巨大SaaS

巨大産業の常識を覆すゲームチェンジャーたち | イベントレポート

先日、for Startups × Zenport共催の「巨大産業を覆すゲームチェンジャーたち ~業界特化型SaaSスタートアップ4社の経営陣が徹底討論~」に参加してきました。

今回は、貿易、建設、薬剤師、保険といったイノベーションが起きづらいとされていた巨大産業に、ITの力を駆使して変革に挑む業界特化型SaaSスタートアップ4社が登壇されました。

■ご登壇者/モデレーターの方

◉業界特化型SaaSスタートアップ
・株式会社Zenport 代表取締役CEO 加世田敏宏氏(
@toshi_kaseda) 
・株式会社hokan  代表取締役社長 COO 尾花政篤氏(
@ShigeObana)
・株式会社オクト 代表取締役社長 稲田武夫氏
・株式会社カケハシ 代表取締役CEO 中尾豊氏 


◉モデレーター
・for Startups,inc. 神宮司茂氏

■ 今回のnote

・第一部:各社事業紹介
・第二部:パネルディスカッション
<議論内容例>
・SaaSであることの優位性
・PMF(プロダクト・マーケットフィット)の作り方について
・参加者からの質問

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★結論★

①PMFの作り方のコツは、心を折らないこと。自分が信じられることを、2、3年本気でやること。
②本当に価値を与えるべき人は誰なのか?ということを強く言い続ける。
③初期の3ヶ月に全てのKPIが詰まっている?
④徹底的なユーザーヒアリングが、リードにつながる
⑤使いづらいと思っていても、チャーンしない一定期間がある。
⑥チャーンしない時期にチャーンするリスクを調べあげること
⑦ネットワーク効果がきくツールは強い→積極的に導入支援をする
⑧初期はユーザージャーニーをしっかり考えよう
⑨ユーザーの声を最速で聞く方法は、ユーザーを社員に入れること
⑩プロダクト作り1回目で成功しているところはあまりない?

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■ 第一部 各社事業紹介


Zenport

「Zenport」という貿易周りの課題解決するソフトウェア(SaaS)を提供。

2015年末頃に立ち上げた。貿易業務は複雑で管理が大変。

▼ 貿易の大変なところ

①工程が多い
②数量変更や遅れが多い。(イレギュラーなことが多い。期日通りに届かないこともある。)
③関係者が多い。情報が分散していて、どうなっているかわからない。

これらの課題を解決するソフトウェアがZenport。

● 機能面の一例紹介

ダッシュボード機能:発注から船積、倉庫搬入までのプロセスを一つの画面で管理。1つの工程が変更されると、関連する工程も自動で変更。変更はweb,mail,mobileで自動通知。関係者間のコミュニケーションコストを減らしていく。最大95%削減の実績。

詳しくはこちらから。

● トラクション

産業や規模によらず多くの顧客に愛用。バッグ・アパレル・食品など。

● 起業背景、そして何故事業ドメインが貿易に?

ブロックチェーンを元々やっていた。ブロックチェーンで課題解決できそうなもの何かないか?と考えた時に「貿易」に着目した。ブロックチェーンと貿易を掛け合わせて「モノ」と「カネ」が世界を自由にめぐる未来を作りたい。

● 今後の展開

今後は、SaaSのプラットフォーム上にクライアントのデータが溜まるので、その蓄積したデータを元に融資、保険、B2Bマーケットプレイスを展開する予定。

最初から世界に使われるプロダクトを作ろうとしている。


▼ Zenport CEO 加世田さんブログ


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hokan

■ 尾花政篤さんの自己紹介

元々、ベイカレントコンサルティングにいた。主に担当していた業界が保険。創業した理由は、保険業界自体にはお金があるが、イノベーションが進みづらい現状があり、保険業界を何とかしたいと思い「InsurTech」を。InsurTech Japanというメディアもやっている。

■ この数字、何だと思いますか?

