭 司

【さんゆうてい-つかさ】落語家。飲むひと、食べるひと、旅するひと。しゃべるひと、時として書くひと。昭和54年/己未/1979年10月2日生まれ/久が原幼稚園/清明学園初等部/中等部/和光学園高校/98年四代目 桂三木助/01年三遊亭歌司/15年真打/一般社団法人 落語協会 在籍

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    食楽 2020年 夏号

    食楽2020年夏号『とびきりの夏ビール』の特集、『自分史上最高のビール』に随筆を寄せています。見出し、本文、写真を入れて4頁。川上弘美さんほか4名のステキなエッセイに囲まれています。わたしは、20年ほど前のはなしを綴っています。ぜひ、読んでみてください。
    1,000円
    三遊亭 司 萬國精選百貨
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    【ありがとうJB】現品限 柳家寿伴 手拭い 黄【さよならJB】

    師匠、柳家三壽師逝去にともない、柳亭市馬師匠門下に移り、芸名も柳亭市寿と改めることになった、JBこと柳家寿伴。 昨年5月に二ツ目昇進した際誂えた、お客さまへお送りする『柳家寿伴』の名が染め抜かれた手拭いも、いま寿伴の手元にある在庫限りです。 今回、司記商行でも黄色と赤みがかった橙色、それぞれ5本づつ入荷いたしました。司記商行ではオリジナルな『Goodbye JB ステッカー』とおまけに三遊亭 司千社札つき。 どうぞ、今後とも、みなさんの、そしてぼくらのJBこと寿伴改め柳亭市寿を応援してやってください。
    1,300円
    三遊亭 司 萬國精選百貨
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    【ありがとうJB】現品限 柳家寿伴 手拭い 橙【さよならJB】

    師匠、柳家三壽師逝去にともない、柳亭市馬師匠門下に移り、芸名も柳亭市寿と改めることになった、JBこと柳家寿伴。 昨年5月に二ツ目昇進した際誂えた、お客さまへお送りする『柳家寿伴』の名が染め抜かれた手拭いも、いま寿伴の手元にある在庫限りです。 今回、司記商行でも黄色と赤みがかった橙色、それぞれ5本づつ入荷いたしました。司記商行ではオリジナルな『Goodbye JB ステッカー』とおまけに三遊亭 司千社札つき。 どうぞ、今後とも、みなさんの、そしてぼくらのJBこと寿伴改め柳亭市寿を応援してやってください。
    1,300円
    三遊亭 司 萬國精選百貨

記事一覧

【日本橋】8.3『三年目』

初演の令和六年、8月は夏らしく怪異譚から『三年目』を選んでみました。今年は落語協会という名称が出来てから100年の年で、『百年目』という春の噺が企画として出され…

三遊亭 司
1日前
3

【酒肴】夏のトリュフとナンタラカンタラ。

二軒目、どうする? 好きな言葉です。二軒目、どうしよっか?でもいいです。たのしい一軒目がないと成立しません。いや、そんなことない、一軒目に落胆して行く二…

三遊亭 司
2日前
6

【おしらせ】8月の日本橋

このまえ7月の月例日本橋が終演したと思ったら──実際、先週のこと、8月の日本橋つかさの会まで二週間。す、すぐじゃない。 7月はご予約、ご来場が少なめ…

三遊亭 司
3日前
2

【藝】7.13

わたしのことを、ろくちゃんと呼ぶひとがまれにいます。とても古い友人や、楽屋仲間がほとんどです。18歳からわずか2年ほどしか名乗っていませんが、桂六久助というのが…

