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感動のメカニズム

感動ってどうデザインするか知ってますか?


感動を意図的に設計できるのであれば、

・自社商品・サービス
・物語(小説、映画、脚本、戦略etc)

などに応用が可能です。


感動は作れるという仮説を研究されている慶應SDMの前野先生、

(もともとはロボットの研究者で、心の哲学、倫理学、幸福学の研究者を経て、最近は感動や満喫や共感やフロー(時を忘れるほど没頭してパフォーマンスを発揮する状態) の研究も実施中)


が著者で、最高に役に立つのでメモを共有します。あまり共有したくないと思うほど良い本。

FYI*感動を作る人を研究しました↓

本書のベネフィット

本書に紹介のあるSTAR分析を使うと、さまざまな事象の分析が可能で、

・製品の感動の分析や比較検討
・サービスの感動の分析や比較検討
・日常生活の活動(非営利活動)の感動の分析や比較検討
・映画やドラマや小説のように時間とともに変化する事象の感動の分析や比較検討
・さまざまな感動事例の分析や比較検討

ができるようになり「分析」のみならず「創造」のためにも使えます

想定読者層

・感動のある製品やサービスを新たに創りたいと思うビジネスパーソン
・感動のある人生を創っていきたいと思う生活者

感動する人は幸せであり、幸せな人は、長寿で、健康で、創造性が高く、生産性も高く、自己肯定感も高く、夢を持ち、利他的で、みんなのために貢献する人だからです。


要するに、感動しないより、感動する方が、いいんです。直感でもわかると思います。感動できる人生は幸せです。幸せだと創造性は3倍、生産性は31%↑、売上37%↑します。

これらの相関関係は世界中のウェルビーイング研究によって検証済みです。


どのような分野のどんな創造に展開可能か?

どんな分野にでも、展開可能。

想像力+創造力を発揮して、いかに自分の分野で感動のメカニズムを展開していけるか?まさにバタフライボード 社が展開しているコンセプト、Hello ideaだ!

以下に本書のポイントをまとめていく。


背景1:人間中心の波

さまざまな課題を抱える現代において、「感動を得られるのはドラマや映画、コンサートなどだけで、自分の生活そのものに感動はない」という方が少なくありません。もっと、みなさんの生活に、感動を。そんな思いから、私は、人の感動の分析と、感動を引き出す方法の研究を始めました
時代の大きな流れとしては、効率化、合理化に基づく少品種大量生産・大量消費時代でした。  これに対し、二一世紀に入った頃から、もっと個を見直しましょうよ、という気運が高まりました。ニーズ志向、顧客満足、人間中心設計、アジャイル開発、デザイン思考、ユーザーエクスペリエンスといった潮流です。ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインも似た流れですね。  ユーザーの多様化やグローバル化に伴い、これらを考慮しないとモノやサービスが売れない時代がやってきた、ということが背景にあり研究に着手。


つまり、真の人間中心設計では、中心に置かれた人間が、心からやりたいことをやって、豊かに幸せに生きるとはどういうことであり、そのために製品やサービスは何ができるのかが問われるべきだと思うのです。 
真の人間中心設計とは、感動中心設計、幸せ中心設計なのです。  製品やサービスに直面した人は、感動という体験をするのみならず、幸せという人生の目標に向けて、長期的な経験をし続けます。そこに、つまり、人生に、どこまで影響を与えた製品やサービスを作り得たか、ということが問われる時代が、目の前に迫っている


まさにこれですよ。


人間中心での方法論は数多あるが、「感動そのものをサイエンス」にして要素分解、メカニズムを暴いた本なので稀有で貴重。


背景2:幸福経営の波

何十年も前から起きている。モノによる豊かさから心の豊かさへ、というトレンドがあり、さらにその奥には精神的な充足を求める波が来ている。


合理的、戦略的に利益を得ることが目的の一つである米国経営学会でさえも、新たなトレンドとして、従業員や顧客の幸せやマインドフルネスを考え始めている。まさに、人間中心経営。

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ラッセル・クロパンザノらの研究によると、従業員の幸福度は仕事のパフォーマンスに影響しますが、従業員の仕事への満足度はパフォーマンスにあまり影響しないことが知られています。従業員幸福度の方が、従業員満足度よりも大事。単に儲けるだけではなく従業員満足度が重要と言われている昨今ですが、実は、従業員幸福度の方が大事。

これには衝撃を受けた、え?!満足度は影響ないの!?