① 48兆円:日本の損保と生保を合わせた市場規模
②500億円:とある保険会社一社のIT予算。この規模のお金をたった一社で持っている。

実は、海外にはInsurTechはたくさんある。

だが、日本でシードラウンド調達しているのは、3社くらい。

▼ 参考記事


■ hokanのミッション

保険業界をアップデートする。SaaSで終わりだと思ってなくて、保険業界全体をアップデートしたい。保険業界に恩返ししたい。

■ 事業内容

メインはSaaS。保険業界を分解すると、この3つに分類可能。

「一般消費者」、「保険営業」、「保険会社」

hokanのメイン対象者は、保険営業向け。

他に代理店向けのメディアやったり、insurTech Japanなど保険会社向けにメディアもやっている。

■ 保険会社を取り巻く「IT」

端的に言うと、保険会社が扱っているシステムのUI/UXは、ダサい。この現状はやばい。UIも結構ひどいが、機能毎にシステムもバラバラで、情報が統合されていないと言う現状の課題。

■ Web版のhokanのイメージ動画

※ 注:youtubeで拾ってきたもので、イベントの際に流れた動画ではありません。


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オクト

■ メインプロダクト:ANDPAD


ANDPADは、建設業界向けのSaaS。シリーズAラウンド終わった後くらい。従業員60人程。顧問に元mixi CEOの朝倉祐介さんもいる。

代表取締役社長の稲田氏は元リクルート。

従業員の15人くらいが業界出身者。

■会社のミッション

 労働力不足が著しい建設業の「働く」を「幸せ」にする

■ 業界の課題

全産業対比で最も高齢化・労働人口減少。全産業対比で最も生産性が低い。(10代6千人。20代大工、2万人ほど。そして人の採用がとても難しい。)

■ なぜ建設業界に??

グローバルでは広がるCon-Tech。Con-Techの中では有名なPlanGridとかGoogleが出資している(?)。

「ANDPAD」スマホ施工管理アプリシェア業界No.1

建設業界を取り巻く状況は、こんなところ。

① 労働生産性は日本はG7で最下位。
② 建設業は全産業対比で最も生産性が低い。
③ 高齢化・労働人口の減少
④ 市場規模は50兆以上
⑤ 建設需要は伸びており、労働力不足は待った無し
⑥ 労働環境は3K
⑦ 国交相もITバックアップ化。

■ 業界のペインポイント

現場管理は忙しすぎる。経営者は完工粗利低下に悩む。

■ 今までANDPADのようなものが何故なかったの?

建設業界は、外にいるからことが多い仕事でパソコンを開くようなことは余り無かったから。でも今は、スマホがある。ANDPADを用いることで、図面のクラウド管理とかいろんなことができるように。

■ オクトのコアコンピタンス

①業界理解力:建設業界出身者も多数。
②エデュケーション:セミナーなどユーザーの教育をする
③UI / UX:徹底的にUI / UXにこだわる。

▼ 参考記事

・投資額が5年で5倍!シリコンバレーの著名VCが続々投資する建設×ITスタートアップまとめ

・Con-Tech(コンテック)が建設業界を効率化する。AIを搭載した“写真の達人”が工事写真の管理を自動化


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カケハシ



KAKEHASHI中尾さん

医療、特に薬局に注目している。「患者さん」を軸に物事を考えている。

■ 起業した背景

・課題が積算する日本の医療。
・42兆円の医療費。
・イノベーションの不在。
・規制と権力。
・医療社会の非効率性と過酷な労働環境。

これは、問題解決をしないと危ない。

---- 患者と医療をつなげるカケハシ
---- 医療と医療をつなげるカケハシ
---- 医療と未来をつなげるカケハシ

■ 創業者の紹介

創業者の中尾氏は武田薬品出身。COOはマッキンぜー出身。

患者さんの医療体験を変えるべくKAKEHASHIを創業。

■ 薬局に注目した理由

①コンビニより数が多い
②患者と薬剤師の1年間の会話回数8億回
③薬局は薬をただ受け取るイメージが多い。勿体無い場所になっている。

厚生労働省は薬局に変革を促している。一斉号令。

 対物業務  👉 対人業務
(アウトプットベースで業界を変革しようと。)

■ 薬剤師さんが患者さんに価値を出していく上で妨げになっている要因は?