三遊亭 司
9日前
10

【食】在りし日の焼きビビンバのこと

店はあるのに、いまでは食べられないひと皿。店自体がなくなるより、それは、ずっといいことなんだけど、行くたびに、そうだよな、ないんだよな、と、メニューを一応、…

三遊亭 司
11日前
8

【おしらせ】月例日本橋 7月 その2

初演『かぼちゃ屋』、もう一席が『素人鰻』なんておはなしをしましたが、もう一席、三席目は祭禮の季節で『百川』を演ります。この噺は、寄席での真打披露ではかけてい…

三遊亭 司
12日前
2

【酒肴】水貝

水貝という料理……ではなく、言葉を知ったのは、料理屋ではなく歳時記であったと思う。貝というものの、水貝の貝は鮑をさす。だから、鮑以外の貝でやるとするならば、…

三遊亭 司
13日前
6

【暮らし】暑気払い

そうやすやすと、払える暑気なんかでは、到底ない。が、暑気払い。ことのおこりは、盆暮のあいさつから。落語家の世界では、盆暮のあいさつ──お中元にお歳暮は、前も…

三遊亭 司
2週間前
6

【しつらひ】松は歪みて面白い

ひとりが好きで、寂しがりやで、まぁ、わかりやすいけど、めんどくさい人間です。わたしのことです。ふだんの食事は伊勢春慶のお膳で事足りていますが、来客があるとき…

三遊亭 司
2週間前
10

【暮らし】物言わぬ生命

ベランダ菜園でも、まして、家庭菜園でもない。柵菜園。去年までは唐辛子があって、なにかにつけて、摘んでいたものの、越冬できずに枯れてしまった。なので、ラオスフ…

三遊亭 司
2週間前
12

【書】月刊おとなりさん

毎月なにかしら書く仕事をいただいています。ありがたいことです。それに加えて、月例日本橋の挨拶文、これが1600文字。原稿用紙4枚なので、ちょっと書くには多いぐらい…

三遊亭 司
2週間前
7

【茶】緊急指令、青草茶を煮出せ。

梅雨明け前、天気予報では最高気温35℃を伝える。それに加えての宿酔。昨夜の酒が汗になって、補う水が、また、汗となる。よし、煮出すしかないな。と、5リットルの小さ…

三遊亭 司
2週間前
5

【老舗】こんな日は銷夏鍋といきますか

座敷に渡された板を前に、どかっと遠慮なくあぐらをかく。流した汗の水分を補うように、まずはビールからはじめようか。 どぜう鍋にごぼう。植木屋さん、鯉の洗いを…

三遊亭 司
2週間前
8

【酒】宿酔封じ、その名は……。

毒は毒を以て制す。 そんなカクテル、ミチェラーダ。 酒飲みの詭弁。さにあらず、ラテンアメリカでは二日酔いの民間療法として信じられているというんだから、…

三遊亭 司
2週間前
8

【おしらせ】月例日本橋 7月

前座のころから何百何千回も「年をとると、噺は覚えられなくなるぞ」と耳にしてきたが、あれから26年、実感としてはまだない。そもそも、覚えること自体に時間がかかるほ…

三遊亭 司
3週間前
2

【酒肴】夏越のかつを

かつをの季節が過ぎようとしている。 江戸っ子ではないが、かつをだけは放っておけないという、その一点に限っていえば、典型的な江戸っ子気質と呼ばれてもかまわない…

三遊亭 司
3週間前
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【日本橋】8.3『三年目』

【日本橋】8.3『三年目』

初演の令和六年、8月は夏らしく怪異譚から『三年目』を選んでみました。今年は落語協会という名称が出来てから100年の年で、『百年目』という春の噺が企画として出されましたが、こちらはぐっと短く『三年目』です。

『三年目』ってどんな噺?

ある商家の夫婦。ふだんから仲睦まじく暮らしておりましたが、おかみさんのほうがふとした風邪が原因で床につくが、一向によくならない。計らずも医者のはなしを

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【酒肴】夏のトリュフとナンタラカンタラ。

【酒肴】夏のトリュフとナンタラカンタラ。

二軒目、どうする?

