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私を中国のスキーに連れてって 〜前編〜

2022年2月16日 水曜日

你想不想去滑雪ニーシァンブシァンチューフアーシュエ?」
(スキーに行きたくない?)

ていさんだ。

〇〇が食べたい、〇〇に行きたいなど、年に数度唐突に発生する彼女の願望。普段は物静かでおとなしいが、何かの拍子にスイッチが入ると電光石火のごとく行動へ移すアグレッシブなチャイニーズガール。その願望を叶えてくれるのがこの私なのだ。好都合な男である。

とはいえ私も中国のスキー場へは行ったことがなく、これは良い機会とばかりに二つ返事でOKを出した。スキー場、民宿、交通は全て鄭さんが手配してくれる。私をスキーに連れてってくれるのだ。願望を叶えると言ったわりには鄭さんにおんぶに抱っこで都合のいい男である。

電光石火なので出発は4日後。鄭さんは止まらない。

一時間後には民宿も二部屋取れていた





230km三時間の旅

2022年2月20日 日曜日
今回は浙江省安吉アンジー県の云上草原高山四季旅游度假区を目指す。高速鉄道とタクシーを乗り継いで三時間、約230kmの道のりとなる。

上海から南西、浙江省の山の頂上

上海市内からは上海虹橋駅から高速鉄道に乗り、杭州東駅で乗り換え、安吉駅へ向かうのが最短ルートとなる。

とにかく広い虹橋駅ロビー
画角に入りきらないほど面長


近年の感染症により高速鉄道の利用は久しぶりで少し戸惑ったが、座席に残された足跡を見て一気に感覚が蘇った。そうそう、これこれ。慌てて荷物を降ろしたのだろうか、必死さが伝わってくる。

車内は綺麗で落ち着いているが
犯人は落ち着きが足りない


上海虹橋ー杭州東間は約45分、この乗り換えのタイミングで鄭さんと合流する。鄭さんとは数ヶ月振りの再会、相変わらず色白貧血気味の顔をしているが今は電光石火モード、白い顔して血圧は高いのかもしれない。杭州東ー安吉間は約30分、車窓越しの田園風景を眺めていたらすぐに到着する。

杭州東はまだまだ都会の駅
安吉に到着すると急に風通しが良くなる

改札を通るには、感染症リスクエリアの訪問が無いことを証明する「健康コード」の提示が必要となる。緑はOK、黄色は注意、赤はNG。鄭さんは江蘇省の中リスクエリアからの出発なので黄色、誓約書に署名と拇印が必要になる。金でも借りるかのような扱いだ。

14日間以内に訪問した都市が表示される


安吉駅からはタクシーで小一時間ほど山をぐいぐいと駆け登る。この時期はスキー客が多いようで、運転手もいい稼ぎになるのかノリノリだ。車内はちょっと昭和っぽい。

爽やかなペイントのタクシー
シートが可愛い、窓は手動


安吉県は白茶と竹が特産品。山の中腹に差し掛かれば茶畑が広がり、山の緑はほぼ全て竹林となる。この広大な竹林は時代劇の撮影にも使われる。そのまま竹林を抜け民宿のある安吉県山川村に到着。乗り換え時間を含めると実に三時間の道のりだが、上海と違いしっとり冷たい澄んだ空気が疲れを吹き飛ばしてくれる。お腹いっぱい吸っておこう。

山に生えているの全部竹
タクシーのペイントも竹だ




想像の10倍綺麗だった中国のスキー場

中国のスキー場と言われるとどんなイメージだろうか。私は申し訳ないが、タバコの吸い殻やペットボトルが散乱し、ギシギシ音の鳴るリフトなど、汚くてボロいイメージが先走っていた。ところが、実際にはその10倍綺麗で驚いてしまった。ごめんよ中国。

