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【日本橋】8.3『三年目』
初演の令和六年、8月は夏らしく怪異譚から『三年目』を選んでみました。今年は落語協会という名称が出来てから100年の年で、『百年目』という春の噺が企画として出されましたが、こちらはぐっと短く『三年目』です。
『三年目』ってどんな噺?
ある商家の夫婦。ふだんから仲睦まじく暮らしておりましたが、おかみさんのほうがふとした風邪が原因で床につくが、一向によくならない。計らずも医者のはなしを
【酒肴】夏のトリュフとナンタラカンタラ。
二軒目、どうする?
好きな言葉です。二軒目、どうしよっか?でもいいです。たのしい一軒目がないと成立しません。いや、そんなことない、一軒目に落胆して行く二軒目だってあるだろ。と。そんな時は、二軒目が一軒目でいいじゃないですか。三軒目以降は惰性です。これは、思いつき。異論はおおいに受けつけます。いや、異論ありきで。でも、そんな時は、お酒を飲みながらおなはししましょ。
横文字に
【しつらひ】松は歪みて面白い
ひとりが好きで、寂しがりやで、まぁ、わかりやすいけど、めんどくさい人間です。わたしのことです。ふだんの食事は伊勢春慶のお膳で事足りていますが、来客があるときは、いくつか机、食卓があって、気分……と、いうより、酒と肴によって使い分けます。おおきさは、これ以上大きいと、結局座るところがなくなるので、たいてい同じなのですが。
気分と言いましたが、確かに、気分。ゆっくり、じっくりの時は、松の
【暮らし】物言わぬ生命
ベランダ菜園でも、まして、家庭菜園でもない。柵菜園。去年までは唐辛子があって、なにかにつけて、摘んでいたものの、越冬できずに枯れてしまった。なので、ラオスフェスティバルで唐辛子の苗を買ったが、実をなすまではだいぶかかりそう。そのかわり、250円で買ってきた青紫蘇、大葉はわさわさとなる。わさわさと目についてきたところで、素麺に使ったり、刺身に添えたり、そんなことをしてるうちに、すっかり250円
もっとみる【書】月刊おとなりさん
毎月なにかしら書く仕事をいただいています。ありがたいことです。それに加えて、月例日本橋の挨拶文、これが1600文字。原稿用紙4枚なので、ちょっと書くには多いぐらい。一応、組み立てが必要となります。
機関誌や業界誌でのコラムもありますが、昨年から大田区の地域情報誌に毎月コラムを寄稿しております。こちらは大田区役所や特別出張所、文化施設。寺社、商店などでお手にできます。そんな月刊おとなり
【おしらせ】月例日本橋 7月
前座のころから何百何千回も「年をとると、噺は覚えられなくなるぞ」と耳にしてきたが、あれから26年、実感としてはまだない。そもそも、覚えること自体に時間がかかるほうではなかったが、それでいうと、気が入るまでに時間はかかるようになった。
唯一、毎月の独演会である日本橋つかさの会は、今年は毎月ネタおろし、つまり、初演の会と決めた。なので、7月は七席目……なんだけど、実は昨年12月の会の『棒鱈
【酒肴】夏越のかつを
かつをの季節が過ぎようとしている。
江戸っ子ではないが、かつをだけは放っておけないという、その一点に限っていえば、典型的な江戸っ子気質と呼ばれてもかまわない。いや、呼んでくれ。それも、やっぱり、戻りかつをより初鰹。銀皮を残したサクがあれば、タタキでもいいし、厚めにねっとりとした刺身もいい。いつだったか勝浦で一本買ってきた、かつを。あれは難儀した。うちの台所の流し場じゃ、ちと荷になる。ここ