三遊亭 司
日本橋つかさの会 口演 三遊亭 司 薮伊豆総本店 東京都中央区日本橋 3-15-7 03-3242-1240 開演/午後3時30分 料金/2500円 問合/たけのこレシピ事務局 09078049891 takenokorecipe@yahoo.co.jp 今年も残すことあと3回となりました、日本橋薮伊豆総本店、三階座敷での月例会。初演の令和六年もあと三席です。 毎月あるので、毎月いらしてとは申しません。だけど、毎月あるので、いつでもいいというわけでもござ
初演の令和六年、8月は夏らしく怪異譚から『三年目』を選んでみました。今年は落語協会という名称が出来てから100年の年で、『百年目』という春の噺が企画として出されましたが、こちらはぐっと短く『三年目』です。 『三年目』ってどんな噺? ある商家の夫婦。ふだんから仲睦まじく暮らしておりましたが、おかみさんのほうがふとした風邪が原因で床につくが、一向によくならない。計らずも医者のはなしを耳にして、死期を悟ったおかみさんは、ただひとつ気がかりになることがあると亭主に打
二軒目、どうする? 好きな言葉です。二軒目、どうしよっか?でもいいです。たのしい一軒目がないと成立しません。いや、そんなことない、一軒目に落胆して行く二軒目だってあるだろ。と。そんな時は、二軒目が一軒目でいいじゃないですか。三軒目以降は惰性です。これは、思いつき。異論はおおいに受けつけます。いや、異論ありきで。でも、そんな時は、お酒を飲みながらおなはししましょ。 横文字に弱い。 これはわたしの弱点です。弱点でもないか。弱点だったら克服しよう
このまえ7月の月例日本橋が終演したと思ったら──実際、先週のこと、8月の日本橋つかさの会まで二週間。す、すぐじゃない。 7月はご予約、ご来場が少なめで、まぁこの暑さだから。とか、長いこと商売をやっていると、こんなことよくありますよ。なんて言ってくださいましたが、やっぱり、少ないと、さみしいじゃない。たくさんいらっしゃればいいというものではないけれど。 なので、ぜひ、いらしてください。 お客さん少ないですから来てください。は、全然、
わたしのことを、ろくちゃんと呼ぶひとがまれにいます。とても古い友人や、楽屋仲間がほとんどです。18歳からわずか2年ほどしか名乗っていませんが、桂六久助というのが、わたしにつけられた最初の藝名です。ですから、ろくちゃん。 本来の意味合いでそう呼ぶのは、いまや、五代目桂三木助の実母、四代目の実姉……と、いうことは三代目の息女茂子姉さんのみ。もうひとりいらした、田端のおかみさんは、数年前に、随分と三代目と四代目を待たせて、あちらにいかれました。おかみさんも、結局、最後
店はあるのに、いまでは食べられないひと皿。店自体がなくなるより、それは、ずっといいことなんだけど、行くたびに、そうだよな、ないんだよな、と、メニューを一応、ナナメ読みする。 川崎駅からかつての川崎球場手前を右に曲がり、渡田に行くと、その店、龍苑はある。 「何を食べても旨い」がほめ言葉なら、この店は百人が百人別々に、自分の好きなひと皿がきっとある。たとえば、それでも、牛タンだけは外せない。と、言っても、やはり、それはわたしの主観でしかないだろうな、と、龍苑
初演『かぼちゃ屋』、もう一席が『素人鰻』なんておはなしをしましたが、もう一席、三席目は祭禮の季節で『百川』を演ります。この噺は、寄席での真打披露ではかけていないのですが、池袋演芸場での三遊亭圓歌一門会で主任を勤めたときにかけた噺で、師匠歌司のネタでもあります。 連休のアタマで、集客大苦戦中! まぁ、暑いしね、もう何年目になるか、の、屋外へ出るな!の夏ですが、よろしかったらご来場ください。 お待ちいたしております。
水貝という料理……ではなく、言葉を知ったのは、料理屋ではなく歳時記であったと思う。貝というものの、水貝の貝は鮑をさす。だから、鮑以外の貝でやるとするならば、水貝仕立ということになるであろう。 手元にある角川の歳時記をひらくと「新鮮な生の鮑あわびの肉を塩で磨いて薄切りや賽さいの目に切り、氷を入れた水に浮かべたもの。薬味を添え、そのままあるいは山葵わさび醬油で食べる。」としてある。こうして読むほうが、実際、見て、食べるよりはるかに興味がわくからおもしろい。
