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Episode 094 「(元)西オーストラリア州首相兼財務大臣に会った日」

Episode 093にて触れた、アデレードにおける数少ない友達であるヨシヤ君との話の続きになるが、彼とは10年ほど前(2013〜4年頃)に何か(ビジネスを)一緒にできないか、と言う話をしていた。

私は現在会社員、彼はアデレードにて自分の会社(弁護士事務所)をしており、現状まだ形にはなっていないものの、やはりいつかは具体的に一緒に仕事をしたいと強く感じて居る。

当時から、我々二人とも何かサイドビジネスの様な事をしたいという考えは常にあった。例えば、私が日本に帰国したのは2010年であったが、それこそ日本を離れた1996年の頃とは比べもにならないくらい「カフェ」が日本で流行り出していた様に見受けられた。

コーヒーは、仕事中など、やはり飲んでしまう。身体に良くないと理解しつつ、飲んでします。ま、心に良いから、良しとしよう。

スターバックスをはじめとする世界的なブランドの他にも、例えばBlue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)が日本に参入したのも確か2015年あたりだと思われる。

尚、ブルーボトルコーヒー・カンパニーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州オークランドに本社を構えるコーヒー生産販売企業であり、サードウェーブコーヒーの代表格とみなされている。

恵比寿の駅に確かあった。その店舗の前で、人と待ち合わせした事はあるが、入ってはいない。入ってないんかい。

尚、この会社に対する出資者の中には、Twitter(ツイッター)を立ち上げた一人のEvan Williams(イバン・ウィリアムス)であったり、Instagram(インスタグラム)の創業者であるKevin Systrom(ケビン・シストロム)などのテック界の大物がいる。

X(旧Twitter)を創業した伝説の3人。左からJack Dorsey、Biz Stone、Evan Williams
ちょうど10年前(2014年)に発売された書籍。いかにしてJack Dorsey、Biz Stone、Evan Williamsの三人からTwitterというサービスが生まれたのかが詳しく書かれている。非常に興味深い本だった。読んでからもう10年も経つのか・・・時の流れが早すぎて恐怖すら覚える。
左がInstagramの創業者のの創業者であるKevin Systrom。右はInstagramをMETA(旧facebook)の傘下に収めたMark Zuckerberg。

しかしながら、スターバックスもブルーボトルも、両者ともにアメリカのブランド(会社)であり、個人的にはやはり、例えばカプチーノやラテなどの本場はイタリアではないかと、そう感じるのである。

そこで、アデレードで良く行っていたCIBO(チボ)というカフェをどうにか日本に持ってこれないか、とそう考え始めた(尚、アデレードはいたるところにCIBOがあり、頻繁に行っていた)。

チャイナタウンにあるCIBO。よく行った。
ノースアデレードにあるCIBO。よく行った。
ランドルストリートにあるCIBO。たまに行った。

個人的には、やはりカプチーノであったり、またはラテを飲むのであれば、それらの本場の国(イタリア)のブランド(カフェ)のものを提供するべきであろうと考えた。

そこで、色々と調べるところから始めた。調べた結果によると、CIBOというブランドの親会社はRetail Zooという、飲食関係のビジネスを展開するホールディングスの会社であることが判明した。

Retail ZooのHP

CIBOの他にも、新鮮な果物を使ったヘルシードリンクを提供するBoost Juice(ブーストジュース)というブランドもその傘下にある。この会社の HPから、適切な担当者と思われる人にメールを出してみた。

自己紹介とともに、日本におけるコーヒーブームの概要をその担当者に伝え、また、CIBOも日本に進出すべきである、という旨を伝えた。返事は直ぐに来た。しかしながら、その返信メールの内容は私が期待していたそれとは異なっていた。

その内容は、「CIBOはまだオーストラリア国内にフォーカスしたいので海外進出は考えていない。しかし、Boost Juiceであれば、日本に広げることも可能であるが、いかがでしょうか?」という返事が返ってきた。

ほう、ヤクルトともコラボをしているのか。

Boost Juiceとは、上記で述べた様、フレッシュフルーツを用いた健康的なフレッシュジュースを提供するお店である。この様な健康的飲み物は、オーストラリアの様にデフォルトで不健康な食べ物ばかりを食べている人にとっては流行るのは理解できるが、日本の様に健康意識の強いで流行るとは全く思えなかったので、このオファーについては断った。このメールをしたのは確か2015年の暮れであるが、2024年になった今でも、CIBOは日本進出をするべきと、そう考えている。

この様にして、あれはできないか、これはできないか、と模索すること4、5年が経った2019年の初め(3月ごろだったであろうか)にヨシヤ君からとある記事をメールで送ってもらった。

内容としては、南オーストラリア政府として、今後日本との関係(貿易など)を強めていきたい、という内容の記事だった。併せて、この記事のキーポイントのひとつとして、オーストラリア貿易投資促進庁(商務部)の日本オフィスが東京にあるオースアトラリア大使館内に設立される、という内容があった。

また、その記事には南オーストラリア政府における貿易・観光・投資部門の大臣であるDavid Ridgway(デイビッド・リッジウェイ)らの写真も載っていた。そこですかさず、Linkedinにて直接David Ridgway氏に連絡をすることにしてみた。

