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キンモクセイが咲いたら
夏の終わりは急にやってきた。
風の音にぞおどろいて。
背中にじりじりと照る夕陽があついな、と恨めしく西の空を睨めつけながら角を曲がり陰に入ればひんやりとして心地よい。
秋だ。
行き過ぎる学生の自転車が運んできたのはキンモクセイのかほり。
姿は見えぬが、きっと筋向こうの家の庭木にあるのだろう。
この香りは四半世紀前の風景を呼び起こす。
キンモクセイの小さなオレンジの花の敷き積もった木陰で、
ござ
夏の終わりは急にやってきた。
風の音にぞおどろいて。
背中にじりじりと照る夕陽があついな、と恨めしく西の空を睨めつけながら角を曲がり陰に入ればひんやりとして心地よい。
秋だ。
行き過ぎる学生の自転車が運んできたのはキンモクセイのかほり。
姿は見えぬが、きっと筋向こうの家の庭木にあるのだろう。
この香りは四半世紀前の風景を呼び起こす。
キンモクセイの小さなオレンジの花の敷き積もった木陰で、
ござ