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トマトは1年中、畑になっているわけではない。3月下旬は、じゃがいもの種を畑に蒔くのだ。

自然農で野菜を作っている 赤城山麓にあるすぎな農園、見習いのすぎなっ子 丸山えりです。赤城山麓にお引越しして2回目の冬。
この冬はあまり寒くならなかったとはいえ、ちゃんと自然界に冬はやってきていて、去年の夏には「この方達、一体どこまで伸びていくのか…」と こちらが やや怯えるほど、刈っても刈っても じゃんじゃん育つ草木たちはいつの間にやら葉を落としたり、姿を消したりして、土は冷たく眠っていた。

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群馬に住んでいる何人かの農家さんに、みなさん冬は何をしているのか聞いたことがあるけれど、露地栽培をメインにやっている農家さんは、冬の間はお休みしたり、次の春から何を作るのか考えたり、道具のメンテナンスをしたりすると言っていた。

今は文章の中で自然に「露地栽培」と綴っている私も、かつては露地栽培ってなんじゃ。と、その言葉さえ知らなかった。そうだな、3年前、八百屋に勤める前までは。

というわけで露地栽培を知っている私が説明しよう。えっへん。露地栽培っていうのは、雨風をそのままに、温室などを用いず自然の気候条件や土壌の条件で植物を栽培することです。

都会にいた頃野菜はほとんどスーパーで買っていたけれど、私は野菜の四季などほとんど意識せずにトマトを1年中むしゃむしゃ食べていた。
しかし畑に近く暮らしはじめ、野菜に興味を持ち始めると、見えてくる景色がある。人工的にビニールハウスなどを建ててその中で作物を収穫まで育てる方法があるから、四季を問わずにトマトやきゅうりをはじめほとんど全ての野菜が1年中食べられていたのだった。ビニールハウスがない畑では、トマトは秋頃には収穫の終わりを迎える。それから次の夏までお目にかかることはない。当然冬場にトマトなど、食べられるはずもない。

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だから群馬に越してきて、畑で遊ばせてもらうようになってからは、冬場にトマトを買うことはなぜか自然になくなって(そもそも冬場のトマトはとても高い!)トマトを食べたいと思うときは、缶詰や、友達が夏場にたくさん作って瓶詰めしてくれたものを食べるのみになった。

自然農で野菜を育てているすぎな農園も露地栽培。トマトの種まきはちょうど先々週に行ったところだ。(ブログが畑の季節について行ってないですね・・・。その様子は少し待っていてください。)

というわけで、冬が終わり春が訪れたすぎな農園2020。眠っていた土は二十四節気「啓蟄」を迎えると、「冬籠りの虫が這い出」て、実際に目に見えて虫たちが活動をはじめていた。
一番はじめの畑仕事は「じゃがいもの種蒔き」。
今年は3月27日。
日本列島は、北から南まで、四季も違うし標高も違う。だからその土地土地で、種を撒く時期はそれぞれ違う。種などの裏面に書いてある「冷涼地」「平暖地」の表記でいうと、すぎな農園はここ群馬県前橋市赤城山麓で、標高は300mほど。「平暖地」になるようだ。

当たり前に口に運んでいる野菜たち。都会から越してきた私にとって、何から何まで新鮮である。

さて。畑に行く前に、種芋の準備。

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今年撒いたおいもたちは

・アンデスレッド(皮が赤で、中が黄色のひと。写真のひとです。)3キロ
・男爵 10キロ
・メークイン(多産で強い品種なんだって)5キロ

種芋はあったかい地域のものだと、ウィルスにかかりやすかったりするらしく、そうすると収穫量が減ってしまうから、多くの農家さんは種芋は北海道など寒い地域のものを仕入れているんだって。
種芋(たねいも)って、去年収穫した芋からだっていうことすら、私は知らなくて。種芋って、種用に取っておいたおいもを撒くんだよ。

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この灰色のものは、なんと「灰」。我が家にこの冬から設置された薪ストーブから出た灰を持ってきて、ポンポンっと種芋を切った断面につけました。
ウィルスが入るのを防ぐためなんだって。灰は、草木を燃やした後に出たものに限るよ。じゃがいもの切り方にも一工夫。「芽」が集中しているところをきちんと2分する。両方に満遍なく芽が残るように縦に切るのだそう。