👉 薬歴の記入業務:8時間のうち2時間はこれをやっている。

我々の次世代薬歴システム「Musubi」を使えば理論値では15分に短縮。

■ 従来のフロー:患者来店→調剤→服薬指導→薬歴→完了。

我々はこのフローを変革。より深く服薬指導を行えるように。

患者さんにあった生活や薬のアドバイスが出るため価値提供の会話のきっかけを作りやすい。薬を渡すだけでなく、アドバイスが出てくる。

患者さんに見せながら進める。薬歴も自動で記載。+αでアドバイスが出る。

ただの薬を渡すところ、受け取るところと言う関係から、「Musubi」でかかりつけ薬局に変える。

■ Musubiの口コミ

Musubiは、使っているうちに薬剤師の能力だけでなく魂までもブラッシュアップしてくれるシステムだと感じる。

■ 実績

・8ヶ月で日本全体の13%のリード獲得(8000店舗/60000店舗)

・WBSとか日経とか雑誌とかのメディア掲載も。

・登壇したピッチはイベントは全て優勝(2個とも)。

・シリーズAで9億円調達。

▼メディア掲載


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■ 第二部:パネルディスカッション
(モデレータ:for Startups神宮司)

Q1.「SaaS」であることの強み。他のサービス・プロダクトとの優位性について。


Zenport 加世田氏

SaaSが流行ってきている理由は、提供者側の視点だとしては、データだと思っている。これまではデータが分散していた。

hokan 尾花氏

保険にまつわるいろんなサービスを検討した上で、結局SaaSにした。何故かと言うと、ユーザーヒアリングをめちゃくちゃした結果、保険ってなんやかんや「人」だよねってなった。頭いい人も結局営業マンに聞く。toCに行くよりも、保険営業をSaaSでアップデートする方が業界全体をアップデートできると思った。

Q2.薬剤師って紙ベースというか、システムが入っていないイメージあるけど実際どう?


カケハシ 中尾氏

薬剤師でいうと、使いづらいオンプレミスの仕組みがずっと当たり前にあって。オンプレのシステムエンジニアに言っても中々変わらないと。SaaSはクラウドサービスなので、アジャイルで開発されるといい感じにアップデートされ、変化に対しての現場の満足度も上がりやすい。そもそもなんで SasSなのかと言うと、オンプレミスよりは導入費用が比較的安い。例えば、お薬手帳アプリを作ったとしてもみんなダウンロードしたいと思わない。これも広まらないと。そもそも何でお薬手帳必要なのかというと、お薬の飲み合わせをチェックするもの。患者さん目線で考えれば、とあるA店と、とあるB店にそれぞれ行ったとしてもそこで薬局側での情報連携ができていたら飲み合わせのチェックをそこでしてくれたら良い。顧客体験的に言うとすごくポジティブになる。カケハシとしては、何故SaaSなのかと言うと、世の中を変革して行くプロダクトを作る上で「答え」が見えないからこそ。アジャイルで、徐々に徐々に開発をアップデートすることで、業界もアップデートしていこうとしている。

Q3.業界的に変わってるようで変わっていない、分かりづらいこともあると思うんだけど、貿易において時代の変化はどう?


Zenport 加世田氏

今の変化、どんどん個に落ちてきていると思う。これは貿易に限らずの話。個人も物を売買できる。今は貿易とか売買って別に企業である必要はない。国境って希薄化している。国境のない経済をミッションにして、それを実現するための手段として、その入り口としてSaaSにしている。

Q4.建設の変化ってどんな感じ?2020年のオリンピックに向けて建てる人の不足とかニュースになってると思うけど。終わった後はどうなる?