そうやすやすと、払える暑気なんかでは、到底ない。が、暑気払い。ことのおこりは、盆暮のあいさつから。落語家の世界では、盆暮のあいさつ──お中元にお歳暮は、前もって連絡することなく、ごあいさつに伺いました。と、突然訪ねる。そこで、いらっしゃれば、無事にあいさつは終わるのだが、いなければ再度訪ねる。以下、繰り返し。わたしも師匠をはじめ、客先など、何箇所かそうしてきて、やがて、何人か、うちにも訪ねてくるようになった。お世話とは、具体的に言えば、仕事をたのんだり、稽古をしたり、と
ひとりが好きで、寂しがりやで、まぁ、わかりやすいけど、めんどくさい人間です。わたしのことです。ふだんの食事は伊勢春慶のお膳で事足りていますが、来客があるときは、いくつか机、食卓があって、気分……と、いうより、酒と肴によって使い分けます。おおきさは、これ以上大きいと、結局座るところがなくなるので、たいてい同じなのですが。 気分と言いましたが、確かに、気分。ゆっくり、じっくりの時は、松の一枚板。このテーブルが好きです。耳をあえて手前にして、手触りをたのしんだり。ひと
ベランダ菜園でも、まして、家庭菜園でもない。柵菜園。去年までは唐辛子があって、なにかにつけて、摘んでいたものの、越冬できずに枯れてしまった。なので、ラオスフェスティバルで唐辛子の苗を買ったが、実をなすまではだいぶかかりそう。そのかわり、250円で買ってきた青紫蘇、大葉はわさわさとなる。わさわさと目についてきたところで、素麺に使ったり、刺身に添えたり、そんなことをしてるうちに、すっかり250円の元値をとってしまった。 愛玩動物でも観葉植物でも、年少のころより「物言
毎月なにかしら書く仕事をいただいています。ありがたいことです。それに加えて、月例日本橋の挨拶文、これが1600文字。原稿用紙4枚なので、ちょっと書くには多いぐらい。一応、組み立てが必要となります。 機関誌や業界誌でのコラムもありますが、昨年から大田区の地域情報誌に毎月コラムを寄稿しております。こちらは大田区役所や特別出張所、文化施設。寺社、商店などでお手にできます。そんな月刊おとなりさんのコラムも、来月で十席目。というのは、毎月一席噺を決めて、その噺につかずはな
梅雨明け前、天気予報では最高気温35℃を伝える。それに加えての宿酔。昨夜の酒が汗になって、補う水が、また、汗となる。よし、煮出すしかないな。と、5リットルの小さな寸胴をガラガラと出してきて、台湾の街角でお馴染みの、青草茶を。 食べ過ぎ、飲み過ぎ、熱帯の熱さに、何度助けられたであろう、青草茶。わたしの好みは、無糖、少凍。ほぼ日本語だね、砂糖無しの、氷が少し。なんだけど、高確率で砂糖が入ってくる。 台南駅近くの東菜市の阿姨には、Qīngcǎo cháの発音を
座敷に渡された板を前に、どかっと遠慮なくあぐらをかく。流した汗の水分を補うように、まずはビールからはじめようか。 どぜう鍋にごぼう。植木屋さん、鯉の洗いをおあがり、で、鯉の洗いももらって、浅草にきたら、これは、もう、アサヒ一択。 やがて、真っ赤に熾された炭火と底の浅いどぜう鍋。ひらきかまるか?そりゃ、もちろん、まるでしょ、まる。あの苦味と割下の甘さ、ごぼうと葱がいいんじゃないの。 食べ方おわかりですか?って、そう親切に訊いてくれる、配膳のおねぇさん
毒は毒を以て制す。 そんなカクテル、ミチェラーダ。 酒飲みの詭弁。さにあらず、ラテンアメリカでは二日酔いの民間療法として信じられているというんだから、サイコーじゃないですか、そのノリが。まさに、信じる者は救われる。一心如鏡、一心白道。暑い時期の宿酔の妙薬。良薬、口にヒリリ。が、このカクテル。 暑いときだって、宿酔の時だって、たのしみ方はゴマンとあって、今年はこれでいいんじゃなかかろうか。と、タコスをつまみながら、まわらぬアタマで考えたのです。
前座のころから何百何千回も「年をとると、噺は覚えられなくなるぞ」と耳にしてきたが、あれから26年、実感としてはまだない。そもそも、覚えること自体に時間がかかるほうではなかったが、それでいうと、気が入るまでに時間はかかるようになった。 唯一、毎月の独演会である日本橋つかさの会は、今年は毎月ネタおろし、つまり、初演の会と決めた。なので、7月は七席目……なんだけど、実は昨年12月の会の『棒鱈』から初演を続けている。ちなみに、真打になる前の二ツ目のときは二ヶ月に一度の蒲田