幸福度が重要なのか。(でもきっと満足度の中に幸福のファクターも入っているはず)

上記記事によれば、

アメリカ・イリノイ大学名誉教授のエド・ディーナー博士らによると、幸福感の高い人は、そうでない人と比べて、創造性が3倍高く、生産性は31%、売り上げは37%も高いといった研究結果が報告されています。また、幸福度が高い人は、欠勤率や離職率が低いことも明らかとなっています。

なるほど、幸せだとクリエイティビティまで上がるのか。

(参考までに、脳科学で高い創造性の人を予測できるのか?をリサーチしました。結果、脳科学でクリエイティビティ〜の高い人を見極めることが可能でした)+


討論(ディベート) から対話(ダイアログ) へという流れも似ています。論理で戦い打ち勝つ世界観から、判断を保留して傾聴し他人を認め合い感性を出し合う世界観への変化。より、人間らしさの深部にまで考えを巡らせ、生きるすばらしさのシェアへと向かうあり方。  つまり、大げさに言うと、二一世紀は、真の人間中心の時代になるべきだ
競争による無駄、格差による無駄、対立による無駄だらけなのです。  現代人は、効率化、合理化、売り上げ最大化、そして、他者に打ち勝って生き残ることのために優れた社会システムを作ってきました。ところが、皮肉なことに、そのための競争や格差のコストが肥大化しすぎて、あくせくと働かざるを得ない。そのあまり、自分や仲間や社会のみんなの幸せについて考えることを忘れていた


ポジティブ心理学とWellbeingの研究

ポジティブ心理学(positive psychology) という分野もあります。心理学と名付けられていますが、心理学者のマーティン・セリグマンや、フローの研究者であるミハイ・チクセントミハイらが始めた分野で、幸せについての研究の成果を一般の人が使うための分野と考えればいいのではないかと思います。 ウェルビーイングの研究が基礎幸福学だとすると、ポジティブ心理学は応用幸福学。


満喫、感動、共感、フローはいずれも関連し合っていて、しかも、いずれも幸せと関係が深いと考えられます。しかも、短期的幸福と長期的幸福にも相関関係がありますので、要するに、感動は幸せに影響する。


感動とは何か?