オクト稲田

業界における変化と、そこにおけるビジネスチャンスって言う話で言うと、建設ってすごく広い。50兆くらいあるんだけど、大きく分けると住宅と非住宅に別れる。非住宅でいうと、オリンピックは一個重要なテーマ。それ以降も建設需要はしばらくあると思う。ただ、もしかしたらゼネコンという業態が変わるかもしれない。住宅の方は、新築着工数は減っている。新築を建てる関係会社は減っていくだろう。減っていく中でリフォーム、中古住宅流通産業がトレンドになりつつある。国もリフォーム産業と中古流通マーケットを20兆まで増やすと言っているが、言い始めてから5年くらいで実質あんまり変わっていない。一方で空き家問題とかもある。これも全て、家、資産価値としての流動性がないことが課題。我々のような立場でビジネスチャンスと捉えると、家を立てて、13年くらいすると土地の価値しかない、建物の価値がなくなる。日本はない。アメリカはリペアすると資産価値が上がって流動する。何故ないかと言うと当時した施工した履歴がないから。国がいまやっているのは住宅履歴管理制度。ちゃんと住宅診断をやるように。中古在宅流通売買時に、住宅診断(インスペクション)することがマストになった。この事実を知って、実際に日本で住宅診断をできる工務店がどれだけあるかと言うと中々いない。そう言うところに対して、インスペクションのアプリケーションを提供したり、テクノロジーでできるようにしていこうとしている。


Q5.PMF(プロダクト・マーケットフィット)の作り方について。


hokan 尾花氏

我々、PMFしているのかと言うとまだ完全には仕切ってはいない。年内にはするつもりでやっている。苦労したのは、「御社が解決するペインポイントは何だ?」とよく聞かれること。そもそも業界にペインポイントがありすぎる。紙でやってるし、使うのもエクセルだし、ペインだらけだし。そこが困っている、明確に言いあてられから。いまは、メールからSlackに変わるぐらいの変化を起こそうと思ってるんだって自分では理解するようにしている。全部変えないといけない、でもその中でいまアプローチするべきものとしては保険営業の方が日々使っている顧客管理、契約管理、スケジュール。ToDOみたいなところから入ろうと、やっている。一応いま刺さりつつあるという感じ。

Q6.どうして建築なの?


オクト 稲田氏

確かに、私は建設とか全く関係ない人間。なぜか、漠然と「リフォーム」という産業に興味があった。リクルートにいた時はポスレジの検索系システムとか日常消費領域でずっとやっていた。せっかく自分でやるならBtoBでやりたいと思った。インターネットの領域って楽天とヤフーとリクルートが強い。ビッグベンチャー作ろうとした時に絶対邪魔される。リクルートと戦えるレベルの事業作りたいなと、そして自分がリクルート時代やっていなかったのがSUUMOと言う住宅の産業だった。起業して2ヶ月くらいで競合認定されてしまう。とりあえず、自分がやったことのない領域で、かつ課題が多い中で何かできるんじゃないと思った。僕なりのPMFの作り方のコツは、心を折らないこと。特にインダストリークラウドとかを本気で目指す場合は心を折らないこと。僕は、マクロへの強い仮説を強く感じるから心を折らなかった。建設業って絶対にIT化しないといけないよね、という。2、3年本気でマーケットのことを俯瞰的に、およびミクロに本気で全国の会社と話していると思いが持てる。自分が信じられること、2、3年本気でやること。

Q7.加世田さんどう?


Zenport 加世田氏

あきらめないことは本当にそう。結構、ここ行けると思ったら優秀な人がパンと来る。そう言う人って頭が良い分、いけないと感じたらすぐ他に行く。だからそこで根をはって、やり続ける。

Q8.マーケットっていうと巨大なイメージあるが、そこは意識したこと?


Zenport 加世田氏

僕もともと、商社とかにいたわけでもない。業界からまず選んだ。自分のモチベーション湧くの何かなと思った時に、貿易ってデカいなと思ったこと。そして僕のもともと、ブロックチェーンというバックグラウンドが生きるところから選んだ。

Q9.中尾さんはもともと業界に前職から携わる中で薬剤師さん向けはずっと思っていたこと?