尚、Linkedin(リンクトイン)とは、世界最大級のビジネス特化型SNS、および同サービスを提供するシリコンバレーの企業。2003年5月のサービス開始後、アメリカ合衆国を始め、世界各国で普及し、(2024年の情報によると)登録メンバーはなんと約9億人を超えてるとか。日本では300万人以上が登録している(2022年の情報)。創設者はペイパルマフィア(そう、あのPayPalである!!)の一人であるリード・ホフマン。2016年12月、米国マイクロソフト社によって262億ドル(約2.9兆円!!!)で買収された。

リンクドインは個人的に最も活用している(ビジネス)SNSだ。
日経新聞の記事より。非常に優れたサービスである。僕もかれこれ10年以上使い続けている。(※あ、全くもって広告、とかではないです。あくまでも超個人的な意見に過ぎません)
PayPalとはメールアカウントとネットを利用した決済サービスで、1998年に設立された。後にeBayに本サービスを売却した。そして、このPayPalを作り出した集団の中に、後にYouTubeを作り出した創業者、ジョブスを超える天才と呼ばれるピーター・ティールやら、Linkedinの創業者であるレイド・ホフマン、併せてあのイーロン・マスクもいたのだ。そう、全てはこの超絶天才集団である「ペイパルマフィア」から始まった、と世界では言われている。

実際に送ったメールの内容は非常にシンプルなものだった。自己紹介から始め、記事を読んだ旨を伝えた。デレードの小学校、ハイスクール及び大学を卒業しており、何らかの形で役に立つことができると考えている、とそう伝えた。

翌日、さっそく返信が来た。こういったところがオーストラリアの尊敬できるところである。まず、国の大臣がLinkedinを使っている、という点である。そして、やはり最も尊敬できるのは、(彼にとって)どこの誰かわからない人間(つまり、私)のメッセージに対してしっかりと返事をくれた、というところである。日本では、ありえない話しである。一国における、その国の州の外務省の大臣レベルの人が、一般の人からの連絡にフランクに返事をするなんていうことは、日本ではありえない。

ちなみに、返事を返してくれただけではなく、とある人を紹介してくれたのである。そのとある人とは、ANZCCJ(Australia and New Zealand chamber of commerce in Japan)という、在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所(オーストラリアおよびニュージーランドと日本における更なるビジネスの発展に貢献すべく、会員に対し有益な情報や情報交換の場を提供するという使命のもと活動している、とのことである)の会頭のサリー・タウンゼンドという人であった。連絡先も添えて返信をしてくれたのである。誠にありがたいことであった。

タウンゼンド氏はANZCCJの会頭であり、この度(2019年3月)南オーストラリア州が貿易投資事務所を日本に新規開設するとのことで、東京は港区にあるオーストラリア大使館の中に設立し、この事務所のトップに就任したのである。

オーストラリアのプレミアムフード、ワインや飲料、クリーンエネジー、ライフサイエンス、そして新たな宇宙技術産業分野において、日本企業の南オーストラリア州への貿易および投資機会創出を推進する、ということにフォーカスする為にこのオフィスは設立されたのである。

早速、タウンゼンド氏に連絡のメールを送ってみた。その内容は、David Ridgway氏に送ったそれと同じような内容であった。タウンゼンド氏も翌日に直ぐ返事をくれた。

数日後、オーストラリア大使館に行って、直接話すことになったのだ。もちろん、あちらからすると、「誰やねん」と思ったに違いない。しかしながら、話をしていく内に少しずつ打ち解けていった。

タウンゼンド氏もどうやらアデレード出身、ということで私に対する親近感が増したのだ。私も実際の経験を通じて感じているのは、(日本における)アデレードの知名度の低さである。

オーストラリアと言えば、やはりシドニーであったり、ビーチで有名なゴールドコーストであったり、またはヨーロッパ風の街並のメルボルンだったりは有名だが、アデレードという街を知っている日本人に会ったのは、日本に帰国し約15年になるが、控えめに言っても相当少ない。

「アデレード?聞いたことないです」

この様な事もあり、アデレードの話で盛り上がったのだ。翌日、メールにて、オーストラリア大使館内での催しに呼ばれた。翌週、その催しに参加させていただき、更に色々と話を伺った。

つまり、南オーストラリア州として、今後どのような戦略で日本からの投資機会創出を考えているのか、という点を探り探りで訊いてみた。もちろん、この様に、国と国との間で膨大なお金が動く内容のビジネスである為、一言では表す事は決して簡単ではないが、それにしても話を聞く限りでは煮詰まった戦略はない様に感じられた(尚、話を聞いていく内に判明したが、この組織には(控えめに言っても)明確な戦略があるようには到底思えなかった。やはり、国を問わず、政府とは、民間企業とは仕事の進め方が圧倒的に異なると実感した。

この旨をアデレードにいるよしや君に伝え、二人で何かビジネスチャンスを作り出せるのではないか、とそう話し合ったのである。当時、我々は週末になるとオンラインにてアデレードおよび東京間で会議をしていた。

2024年の今、よしや君も私も日常の仕事に追われている事から、まだ何も形にはできていないが、冒頭で触れた様、やはり何か一緒にやりたいと考えている。

左:サリー氏。右端:在日オーストラリア大使館における元大使であるリチャード・コート氏。リチャード氏は過去に西オーストラリア州首相兼財務大臣をつとめたスーパーマン。真ん中は、リチャード氏のワイフ。そして、おまけの様に私が写っている。

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