きっと今夜は夢を見ない

あくびをしている
滲んだ涙が ほとり と落ちて
うすら 染みを作る

首を傾げた、

次々と溢れだしはじめたのに
理由は思い当たらないのだ
わけもわからず
とりあえず手を叩いてみる
弾けるのが心の一部だとしたら
何色に光るだろうか
すっかりぼやけた視界が
もう眠ったほうがいい、と
囁いている気がする

昨夜は月を食べた夢を見たから
夕飯がパンケーキになった
そういえば
今日の胃袋はまだ空っぽだった
気がついたせいで
キリキリと痛くなる

(冷蔵庫の中にぎゅうぎゅうに)
(収められた、生白さ)

そういう夢を見た日もあって
ゆるく頭を振って追い出す

手に取った携帯端末の画面には
ずらずら並んだ通知
随分と時間の経っていたことを知る
唐突に、震えだして
驚いて取り落とす
ずぶ濡れた頰のまま
声など聞かせられない

響く

無機質で軽快な電子音は
退屈を覚えるのに十分で
僕はつい眠ってしまった


ここまでお読みくださり、ありがとうございました