カケハシ 中尾氏

全く思っていなかった。起業しようとも一ミリも思ってなかった。一営業マンとして日本一になれれば良いなと思っていたくらい。でも、製薬会社勤務だったので薬の製品がコモディティー化していればそのシェア取っても本当に患者さんのためになるのかと言うシーンが生まれる。変わっているのは自分のボーナスくらいで、最初は嬉しいけど余り意味ないなと気づいた。患者さんのことを考えた時、何が価値あるかなと途中で考えが変わった。

PMFというよりも、感覚的にはインダストリーマーケットフィットとか、カルチャーフィットがすごく重要要は、機能で物事を語らない。業界全体の課題がどこにあって、経営者の深い悩みはどこにあって、深い悩みはどう解決しないといけないかと言う、状態を解決しないといけない。業界全体を解決しないといけない。業界全体が抱えるペインの話なので、プロダクトレベルの話ではないそれを知るために創業前に200人、創業後に200人、合わせて400人にヒアリングした。400人にヒアリングすると、「なんか志高い少年が来たぞ」と、それが結局リードに繋がる。プロダクト作った瞬間に「私は、中尾さんにこう言うことを教えました!」とFacebookなどでシェアしてくれる。それは結局リードになる。泥臭さと、業界レベルのペインを見つけた人が、PMFと言われる何かを見つけることができると思う。ちなみにまだPMFは完全にはできていない、もっと極めたい。

Q10. 広告とかCMとか売ってもお客さんに響くような業界ではないと思うんだけど、何か拡散していく仕掛けはあった?


カケハシ 中尾氏

仕掛けはない。Facebook広告もほぼ打ったことない。何をしたかと言うと、プレゼンの前に「僕のプレゼンに感動したらFacebookにあげてね」と言っている。「僕はこう言う思いでやっていて、こう言う風にヒアリングして、ここが業界の困っていることだからここを解決しようと思ってますと言う話をして、僕らの会社にはできない領域があるからあなたたち(薬剤師さん)が頑張らないといけないんだ、一緒に頑張って、ここの未来を一緒に取りに行きましょう!」と話をする。機能の話は一切しない。夢や未来を語る。未来に行くためには、薬剤師さんはきっとこう言う課題にぶつかるから、そこは我々が頑張るから、そこに行くための努力を薬剤師さんがしないといけないとそもそもダメだという話をする。そうすると、「聞いてよかった。」とFacebookに上げてくれる。営業というより、啓蒙、啓発みたいなプレゼンテーション。プレゼンを聞いてくれた人たちがインフルエンサーになってくれる。ブースとかを出展すると、プレゼンを聞いてくれた方が、Tシャツを一緒に着て「これは良いぞ!」と応援してくれることさえある。お金を払うことが全てではなくて、その人たちの心をつかむことが重要。

Q11.他の会社さんで、自分の会社はこんな感じでやっているというのある?


hokan 尾花氏

やっていることは大きく2つある。1つ目は、先生的ポジションをとること。もう1つ目が裏技を使うこと。先生的ポジションについてから話すと、InsurTech Japanというメディアをやっていて、InsurTechの日本代表みたいな言い方をしているんで、ここからInsurTechの情報を発信する。要は業界をアップデートするような最新情報を発信するメディアは俺らだよ、と刷り込んでいる。そこから海外のInsurTechの方からもたまに連絡が来て情報がぐるぐる回って情報が集まってくる。僕、講演とかをしているので、啓蒙する立場から入っていく。(CEOの)小坂も高い実績があるので、保険代理店を伸ばすにはどうしたら良いかという立場から入る。2つ目の裏技は、CEOの小坂パワー。元々、保険業界で結構影響力ある。業界団体が集まっているところでhokanの宣伝をするとか、保険会社の役員に繋がって保険会社経由で保険代理店におろしてくれないかと、ごりっとやっている。


オクト 稲田氏

うちは、Webが効くか効かないかというのはよく分かっていない。というか試していないのが実態。何をやっているかというと、2つある。一個は業界の展示会。業界の展示会には、ものすごく展示している。しかも1ブースとかじゃなくてガッツリ出す。認知を取るための手段として展示会を活用している。1つの展示会で制約が何件で、ROI取れるんだっけということも一応見るが合わないこともある。年間予算決めて、とりあえずやると決めてこの2年間はやっているというのが実態。もう一個は紹介。究極的にはプロダクトの良さがあれば勝手に紹介が増えると考えている。紹介がKPIで、カスタマーサクセスが回るのが正しいと思っている。実際うちのリードの半分以上は紹介。良いプロダクトを作れば絶対に紹介が回ることをやっている。しかし、これは元々考えてやっているわけではない。うちと似たようなサービスで業界の影響力ある人が作られたプロダクトがあった。そうなると、社長さんのつながりがあるので、他社製品に流れていってしまったこともあった。論理的に考えたらウチのプロダクト(ANDPAD)がいいのに、他の会社を選ぶことがあるとなると、そこで戦ってもしょうがないなと。それでプロダクトに集中しようとなった結果、お客さんが回って来たという実態。そうせざるを得なくなってそうなった。