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準備完了して畑に向かいます。

今回じゃがいもを植えた畑は、秋までひまわりが育っていた畑。
すぎな農園の畑は、畑に暮らす微生物たちが、よりたくさんの種類になるように、季節によって年によって、いろんな作物を育てるのだそう。
そうすることによって、連作障害というものも防ぐ役割があるのだとか。
ぐるぐるめぐらせた作物の作り方。それを輪作と言うんだって∞。

ひるがえって連作障害というのは、毎回同じ場所で同じ作物を作っていると、土壌の成分バランスが偏ってしまったりすることによって、収量不足になることを言うらしい。毎回同じ作物を作るとその作物を好む菌や病害虫の密度が高くなるため、微生物に偏りが出てその科特有の病気になりやすいんだって。

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この畑は、地主の方から「石ころだらけで何もできないよ」と匙を投げられていた畑らしい。進さんは、自分が「不耕起栽培」だから試してみようと思って借りたみたい。不耕起というのは、トラクターなどを使って掘り起こさない、という意味。実際に、掘り起こさずにひまわりの種を撒いたり、菜の花を撒いたりして、以前より「イネ科」の植物が増えたのだそう。イネ科のみなさん、シャラシャラと風になびいて嬉しそうにしていた。

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じゃがいもを蒔くところだけ、枯れた草たちと新たに生えてきた植物たちを「刈り払い機」という機械で刈る。その後、じゃがいもを30センチ間隔に置く。置いた場所に「移植ゴテ」と呼ばれる小さなスコップで深さ10センチまで穴を掘り、そこに蒔いていく。

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今回アンデスレッド以外のじゃがさんたちは、大きさが小さいので半分には切らずにそのまま蒔いた。

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移植ゴテを土に入れようとしたら「ゴリ!」何だろう?と掘り起こすとこんなに大きなひまわりの根っこ。このままそこに置いておいて、微生物がこれを食べ、ウンチをしてまた土壌を豊かにしてくれるのだ。

土の中にはいろんな植物が住んでいた。そこにちょっとお邪魔させてもらってじゃがいもを蒔く。しかし!か、硬くてシャベルが入らないよ〜。という場所もあって眉間にしわ寄せ、ちから技で悪戦苦闘していると。

進さんから

「まるちゃん。たわわにじゃがいもが成っているところを想い描いてくださいね。」

と、ニッコリされた。

ぎくっ・・・・。

嗚呼〜、私また「ちゃんと植えないと」って頭で格闘しちゃってたねぇ。
そうかそうか、想像したらいいのね。うんうん。アンデスレッド。アンデスレッド。アンデスアンデス。君はホクホクしたところが美味しいね!そうだ、収穫祭は茹でて、赤い皮と黄色の美しい身を愛でましょう。あの子からもらった異国の貴重な美味しい岩塩をふりかけて、みんなで美味しく囲みましょう。コロッケにしてもいいね。

そんなことを想い描きながら作業に取り掛かる。
そうしていたら いつの間にやら作業は終わって、作業を始めた時の暖かな陽は傾いて、ぐっと気温が下がっていましたとさ。

翌日は、しっかり筋肉痛。

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この日は農業高校にかようくまちゃんと。

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丸山 えり Eri Maruyama
1980年東京都あきる野市生まれ。
広告制作会社を経て、有機農業に興味を持ち群馬県内の野菜を取り扱う草木堂野菜店に勤める。2018年群馬県前橋市赤城山麓に移住。日々すぎな農園に入り浸り遊んでいる。2020年は進さんに農を学びながら、自分で畑を借りて、おさらいをしている。
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すぎな農園
前橋富士見町で平飼い養鶏と自然農で、野菜と穀物を栽培しているすぎな農園です。すぎなは畑の嫌われもの。でも、すぎなは、珪酸をはじめ、多くの薬効ある成分を、地中深くから地表に運んでくれているのです。
“かえりみられなかったもののなかに宝はある”「すぎな農園」という名前には、そんな思いが込められています。
たまごは、ひよこからお米を中心としたエサで育てたニワトリが産んだ平飼いたまご。 耕さない畑で、農薬や化学肥料を使わずに季節の野菜を栽培しています。
お問い合わせは suginanoen@gmail.com竹渕 まで。
これまでのブログもぜひ読んでみてください。https://plaza.rakuten.co.jp/suginanouen/diary/201611190000/



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