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ジェリーフィッシュの果実
ほつり、ぷつり、と
糸を紡いでは引き千切る。
夢をも夢とは見られないような
喉元に白く恋をするだけの
そんな刹那に心を預けて
泡沫を吐きだす。
「ただ美しく在るなら容易い」と
見つめるのはまるで
模造品のような背中だった。
現実は熟れすぎていたから
やわらかく目を伏せる
輪郭のみを残して
転がっていく言葉
「そのきらめきは」
「あのまたたきは」
産まれた日のように
ただ、泣くことを許されたかった
きっと今夜は夢を見ない
あくびをしている
滲んだ涙が ほとり と落ちて
うすら 染みを作る
首を傾げた、
次々と溢れだしはじめたのに
理由は思い当たらないのだ
わけもわからず
とりあえず手を叩いてみる
弾けるのが心の一部だとしたら
何色に光るだろうか
すっかりぼやけた視界が
もう眠ったほうがいい、と
囁いている気がする
昨夜は月を食べた夢を見たから
夕飯がパンケーキになった
そういえば
今日の胃袋はまだ空っぽだった