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制作の呟き

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作品づくりについて考えていること。
運営しているクリエイター

#アート

生活の中に在りたい

生活の中に在りたい

ある日の休日。

朝、目が覚めて

コーヒーを淹れて、お気に入りのマグカップで飲む。

昼下がり、部屋で好きな音楽をかける。

夜、本棚から一冊の本を取り出し、ベッドの中で読む。

気がついたら眠っていた。

そんな風に

「生活の中に共に在る」ものをつくれたら、と思ってやみません。

前回、「一点モノ」をつくることへの葛藤について書きました。

どうしても「多くの人にとって身近なもの」にはなりに

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パーソナルカラーの原理はデッサンと同じ?

パーソナルカラーの原理はデッサンと同じ?

noteはお預けにしたはずなのに、やっぱり書くのが楽しくて、また書いてしまっています。

↑サムネイルは、日本画の岩絵具です。
粉や砂のようになっています。

日本画に使われる岩絵具には、自然界にある色のついた岩石、貝や土、砂などを砕いた天然のものと、ガラスを粉にしたものに着色した人工のものとがあります。

どれも、色の名前が漢字で格好良い。

水晶やラピスラズリも絵の具になるのです。
水晶の粉末

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2人展「ふたりの庭」を振り返る

2人展「ふたりの庭」を振り返る

前回、展示ができるまでの過程、準備について書きました。

さていよいよ展示。
今日は、展示中のこと、展示を終えての振り返りを書いていきます。

さあ搬入。

会場で、作品を壁に設置して家具を配置して、コーヒー豆をカリカリ挽いて、仕込みしました。

……搬入を終えても、準備は終わりません!

会場の設営が終わったらすぐに家に帰り、ステートメント、プロフィール、芳名帳、記入シート、ポストカードの裏面、

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2人展「ふたりの庭」ができるまで

2人展「ふたりの庭」ができるまで

9月12日〜17日まで、キチジョウジギャラリー様にて
茨木希美さんとの2人展、「ふたりの庭」を開催いたしました。

この展示で学んだことがあまりにも多かったので、展示を振り返る記事を書きたいと思います。

今夜は「展示ができるまで」の過程を書いてみたいと思います。

①きっかけと場所選び

茨木希美さんは同じ日本画専攻の同級生で同い年です。同じ教室で制作しています。

きっかけは2年前、まだ一年生

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作り手が、初めて絵を購入した話

作り手が、初めて絵を購入した話

先日、私にとっては割と大きなことがあったのでそれを書いておこうと思う。

いつまでも忘れないために。

絵には「完成」が、2回ある。

1回目は、言うまでもなく画面の完成。
描き手が、描き終えたときだ。

2回目は、見る人がそこに物語を見出す、或いは自分との繋がりを発見する。

見る人が頭の中で物語を紡いで、絵に命が与えられる。
絵は2回目の完成を迎える。

そして作品をつくるということの本質は

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自分にとって心地よい描き方を探る

自分にとって心地よい描き方を探る

先日の記事で、大学の課題制作で描く絵が決まらないと散々嘆いた。

そして、今までの課題制作ではやってこなかったことを、やってみることにした。

日本画のオーソドックスな制作プロセスは、

①スケッチや写真で取材
②アイデアスケッチ
③実物大の下図
④パネルに転写
⑤骨描き(輪郭を描く)
⑥彩色

なのだけど、今回はこのうち、

③実物大の下図(大下図)
④転写
⑤骨描き

を、すっ飛ばしてみること

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自分に無いから、憧れる

自分に無いから、憧れる

ないものねだり。

今日は「作風」について書いてみる。

憧れる作品、こういうの好きだなーと思う作品は、大体自分が描いてる絵とは全然違う。

自分にとって考えやすい絵、描きやすい絵柄が、自分が「好き」なものと一致しているとは限らない。

他の人はどうなのか分からないが。
ちょっと聞いてみたい。

でも私の場合は、一致しないことの方が多いし、むしろ真逆だったりする。

ええっ、そんな事あるの。

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日本画は水との格闘

日本画は水との格闘

制作机が汚すぎるという点は、どうか見逃してやってください。

机はそこそこの広さがあるはずなのですが、
実際の作業スペースはランチョンマットよりも狭いという悲しき現状。

さて今夜は、「制作の呟き」をお届けいたします。

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今、待ち時間だ。

「水」が乾くのを待っている。

水は、コントロールが非常に難しい。

何より、
日本画に使われる岩絵具や水干絵具

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「一点モノ」という葛藤

「一点モノ」という葛藤

音楽・文学・漫画・アニメなどと比べて「美術」が広く普及しないのは何故でしょう。

私は、美術作品の持つ「一点モノ」という性質が関係していると考えます。

「物体」なのです。

パフォーマンス、デジタルアートなど、そうでない美術作品ももちろんありますが。
ここでは「物体」のあるアート、絵画や立体作品についてのことを。

例えば音楽には、物体がありません。形がありません。いくらでも、複製して増やすこと

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集積とオリジナリティー

集積とオリジナリティー

「自分」は何でできているか。

誰の何を見、誰の何を聴き、誰の何を読み、誰に何を学び、誰に憧れてきたか、がその人をつくる。

自分は「他人の集積」でできている、

最近そういうことを実感した。

人はゼロからものを生み出すことはできない。

自分の中に取り込んだもの、摂取したものからしか、ものを生み出すことはできない。
あまりにも当然の事だけれど。

誰もが誰かに影響を受けている。

そしたらその

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