好きな言葉です。二軒目、どうしよっか?でもいいです。たのしい一軒目がないと成立しません。いや、そんなことない、一軒目に落胆して行く二軒目だってあるだろ。と。そんな時は、二軒目が一軒目でいいじゃないですか。三軒目以降は惰性です。これは、思いつき。異論はおおいに受けつけます。いや、異論ありきで。でも、そんな時は、お酒を飲みながらおなはししましょ。

横文字に

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【おしらせ】8月の日本橋

【おしらせ】8月の日本橋



このまえ7月の月例日本橋が終演したと思ったら──実際、先週のこと、8月の日本橋つかさの会まで二週間。す、すぐじゃない。
7月はご予約、ご来場が少なめで、まぁこの暑さだから。とか、長いこと商売をやっていると、こんなことよくありますよ。なんて言ってくださいましたが、やっぱり、少ないと、さみしいじゃない。たくさんいらっしゃればいいというものではないけれど。

なので、ぜ

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【藝】7.13

【藝】7.13

わたしのことを、ろくちゃんと呼ぶひとがまれにいます。とても古い友人や、楽屋仲間がほとんどです。18歳からわずか2年ほどしか名乗っていませんが、桂六久助というのが、わたしにつけられた最初の藝名です。ですから、ろくちゃん。
本来の意味合いでそう呼ぶのは、いまや、五代目桂三木助の実母、四代目の実姉……と、いうことは三代目の息女茂子姉さんのみ。もうひとりいらした、田端のおかみさんは、数年前に

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【食】在りし日の焼きビビンバのこと

【食】在りし日の焼きビビンバのこと

店はあるのに、いまでは食べられないひと皿。店自体がなくなるより、それは、ずっといいことなんだけど、行くたびに、そうだよな、ないんだよな、と、メニューを一応、ナナメ読みする。
川崎駅からかつての川崎球場手前を右に曲がり、渡田に行くと、その店、龍苑はある。
「何を食べても旨い」がほめ言葉なら、この店は百人が百人別々に、自分の好きなひと皿がきっとある。たとえば、それでも、牛タンだけ

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【おしらせ】月例日本橋 7月 その2

【おしらせ】月例日本橋 7月 その2

初演『かぼちゃ屋』、もう一席が『素人鰻』なんておはなしをしましたが、もう一席、三席目は祭禮の季節で『百川』を演ります。この噺は、寄席での真打披露ではかけていないのですが、池袋演芸場での三遊亭圓歌一門会で主任を勤めたときにかけた噺で、師匠歌司のネタでもあります。

連休のアタマで、集客大苦戦中!

まぁ、暑いしね、もう何年目になるか、の、屋外へ出るな!の夏ですが、よろしかったら

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【酒肴】水貝

【酒肴】水貝

水貝という料理……ではなく、言葉を知ったのは、料理屋ではなく歳時記であったと思う。貝というものの、水貝の貝は鮑をさす。だから、鮑以外の貝でやるとするならば、水貝仕立ということになるであろう。
手元にある角川の歳時記をひらくと「新鮮な生の鮑あわびの肉を塩で磨いて薄切りや賽さいの目に切り、氷を入れた水に浮かべたもの。薬味を添え、そのままあるいは山葵わさび醬油で食べる。」としてある。こうし

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【暮らし】暑気払い

【暮らし】暑気払い

そうやすやすと、払える暑気なんかでは、到底ない。が、暑気払い。ことのおこりは、盆暮のあいさつから。落語家の世界では、盆暮のあいさつ──お中元にお歳暮は、前もって連絡することなく、ごあいさつに伺いました。と、突然訪ねる。そこで、いらっしゃれば、無事にあいさつは終わるのだが、いなければ再度訪ねる。以下、繰り返し。わたしも師匠をはじめ、客先など、何箇所かそうしてきて、やがて、何人か、うちにも訪ねて

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【しつらひ】松は歪みて面白い

【しつらひ】松は歪みて面白い

ひとりが好きで、寂しがりやで、まぁ、わかりやすいけど、めんどくさい人間です。わたしのことです。ふだんの食事は伊勢春慶のお膳で事足りていますが、来客があるときは、いくつか机、食卓があって、気分……と、いうより、酒と肴によって使い分けます。おおきさは、これ以上大きいと、結局座るところがなくなるので、たいてい同じなのですが。
気分と言いましたが、確かに、気分。ゆっくり、じっくりの時は、松の