Zenport 加世田氏

貿易業界ってあるようでない。業界全体でまとまっているって感じがない。業界でのペインの共有とかない。僕らが「ここが業界のペインだよね。」と言っても中々気づいてもらえない。なので、今やっているのは2つある。1つは、ペインに気づいてもらうためにリーチすること。貿易ってハブになるプレイヤーがいる。それが物流業者。物流業者と一緒に売っている。パートナー営業としてまずはお客さんと繋がって、そこから紹介で広げていこうとしている。もう1つは、かなり泥臭いんだけど展示会に出展するのではなく、出展者に営業してリードを獲得している。」

Q12.テクノロジーを入れようとして、産業に所属する人たちからかかる圧力って実際あるの?団体とか派閥はある?


カケハシ 中尾氏

結構感じる。強く感じることはある。それに対して何をするかという答えは、1つ。エンドユーザー、つまり患者さん目線のコミュニケーションしかしないこと。それは医師も薬剤師さんも全員否定できないことだから。ただ、A団体を支援すると言ったらB団体が怒る。団体を主人公にするのでなく、本当に価値を与えるべき人は誰なのか?ということを強く言い続ける。たとえ、薬剤師の方が「このプロダクトは使いづらい!」と言っても、僕らは患者さんのためだからと言い続ける。患者さんに価値を出そうという啓蒙から行動変容させることが重要なプロダクト。教育をするエネルギーはかかるけど、あった方が良いよねと問うことを続けている。」

hokan 尾花氏

派閥とかはそこまではない。保険営業って自分の手でガッツリ稼ぐ文化。結局、売れている人が偉いという世界。その方が勉強会やられたり、コミュニティができている。売れている方が「これは使いたい!」と思わせるようなものを作っている。その人を起点に、下に伝わっていくように、保険を売れている人から攻めている。

オクト 稲田氏

正直あまりない。というのも、建設って資本主義の元に競争環境があるからあまりない。業界団体は多くあるけど、業界団体全体でANDPADはNGだよね、なんてことは一切ない。どこも労働力不足や施工品質の向上や事故の防止などに対しての危機感を感じている。ただ、ユーザーは全然違う。中古流通産業に対してITを入れる苦労はある。「オンボーディング」と言われるところ。利用開始からの最初の数ヶ月はすごく大事。我々だと、初期の3ヶ月に全てのKPIが詰まっていると社内でよく言っている初期の3ヶ月でユーザーの利用状況のKPIを持っていて、そこに到達していないとチャーンリスクはどれくらいになるよねとちゃんと管理している。初期の3ヶ月の利用度を上げるために立ち上げのチームを置いている。その立ち上げのチームがユーザーに教えに行っている。

我々のツールの一個の特徴としては、「ネットワーク効果」が非常に効くようになっている。Slackを思い浮かべてもらえると分かりやすい。契約者がいて、ゲストのユーザーがいる。とある一社がANDPADを使うと決めたら、パートナー工事会社も一緒に使う。そのパートナー工事会社って、その瞬間は下請けだが元請けもやっている。ゲストで使って、ANDPADを気に入ってもらえたら、お客様になってもらえる。なので、積極的に一社の導入を支援しようとしている

※オンボーディング:新たに採用・配属された従業員を、組織や部署のルールや文化、仕事の進め方などにいち早く慣れさせるための教育・訓練プログラムのこと。

Zenport 加世田氏

ないと思う。一方で、業界の力が強いと海外展開が難しくなる側面がある。うちの狙っている良いところは国を超えてプロトコルが同じ。英語使って同じ書類を使ってという。難しい分、変な障壁はない。