広辞苑によると「感動」とは「深く物に感じて心を動かすこと」とあります。意外と難解なようですが、要するに、心を動かされることですね。  

つまり私は、心を動かされる人生や、心を動かされる製品やサービスの開発が必要だと思って、感動の研究をしているというわけです。


感動経験を創造するには

感動経験自体をいかに創造するかという提案については、B・J・パインⅡとの経験経済(エクスペリエンス・エコノミー)、

バーンド・H・シュミットの経験価値マーケティング、および経験価値マーケティングを基礎にした研究がある。


パインⅡ゠ギルモアは、経験経済という概念を提唱しました

経験経済においては、「コモディティから製品、サービス、そして経験へと進化するのが経済価値の本質」であり、


「コモディティは代替可能、製品は有形、サービスは無形だが、経験は思い出に残るという特性を持つ」ため、


「経験は、感情的、身体的、知的、さらに精神的なレベルでの働きかけに応えた人の心の中に生まれる」と述べています。


さらに、経験経済の「需要の源は感動である」と述べており、


その実現に向けた手法として「4Eフレーム(4E領域)」を提唱しています。

Entertainment(娯楽):感じる
Educational(教育):学ぶ
Esthetic(美的):いる
Escapist(脱日常):する

なるほど、経験経済のその先、変革経済はRIZAP的な自己変革を、買い手である変革志願者である「自分が主人公になる」のをガイドするサービス化するのか。


感動研究の事例論文集まとめ

Wholisticな感動を研究した学問が今までなかったが、


音楽、文章、生活環境、スポーツ観戦、プロダクト、ストーリーなど、感動事象が何らかの分野に、研究があり、其々下記のような研究がある。


音楽聴取における感動

音楽、スポーツなどによる感動体験の研究  NHK放送技術研究所の大出訓史らは、「音楽聴取における〝感動〟の評価要因:感動の種類と音楽の感情価の関係」という論文の中で、


放送によって視聴者に感動を与えることを目標に、音によって生じる感動とそのプロセスについて検討しています

音楽による感動体験

Strong Experiences with Music(『音楽の強い体験』)、 Handbook of Music and Emotion(『音楽と感情のハンドブック』) などの著作のあるトロント大学のアルフ・ガブリエルソンらは、

1000人近い人々に対し音楽経験に関するアンケート調査を行い、音楽に深く感動した様子についての調査をしています。


その結果、「音楽による感動体験」には七つのカテゴリーが影響しているとしています。七つとは、

1:一般的な性質(General Characteristics)
2:身体的反応(Physical Reactions)
3:行動(Behaviors)
4:知覚(Perception)
5:認知(Cognition)
6:感覚(Feeling)
7:感情(Emotion)です。


文の感動

鳥取大学の端大輝らは、「感動を与える文の自動取得と分析」という研究を行っています。


その結果、感動を与える文中には、「人生」「人々」「幸福」「友情」「青春」「恋愛」といった特定の単語が数多く出現していことを示している。


リビング環境においての深い感動

北陸先端科学技術大学院大学の石川智治らは、「リビング環境において〝深い感動〟を喚起させる『場』の実現方法の検討」という論文で、「体感させること」「フレームレス」、「音源に含まれる音が体に直に触れること」が重要と示した。


早稲田大学の押見大地らは、「スポーツ観戦における感動場面尺度」という研究を行っています。


スポーツ観戦における感動

プロスポーツの維持や拡大を目的として、スポーツ観戦における感動場面を因子分析し、八つの因子を求めています。

1:共鳴・一体感場面
2:スタジアムライブ観戦場面
3:ドラマ的展開場面
4:卓越したプレー場面
5:劣勢からの活躍場面
7:懸命な姿場面、ヒューマニティ場面、
8:付加的要素場面


