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Episode 101 「パイロットでは無い道を選択」

アデレードハイスクールを卒業後(Episode099参照)、大学へと進学した(Episode100参照)。

自分の大学時代を一言で表現するのであれば「兎にも角にも勉強」である。講義を受ける為に大学に行き、その後図書館で予習をし、解らない部分は教授の部屋に直接訊きに行く。この繰り返し。

バカなりに勉強した、つもり。

講義を受けにキャンパスに行く。その後、ランチを食べる為にキャンパス内の食堂に行く。そして、最後講義であったり、または図書館に行く。この繰り返しである。基本的にはこの様にしてあっという間に大学の三年間は過ぎていった。

別に、特に優等生であったわけでもなく、またこの様な勉強漬けの毎日を送りたいが為この様なルーティンに沿って生活していたわけでもない。単純に、その必要性があったが故、結果的にそうなったという事に過ぎない(そう、ギターを弾く前に、(面倒臭い)チューニングを行う様な感覚である。チューニングをしたいからしているのではなく、する必要があるのでしている、と言った具合に)。

したい、したく無い、という次元の話ではなく、する「必要性」があるが故、するのである。それ以上でも、それ以下でも無い。

大学時代の飛行訓練に関しては、大学を卒業したその後も数年間に渡り続いたのだった。日本には2010年に戻ってきた。様々な理由により結局パイロットの道は選ばずに、違う道を選んだ。

もちろん、パイロットになる為に勉強をしていたことは事実ではあり自分では努力もしてきたつもりではある。

また、オーストラリアの地方を中心に旅客機を飛ばす航空会社であるREX(Regional Express)という航空会社に応募した際は、書類選考を通過し、能力テスト(IQテスト、適性検査の様なもの)も合格し、最終面接(そう、その面接会場はアデレード空港近辺に位置する場所だった)まで行ったのだが、採用をしてもらうまでには至らなかった。

適性検査の内容は、約15年は経っている今でも明確に憶えている。

様々な要因から最終的には(パイロットではなく)別の道を選んだ訳だが、今振り返ってみて、一言で言うならば、正直、「熱量」が不足していた、とそう思える。

もちろん、様々な要因がもたらした結果として、他の(パイロット以外の)選択肢を選ぶに至ったのだが、これら逆境を乗り越えられる(おそらく唯一の方法)熱量が足らなかったのである。

言い方を変えると、そこまで熱量を注げない何かがあったのである。きっと。とは言いつつも、それ(他の選択肢をとったこと)が悪いとも全くもって思っていない。

パイロットの勉強を始める前(つまり、大学に入学する前の、ハイスクール時代)から自分の考えの中には、コンサルティング的な仕事(父親の影響で大前研一の本をよく読んでおり、大前研一がマッキンゼー(コンサルティング業界の雄)の話をよく本の中でしていたからである)も良いと思っていた部分があった。

最近では、総合コンサルからのお声がけもLinkedin等を通じていただくが、正直興味が無い。なぜなら・・・と、全てを説明しようとすると13巻くらいの辞書になってしまうので控える。(「13巻くらいの辞書になるだろう」というフレーズは、奥田民生の「何と言う」(2004年発売)という曲からから拝借している)

また、同時に、クリエイティブなことにも非常に興味があった。例えば、建築家(個人的には、「Less is More(より少ないことは、より豊かなこと)」や「God is in the detail(神は細部に宿る)」という標語で知られ、近代主義建築のコンセプトの成立に貢献したドイツ出身のLudwig Mies van der Rohe)などにも非常に興味があった。

Ludwig Mies van der Rohe

この様なことから、自分の中で、過去の事(つまり、大学で勉強した内容)は一度すべて忘れて、フレッシュスタートを切る必要がある、と強く感じた。

つまり、大学では航空関連の勉強をしたが、一度それを全て忘れ、ニュートラルなスタンスになり仕事を探してみよう、とそう思ったのだ。そう、リセットボタンを押す感覚である。

リセットボタンを押すには、或いは勇気が必要とされる。押すのは、こわい。ただ、押さないと可能性は広がらない場合も(控えめに言っても大いに)ある。

もちろん、何かを続ける(投げ出さずに継続する)ことは重要である。しかしながら、シリコンバレーはじめとするアメリカのベンチャービジネスの現場でよく言われる「PIVOT(ピボット)」ではないが、なんらかの「方向転換」または「方針変更」が必要だと(その時は特に)強く感じた。

時には退路を断ち、「思い切り」が求められる場面もある。

そうすることで、中途半端は気持ちではなく、全力を費やし集中できる何かを見つけることができるのではないか、と考えたのである。

こうして私は、パイロットでは無い、違う道を行くことを決心した。

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