▼モデレーター:「事業ドメインを決める時、そこの部分まで考えていた?」

考えていた。グローバルで成功することを成し遂げたいと考えていたから。

Q13.一番重視するユーザーのデータ、ユーザーのKPIは?(参加者からの質問)


オクト 稲田氏

我々は、建設業の施工のプロジェクトのデータをためている。約一日2万枚、施行中の写真が溜まる。累積完工数が60万件くらい。施行中のやりとり、仕様書や、図面など、何より写真がすごく重要。クラウドベースでためている分類でいうと、建設はすごくデータが多い。それは分類すると職人さんがどういう専門職を持っていて、どういうエリア、いつ、どんな仕事をしていて、その礼金はどうかっていうデータは実はあんまりない。これがないと職人さんの適正な評価を行うことができない。ユーザーである職人さんのデータの蓄積が1つ重要。
もう1つ、工事会社さんは、基本的に融資を元に事業運営をされる。信用情報を銀行さんがどれだけ持っているんだっけ?銀行の審査部は、融資前に工事会社であれば全てのプロジェクトの工程表を紙で見ている。これ、うちのツールを使えばリアルタイムで見ることができる。会計や決済の情報を蓄積している。
あとは、建設の現場ってヒト・モノ・カネで流れている。モノは資材。資材は調達できないと建設できない。どういうメーカーの、どういう資材がどういうルートでどういう卸掛け率で流動しているか、そうした資材のところのIT化をやっている。ヒト・モノ・カネのデータをANDPADのデータベースで流動化している。

Q14.SaaSだとセキュリティ面を気にするお客さん多いけど、社内で専門部隊とか設けている?(参加者からの質問)


hokan 尾花氏

専門部隊は置いていない。当然、個人情報なのでそこはケアしている。当たり前だが、代理店間でお客さんの情報が混じったりするのはマズイのでそういうのは分類している。

Q15.PMFを確かめていく上で、どうやってプロダクト自体の価値を高めていく?


カケハシ 中尾氏

PMFの検証の仕方について。業界によって、1つのプロダクトをとりあえず使ってみようという期間がある。例えば、1ヶ月や半年間はまずは試してみようという期間がある。つまり、使いづらいと思っていてもチャーンしない一定期間がある。これは非常にリスク。使いづらいと思っているのか、使いやすいと思っているのか、こちらからアクティブに検証しにいかないといけない。チャーンしない時期にチャーンするリスクを調べあげること。ユーザーにヒアリングすることに尽きるのだが、Aの画面とBの画面ならどっちが良いとかヒアリングするケースもある。どの部分が辛いと思われているのかを絞る。例えば、サクサク進めるスピード感なのか、字の大きさなのか、画面遷移の数なのか、何を改善したら気持ちいいと思うのか、絞った上で質問していく。どのセグメント、つまり個店の薬局なのか、チェーン店の薬局で意見が分かれるのか、もしくはご高齢のユーザーによっては変わるのかなど。セグメントを切った上で検証しにいくことを関係性のある方達にひたすら聞きにいっている。そうすると、「この部分は使いづらい」などポロっと出てくることがある。チャーンしていないからこれは使いやすいんだと判断して営業をかけまくってしまうと、関係性の薄い人も契約してきたときに、「カケハシって、噂以上には良くないね。」と言われかねないので、そこを気をつけている。

オクト 稲田氏

立ち上げフェーズで言うと、ウチはプロダクトを0から2回作り直している。何がうまくいかなかったかというと、突き詰めると、価値から考えて機能を置いたというやり方を始めしたこと。ユーザーによって、ログはバラバラ。ユーザージャーニーを真剣に考えられなかったのが初期の失敗。ユーザージャーニーをちゃんとヒアリングしたのがプロダクト出してから半年後だった。やってみると、これまた深かった。建設って、リフォームの費用数百万円かかるところもあれば、億単位でかかるところもある。そこにぶち当たった時、まずは絞った。最初はリフォームと決めた。リフォームで600万円の費用がかかるワークフローはどうで、誰がプロジェクトを作成して、などワークフローを決めて作り直した。こちらが思い描いているとおり、ユーザーが使うのかっていう検証を繰り返した