感動の要因は「驚き」と「共感」

慶應義塾大学の松岡由幸らは、「タイムアクシス・デザインと価値成長デザインモデル」という講演論文の中で、自らの感動理論について述べています。


感動理論では、哲学、美学、心理学、記号学における感動の分析を行っています。


その結果、感動の要因は「驚き」と「共感」。


驚きは対象の新奇性により生じる要素である一方、共感は対象の機能の意味理解と有利性をユーザが感じることにより生じる要素であるとしている。


東洋大学の戸梶亜紀彦は「『感動』体験の効果について:人が変化するメカニズム」という論文の中で、感動体験に関するアンケート調査を行っています。


その結果、感動体験がもたらす効果には、動機付けの側面、認知的枠組みの更新の側面、他者に共感し他者理解を深める他者志向・対人受容の側面があるとしています。


また、この知見によって感動のストーリーのモデルを構築しています。

また、戸梶は「感動体験の類型化に関する検討」の中で、感動の類型化の基準を示しています。


すなわち、

1:文脈の有無
2:感動対象との関係性(主体-客体)
3:場の共有とリアルタイム性


金沢工業大学感動デザイン工学研究所では、神宮英夫らが中心になって、感動の生理計測に関するさまざまな研究が行われています。


感動のSTAR分析の基盤となるシュミットの「経験価値マーケティング」

シュミットは、世の中に存在する、経験価値があると判断した成功事例を分析し、経験価値マーケティングを提案しました。


経験価値とは、製品やサービスそのものが持つ物質的・金銭的な価値ではなく、その利用経験を通じて得られる効果や、満足感のような心理的・感覚的な価値を指します。


最近流行の「エクスペリエンス」ですね


シュミットは、「心のモジュール性、すなわち、心は特化した複数の機能領域によって構成されているという考え方をすることにより、経験価値マーケティングが暗に何を示すものなのかを理解することができる」と述べています。



心は感動に呼応する部品でできているのか!なるほど。なるほど。

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エクスペリエンスがなぜ響く価値になるのか?

=心の感動モジュールが各々反応している

=つまり、心の可能モジュールが何かを解明すれば、

良いエクスペリエンス「経験価値」をリバースエンジニアリングできるようになる!



また、経験価値マーケティングの中で、経験価値は、以下の五つに分類できると述べています。つまり、感動モジュールは5つあるんじゃね?と解明したわけだ。


「戦略的経験価値モジュール:SEM: Strategic Experiential Module

1:SENSE:五感で感じた価値
2:FEEL:感情の高ぶりとして感じた価値
3:THINK:知見の拡大として感じた価値
4:ACT:体験の拡大として感じた価値
5:RELATE:関係性の拡大として感じた価値

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平山教授は「経験価値アプローチとブランド価値の本質」という論文の中で、


「消費者の経験・感情・心・精神・感覚(つまりモジュール)に働きかけ、消費者のニーズを取り入れ、最終的にブランド価値に包含し、ブランド価値を大きくして他ブランドとの差別化を図り、競争優位の確立する

つまりこういうことかなと図解

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つまり、経験という枠組み内だけでなく、感情や心を勘案することを提案していて、経験と心(感動)は、ほぼ同義。


感動創造に関しては、日経産業消費研究所がシュミットの経験価値モジュールを再定義した研究があります。


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感動のSTAR分析とは

シュミットが提案したSEMを経験価値の一つである感動に適用することを考えました。  


最初は、シュミットと同じく、SENSE、FEEL、THINK、ACT、RELATEの五つに分類することを考えていたのですが、さまざまな感動事象を分析してみたところ、


あらゆる感動は、SENSE+FEEL, THINK+FEEL, ACT+FEEL, RELATE+FEEL の四つに分類可能で、


感動だけに、感動する際には必ず最後にFEEL(感情の高ぶり) を伴っていたからです。


SENSE+FEEL:五感で感じた後に感情の高ぶりとして感動
THINK+FEEL:知見の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動
ACT+FEEL:体験の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動
RELATE+FEEL:関係性の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動

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「サービス」の感動経験分析結果

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最も多かったのは 感謝"であり、これは、サービスを与える人から、受ける人(感動主体)への行為に対して「そこまでやってもらえるなんてありがたい」と感じる感謝の思いであることがわかります。


二つ目に多かったのは 尊敬,です。感謝と同様に、サービス提供者から感動主体への行為に対し「こんなことまでやってくれるとは、サービス提供者やその会社はなんて立派なのだ」と感じる尊敬の思いです。


三つ目に多かったのは 美や快。きれいに飾り付けられた部屋や、美味しい料理に対する感動経験となります。僅かな差で発見"も多く、「このようなサービスがあるのか」というように、サービス自体から気づきを得た感動経験も多いことがわかりました。


無形のものが多いサービスとしては、“感謝,や 尊敬,のように、感動事象の主体がサービス提供者で、感動事象の対象が自己(=感動主体)の場合が最も想起されやすいことがわかります


「製品」の感動経験分析結果

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ほとんどの感動経験において、感動事象の主体はその他(=製品) であり、また〝発見〟〝美〟〝快〟の感動事象の対象は自己(=感動主体) となります。


