映画『ウェンディ&ルーシー』
2008年/製作国:アメリカ/上映時間:80分
原題 WENDY & LUCY
監督 ケリー・ライカート
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
殆ど所持金を持たないウェンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は、愛犬のルーシーと共に仕事を求めてアラスカを目指している途中、オレゴンのスモールタウンにて車が故障して足止めされてしまう。
そして不運は重なり、ある出来事がきっかけでウェンディとルーシーは離れ離れになってしまい……
レビュー
80分程のコンパクトな作品。
家族(人間)やセーフティネットの支援を望めない主人公の、家族(犬)と家(車)を守るための奮闘を主軸に、人間と、人間の作り出したシステム(「資本主義」等)についての不備と課題を、鋭い視点で描く傑作。
また主人公と、主人公に接する人々の心機微を第三者視点にてリアルに捉えつつ、主人公の日常行為に関しては主観視点にて丁寧に汲み取ることにより、鑑賞者と主人公との感情を親密に結び付けてゆくライカート監督の手腕は、心に残る効果を発揮している。
ちなみにライカート監督は本作で知り、一撃でファンとなり今に至る。
メモ①
冒頭からタイトル表示までの数分間にて、いきなり心を掴まれました。
特にその流れにおける音響の構成、
①ウェンディ(主人公👧)のハミング
②ルーシー(🐶)を呼ぶウェンディの「ルーシー?」「戻っておいで」「どこに行ったの?」という台詞(ラストで意図がわかる仕組み)
③環境音
は素晴らしく、鑑賞後はラストの流れと共に、忘れられない記憶にとなりました。
メモ②
一見「正論」に聞こえる、日本でもよく聞く「おかしな論理」が印象的に紹介されており、よくぞ描いてくれたと胸が熱くなりました。
スーパーの店員(青年)の「(自分の)犬にエサも買えないなら犬を飼うべきじゃない」という発言は、『フロリダ・プロジェクト』のとあるシーンの発言と同じ冷酷さを放っており、とても興味深いです。
メモ③
映画内に登場する小説
●『Sometimes a Great Notion』 Kenneth Elton Kesey
・オレゴンが舞台。
・Kenneth Elton Kesey(ケン・キージー)は、『カッコーの巣の上で』の原作者。
メモ④
主人公のハミングの曲は、スーパーのBGMとしても流れていた。
ウェンディがルーシーを強く想っているときに口ずさむような感じもした。
ということはこの作品は、オープニングから既にウェンディの回想⁉
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