カケハシ 中尾氏

ユーザーの声を最速で聞く方法は、ユーザーを社員に入れること。うちの会社は薬剤師だらけ。あらゆるセグメントの薬剤師。在宅、病院出身、薬局出身など。現場のペインを彼らが分かる。ユーザーの声の重さの優先順位を判断できる。エンジニアが「大したことではなくない?」と思っていることも、薬剤師の方が実は「この業界ではここが重要だ」と言うことを分かっていることもある。ユーザーを仲間にするのが検証では早い。

Zenport 加世田氏

業界の人とか業務フローを可視化すること。僕らも二、三回作り直している。最初、会社の人のいろんな声を聞いて、いろんな機能を作った。そうすると、あれもこれもできるけど、あれもこれもできないプロダクトができてしまった。それでダメだなとなり、しっかりと業務フローを書き出して、かつ業務システムなので社内、社外でどうプロセスが流れて行くのかと言うことをしっかりと可視化した。それを踏まえて、最低限ここだけ使ってもらえば、お金は払ってもらえるよねと言うことを広げすぎず狭めすぎず、かつ業界に広めていく上で、例えばSMB(中小企業)しか使えないと言う状態を避けるプロダクトの作り込みをした。見えない部分とか、業界の仲間を入れつつ、全体像見れない時はコンサル出身とかSIer出身とか全体像を見れるひとを入れる。そしてコアなところにパンと置いて行く。

hokan 尾花氏

どう価値向上させるかについて。どう価値向上するってかっていうと、これからの予定だけど、コストダウンから売上アップ。コストを下げると言うことは業務効率が向上して、普段の業務が楽になること。その後は売上のアップになるようなことをする。例えば、保険営業の方ってなかなか既存顧客のフォローができていない場合もある。実は今年の4月くらいに死亡保険が一気にグッと安くなっている。そう言うものを掘り起こして行くと売上アップの機会になるはず。そう言う機能を今後作っていく予定。


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以上です。

9月25日に、「SaaSの今と未来を考える会」と言うイベント(イベントレポートは下記参照)にも行ってきて、27日に今回のイベントに行ってきたので、どっぷりSaaSに浸かってきました。

どちらのイベントも楽しかったです。
今回もたくさんの金言を聞くことができました。

SaaSってやっぱり面白い!!!

個人的な見解を述べれば、特にオクトとカケハシ、強いなぁと思いました。

Facebookとか、クラウドサインもそうですが、ネットワーク効果があるツール(今回はオクト)ってやはり強い。

それでは最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。

SaaS業界を盛り上げるためにも、よろしければSNSなどでシェアしていただけると幸いです。


 Twitterもやっています!

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これは完全に余談なので、最後にちょろっとおまけに書いておきます。

■ ベイジの枌谷さんのブログを読んで思ったこと。

私がスライドを作りながら一番意識したのは「登壇中」ではありませんでした。それよりも「登壇後」のことを考えました。

僕は、このブログを見て、確かにその通りかもしれない、とハッとしました。

大規模なプレゼンテーションのみならず、(たとえ小規模でも)イベントも「登壇後 / 発表後」にも価値があるものになった方がよいと考えるようになりました。

振り返ってみるとイベントは通常、スライド資料を配ることはありません。
(最近では、Speaker Deckなどでスライドをシェアする風潮もあります👈めっちゃありがたい)

枌谷さんのブログにも書かれている通り、パワポ資料も文字を少なくすることが理想的と言われがちです。

となると、イベント後にも価値あるものにするためには、イベントを言語化しイベント後にも価値を残すことができる「イベントレポーター」の存在が必要になるのではないかと思いました。

たとえば、人気が予想されるイベント(最近なら CXO Night )なら、お客さんが勝手にレポートを書いてくれるでしょう。

一方、大半のイベントはそうではないと思います。

イベントで話したことは今や、WEB上で公開できる立派なコンテンツとなります。

正しく書いてもらえさえすれば、第三者が書いているためPRにもなります。

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そんなことを考えながら、最近はイベントをレポーティングしていくことに注力しています。イベントレポートは非常に難しいので、時には失敗もします。一度したミスは二度と起こさないように、今後も有意義な情報発信をしていきたいと思います。




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