(つまり、新しい機能や効能で今までできなかったことを実現や、新しい発見を実感でき、デザインがいけてて、スムーズに使える・買える・保存・管理可能と言える解釈。)


加えて、製品から直接、刺激や情報を感動主が入手して感動する経験が多く見られました。 〝発見〟では、感動事象の主体は製品でしたが、対象が感動主ではない場合、すなわち、製品が何かを成すことに感動した、というような客観的な視点での感動も見受けられた。


「非営利」の感動経験分析結果

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表 18 に示したのは、この分析から得られた結果の一覧です。


最も多かったのは〝達成〟という名詞でした。たとえば、試験に合格した経験や、マラソンを走りきった経験など、自分の努力が報われた経験が最も多く挙げられました。


次に多かったのは「感謝」であり、外国で見知らぬおばあさんに親切にしてもらった、などの経験が含まれていました。


次に「美」が多く、海や星空などの景色を見て美しく思った、という経験が挙げられていました。「美」に関連して '発見"も多く、空がこんなに美しいことに気づいた、を初めて経験した場合が多く挙げられていました。


発見"についで多かったのは "つながり"でした。子供が産まれたなど、家族が増えたことに関する経験が多く挙げられていました。


感動事象を見てみると、興味深い特徴が見られました。「達成」という感動事象の場合には、主体が自己(=感動主)であることが多く「感謝: では感動事象の主体が常に他者でした。次に多い「美」では、感動事象の主体が常にその他となりました。


これらより、非営利型の感動経験の場合には、感動事象の主体の三種それぞれに、特徴的な感動のしかたが対応していることがわかります。


営利、非営利の感動の違いは?

他者が主体となるサービスに関する感動経験の場合には、サービス提供主に対する感謝を感じることが多いことが特徴として挙げられます。


これは、「ここまでしてくれるのか」といった驚きが感謝につながるものと考えられます。


前述の坂本元教授らの調査においても、きめ細やかな気配りのあるサービスに最も感動した、と回答した人が多いことが報告されており、今回の分析結果と一致します。


また、製品が主体となる感動経験では、製品の性能に対する 発見"を感じて感動する場合が多いことも明らかになりました。これは、今までできなかったことを可能にする製品に対しての感動が多いからであり、サービス主と製品が感動事象の主体となっていることがわかります。


営利型の感動経験では、自己が感動事象の主体となることが少ない点も特徴です。


これらの結果より、営利型·非営利型の違いは、想起されやすい感動経験価値モジュール、感動事象の主体に影響すると考えられます。すなわち、今回の感動分析は、感動経験の特徴を捉える際、有効であることを示しています。


結果の応用

製品やサービスの新たな感動経験価値を付加することも可能であると考えられます。


たとえば、製品やサービスの設計の際に、想起されやすい感動経験価値モジュールを強める仕組みを作ることや、今まで製品では感じられなかった感動経験価値モジュールを積極的に取り入れることで斬新さをアピールするなどの方法が考えられます。


今回の研究の目的は、あくまでSTAR分析によって、場や対象の違いによる感動の違いを分析できることを示すことにあり、大量のデータを分析し、その違いを定量的に示すことではありません。


実際に、ライバル企業ごとの違いや、場の違いによってどのような感動の違いが生じるのかを定量的に示すためには、STAR分析を用いて、大量のデータを分析する必要があります。


分析を用いたストーリーの研究

要するに物語上の何で感動するのかを分析した結果が記されている。

映画を縦軸に時系列、横軸に、STAR分析でチャート化する

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其々の説明は下記の通り:「感動の要素」が感動の因数分解なので重要

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漫画のプロット制作時にも使える。

下記は手順説明の参考例

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集計結果サンプル

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アナ雪での事例

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千と千尋での事例

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SENSEとRELATEは、いずれの作品でも、人として感動するポイントが共通している傾向があり、逆にTHINKとACTは人それぞれで異なる傾向がある。