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【暮らし】物言わぬ生命

【暮らし】物言わぬ生命

ベランダ菜園でも、まして、家庭菜園でもない。柵菜園。去年までは唐辛子があって、なにかにつけて、摘んでいたものの、越冬できずに枯れてしまった。なので、ラオスフェスティバルで唐辛子の苗を買ったが、実をなすまではだいぶかかりそう。そのかわり、250円で買ってきた青紫蘇、大葉はわさわさとなる。わさわさと目についてきたところで、素麺に使ったり、刺身に添えたり、そんなことをしてるうちに、すっかり250円

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【書】月刊おとなりさん

【書】月刊おとなりさん

毎月なにかしら書く仕事をいただいています。ありがたいことです。それに加えて、月例日本橋の挨拶文、これが1600文字。原稿用紙4枚なので、ちょっと書くには多いぐらい。一応、組み立てが必要となります。
機関誌や業界誌でのコラムもありますが、昨年から大田区の地域情報誌に毎月コラムを寄稿しております。こちらは大田区役所や特別出張所、文化施設。寺社、商店などでお手にできます。そんな月刊おとなり

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【茶】緊急指令、青草茶を煮出せ。

【茶】緊急指令、青草茶を煮出せ。

梅雨明け前、天気予報では最高気温35℃を伝える。それに加えての宿酔。昨夜の酒が汗になって、補う水が、また、汗となる。よし、煮出すしかないな。と、5リットルの小さな寸胴をガラガラと出してきて、台湾の街角でお馴染みの、青草茶を。
食べ過ぎ、飲み過ぎ、熱帯の熱さに、何度助けられたであろう、青草茶。わたしの好みは、無糖、少凍。ほぼ日本語だね、砂糖無しの、氷が少し。なんだけど、高確率で砂糖が入

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【老舗】こんな日は銷夏鍋といきますか

【老舗】こんな日は銷夏鍋といきますか

座敷に渡された板を前に、どかっと遠慮なくあぐらをかく。流した汗の水分を補うように、まずはビールからはじめようか。
どぜう鍋にごぼう。植木屋さん、鯉の洗いをおあがり、で、鯉の洗いももらって、浅草にきたら、これは、もう、アサヒ一択。
やがて、真っ赤に熾された炭火と底の浅いどぜう鍋。ひらきかまるか?そりゃ、もちろん、まるでしょ、まる。あの苦味と割下の甘さ、ごぼうと葱がいいんじゃないの

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【酒】宿酔封じ、その名は……。

【酒】宿酔封じ、その名は……。

毒は毒を以て制す。
そんなカクテル、ミチェラーダ。
酒飲みの詭弁。さにあらず、ラテンアメリカでは二日酔いの民間療法として信じられているというんだから、サイコーじゃないですか、そのノリが。まさに、信じる者は救われる。一心如鏡、一心白道。暑い時期の宿酔の妙薬。良薬、口にヒリリ。が、このカクテル。
暑いときだって、宿酔の時だって、たのしみ方はゴマンとあって、今年はこれでいい

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【おしらせ】月例日本橋 7月

【おしらせ】月例日本橋 7月

前座のころから何百何千回も「年をとると、噺は覚えられなくなるぞ」と耳にしてきたが、あれから26年、実感としてはまだない。そもそも、覚えること自体に時間がかかるほうではなかったが、それでいうと、気が入るまでに時間はかかるようになった。

唯一、毎月の独演会である日本橋つかさの会は、今年は毎月ネタおろし、つまり、初演の会と決めた。なので、7月は七席目……なんだけど、実は昨年12月の会の『棒鱈

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【酒肴】夏越のかつを

【酒肴】夏越のかつを

かつをの季節が過ぎようとしている。
江戸っ子ではないが、かつをだけは放っておけないという、その一点に限っていえば、典型的な江戸っ子気質と呼ばれてもかまわない。いや、呼んでくれ。それも、やっぱり、戻りかつをより初鰹。銀皮を残したサクがあれば、タタキでもいいし、厚めにねっとりとした刺身もいい。いつだったか勝浦で一本買ってきた、かつを。あれは難儀した。うちの台所の流し場じゃ、ちと荷になる。ここ

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