まずはチケット売り場で入場券を購入。中上級コース利用者は割増料金となる。また、週末と平日、事前購入などで価格が上下する。

ウサギの帽子を鷲掴みする鄭さん



目指せ頂上

チケットを購入したらシャトルバスでロープウェイ乗り場へ移動、バスは本数も多く5分で到着する。

シャトルバスもピカピカ
ロープウェイもかなり綺麗

ロープウェイに乗って20分ほどで頂上のゲレンデに到着する。見下ろす景色は雪が少ないので不安になるが、頂上付近に差し掛かると一気に雪景色が広がる。頂上はこんもりしっかり積もっている。

滑れるとは思えない雪量だが
急に雪国
頂上のゲレンデは潤沢な雪量



道具もウェアも全てレンタルOK

予め受け付けでデポジットを支払いリストバンドを受け取る、レンタル品は全てこれで管理され、道具の返却も端末をかざすだけで完了。退場時にリストバンドを返却すると、利用料を差し引いたデポジットが返金される。

食事も全てリストバンドで管理


スキー客のほとんどは自分の道具を持っておらず、基本的にウェアや板はレンタルを利用している。スキーかスノーボードかを伝え、靴のサイズを指定すればOK。ウェアは適当なサイズを渡される。また、中上級コースはヘルメット着用が義務付けられているので、忘れずに確保しておく必要がある。私も鄭さんも中上級コースのスノーボードを選択。

靴の在庫はとても豊富
日本語の案内表示もある
使用済みのヘルメットが山積み


ウェアと靴の準備が整ったらゲレンデで板をレンタルする。ヘッドセットをつけた係員に声をかけ、スピーカーを通して番号を呼ばれたら板を受け取る。混雑していなければ呼ばれなくても勝手に持って行っていい。

トンカチで板の雪を叩き落とす

たまにスピーカーから「ガーーー、ペッ」というノイズが発生する。係員が痰を吐いているようだ。白銀のゲレンデに大音量の痰吐き音がこだまする。次にそのヘッドセットを使う人が気の毒でならない。



広いぞゲレンデ 白いぞゲレンデ

肝心のゲレンデは想像していたより10倍綺麗で広い。茶色に染まった雪を想像していたが真っ白けっけだ。二日前に大雪が降ったそうで、タイミング的にもちょうど良かった。さすが電光石火の鄭。

左が中級、右が上級コース


日曜日で混雑していたこともあり、リフトには長蛇の列ができていた。待ち時間は30分ほど。みんな器用にリフトに腰掛けスムースに流れていくので、中国人のレジャーにもウェインタースポーツが浸透してきたことを実感。ただ、ある程度の費用はかかるので、利用者はそれなりの所得層に限られると思われるが、それでも以前からは考えられない光景である。

青や黄色のヘルメットがデリバリー配送員っぽい
雪質もバッチリ


割合としてはスキー:スノーボードが3:7ほど、中級コース利用客のレベルはそれほど高くはないが、よちよちながらもちゃんと滑れている。鄭さんもよちよちなので、私が基礎だけ教える。そのために声をかけられたのかもしれない。スキー場インストラクターのコーチ料は500元だが、私なら50元、しかも初回無料だ。

中級コース上部からの眺め


スキー場は18:00で終了。道具やリストバンドを返却し、ロープウェイとシャトルバスを乗り継いで麓の村まで戻る。

ちょっとだけナイトスキーが楽しめる


翌月曜日はほぼ貸し切り、リフトも待ち時間ゼロで超快適。こちらがその時の映像。

幸い天気にも恵まれ、この環境ならまた来たい。



中国のスキー場は想像と比べていかがだっただろうか。環境も綺麗で整備されており、上海近郊から比較的気軽に楽しめるレジャーとなってきた。

もしも年に何度か行くのなら、ウェアだけ購入しても良いかもしれない。レンタルウェアは破れていたりサイズが大きすぎる、ちょっと臭いなど、快適に滑るにはあまりお勧めできない。

初日はウェアのズボンが全て貸し出されており、バドミントン用のペラペラのジャージで滑っていたため、雪山の風がダイレクトに突き刺さっていた。しかも転倒したら大ダメージだ。

コケたら一発アウトのペラペラ


後半では民宿や村の様子、村グルメ、
費用詳細を簡単に紹介。

それでは続きをご覧ください。


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