STAR分析を用いたデザインの研究

ホッピー消費者の実際の声や、ユーザーとの会話の中で得られた情報を基に、感動経験価値を分析した結果、

・「RELATE」 に関する感動経験価値を多く感じ、
・「語りたい」「語って欲しい」のように「語る」

という欲求があることが判明。

そこで、ホッピー消費者に適した感動経験価値を創造するため、感動経験価値の構造に従い、

・ホッピー消費者は○○を語ると(RELATE の)感動を感じる」と定義し
・コンセプトを「ホッピーで語る」と決定

コンセプトに基づき、専門家に web ページのデザインを依頼。Before/Afterが下記。

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STAR分析を用いて設計したページはユーザー目線に立ち、少なくとも消費者の感動という視点から見ると、後者の方が有効であることが見て取れる。


A/B testの結果、後者の方が、「心が温まる」「魅力を感じる」「応援したいと思う」「心地よさを感じる」「つながりを感じる」「前向きさを感じる」「愛着を感じる」「心を動かされる」の八項目で高評価

つまり、STAR分析が製品やサービスの設計時にも利用できる可能性を示すことができる。


上記の感動を呼ぶビジュアルの話と、実際にWEB上でのCTR,CPAなどはまた別問題なので、今後の課題になりそうだ。感動したらクリックするのか!?


アイデアと応用

ただ、どの感情に訴得るのかを制作者の経験と勘に頼らず、サイエンスにした感情分析は利用に値する。感動させるクリエイティブを、自然言語処理での単語チョイスのパラメーター化でスライダーなどで調整すると言語選定され、図やデザインををGANでAI自動生成できたら面白い。


感動経営のヒント

毎週木曜日の昼にBBQをする北欧風インテリアの会社:DloFre's


駐車場だった場所を自社でリノベーションした空間。
ミーティングルームとしてクリエイティブな時間を創造するテラス。
毎週木曜日はドロフィーズスタッフでBBQを実施しています。

丁寧な暮らしのヒントが見つかるワークショップも開催している。


DloFre'sのミニマルデザイン

・ものを長く大切に使う
・あきのこないシンプルなデザイン
・環境や自然と共存する
・顔の見える関係を大事に
・地域とのつながりを育む


STAR分析は以下に応用が可能

1:イベント・事象での感動体験をデザイン
2:会社のありたい姿・在り方、提供価値の感動体験デザイン
3:個人のありたい姿・在り方、提供価値の感動体験デザイン
4:サービス・プロダクトの感動体験デザイン


Dlofre'sのSTAR分析事例:「BBQイベント」

S:美味しい食事や、美しい敷地のデザイン
T:時間内に終わらせるため、どうしたらよいかを考える。皆と協業するにはどうしたらよいかを考える
A:協力し合いながら作る
R:その場にいた人たちとつながり合い、達成感を味わう


Dlofre'sのSTAR分析事例:「会社そのもののあり方、社長個人のあり方」

S:美しい村の景色を生かした開発
T:自らの使命に気づき、人や社会の役に立つためにどうしたらよいかを考える
A:正しいと思ったことを、コツコツと実行する
R:土地や地域の人々、社員たちと深い関係性が生まれる


Dlofre'sのSTAR分析事例:「見学サービス」

S:美しい景色と建物一
T:蓬台さんのストーリーを聞き、組織の幸せ、人の幸せについて考える
A:一時間のBBQ体験。トップダウンではなく、ホラクラシー的に、皆で皆のことを考えながら成し遂げる
R:ビジターでありながら、仲間として扱ってもらえる。帰る際は、社員総出で手を振り見送ってくれる

体験ギフトを送るサービスのSTAR分析

ハーバードの研究によれば、相手に送ることが幸せになる。

幸せは金で買える研究=お金で相手に贈り物をすれば自分が幸せになる研究で、自分にお金を使うよりも、他者へ贈り物をすると幸せになった、それは額によらない。

以下は、体験をギフト化するサービス事例でSTAR分析

■贈る側
s:パッケージの装飾や、体験ギフトのカタログのおしゃれなデザイン
T:相手が「どんな体験をするのだろう」「どんな体験だったら喜ぶのか」と考える
A:実際に相手に贈り、贈った相手のリアクシ
ンを得る
R:体験そのものとの関係。贈り主との関係性
■贈られた側
s:贈られた体験の光景を想像する
T:どんな体験をしようか、どの体験が自分に合っているかについて考える
A:実際に体験してみる
R:体験先で出会った人と、同じ体験をした人の関係性が生まれる。贈り主との関係性が深まる

「モノを贈り、贈られる」ことで生まれるストーリーに比べ、「体験する」という行為を挟むだけで、感動ポイントが大幅に増えると考えられる


特に、THINK の部分は、モノを贈る場合よりも「体験をしたらどう感じるだろう」と想像しやすいし、ACT も、モノをもらうだけの ACT と比べ、体験自体がACTで、そのもののインパクトが大きくなるでしょう。


モノが満ち溢れた時代だからこその感動

物が溢れているほど、人々は、心動かされる「ストーリー」と「体験」を求める。感動を売るるためには、「送る側が、受取り側が感動することを作り届けられる」ことが原点とわかる。

本書ではSTARのマトリョーシカという表現されているが、幸福も総量の積上げならば、感動も積上げで、つまり、全て(人・サービス・商品・会社etc)も全てSTAR分析上の要素を積み上げておく必要がある。その体験全てが積み重なり人の感動になる。


個性が響き合う社会へ

正解のない時代を生きるのに「ミュージカルを共創」するNPO.


100人でミュージカルを作るので、正解はないし、安心して自己開示できたり、できなかったり、価値観でぶつかり、泣き、喜び、多様性を分かち合い、成長、達成していく。これだけで強烈な物語だ。


ストーリーの中には「白黒はっきり分けられないことがあるんだ」という意味合いのフレーズが出てきます。なので多様性で納得解を導き出していく。指導にプロは一切入らないらしい。サポートは20−30人程度の過去の経験者ボランティアスタッフ。

全くの素人がたった一〇0日間で、一から作り上げているということ自体に、そして、共に歩んだものにしか詳細はわかりませんが、百人百様のドラマがあるということに、STARマトリョーシカが溢れていました。


STAR分析してみましょう。


1参加者
S:音楽、衣装の美しさ
T:ダイバーシティ&インクルージョン、どうしたらうまくいくかを考える
A:歌う、演じる、踊る
R:参加者同士の深いつながり、観客とのつながり


|ミュージカル 「A COMMON BEAT」
S:圧倒的な迫力のミュージカル
T:社会的な意義を考える、大きな愛
A:各地で一O○日間のプロジェクトを開催する
R:全国各地に参加者たちとの関係が生まれる。社会とつながり合う

コモンビートに参加する人たちやコモンビートの団体としての仕組み、ミュージカルの内容そのものもSTAR構造となっています。さらには、コモンビートが団体として成長してきたプロセスにも、STARの要素が含まれています。STARマトリョーシカの入れ子構造は、なんてすてきなんでしょう。


ポイントだけを抽出してまとめたが、インサイトフル過ぎて何度も読んで理解を深めたい。


感動を解釈

この本を読んで感動は「知る」、「分かる」、「理解する」ことから始まると感じた。知りわかれば行動・感動しやすい。

無知の対象には感動しにくいしできない

多少なりとも知っていることで、些細なことでも、色々な感情・感動が動きやすくなり、STAR内の各要素が発動するのではなかろうか。


読了有難うございます!もし良ければTwitterをフォローいただけたら嬉しいです!https://twitter.com/hirocy_vision