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顧問税理士が知っておくべきM&Aの会計・税務~(その5)経営者の手取り額を増やすための方策
経営者にとっては、事業承継によって自分の手元にいくらの資金が残るかは、大きな関心事でしょう。
経営者の手取り額は、譲渡対価(株式売却額または事業譲渡額)から税金費用や仲介会社等への手数料を差し引いた金額ですが、譲渡対価は事業価値をもとに買い手との交渉で決まるものであり、売り手である経営者の一存で決められるものではありません。
一方、税金費用の決定要因となる事業承継スキームについては、売り手である
顧問税理士が知っておくべきM&Aの会計・税務~(その4)事業承継の手法
会社の事業を承継先に移転するには種々の方法があり、どの方法を採用するかは基本的にはFAが検討する事項ですが、税金面について顧問税理士として意見を求められる場面も出てくるので、この点も抑えておくべきでしょう。
実務上よく使われるのは、株式譲渡と事業譲渡です。今回は、両手法の概要と経営者の視点から見た税務面の差異について解説します。
1.各手法の概要(1)株式譲渡の概要株式譲渡は、対象会社が発行す
顧問税理士が知っておくべきM&Aの会計・税務~(その3)取引価額とは?
今回は取引価額について解説します。株式譲渡を前提とすると、取引価額は専門用語では“株式価値”と言います。企業価値と書かれた出版物も散見しますが、本稿では“株式価値”を用いることとします。
株式価値の算定手法は様々ありますが、中小企業のM&Aでは、時価純資産額にのれんとして営業利益の3年分程度の金額を乗せた金額を取引価額とすることが多いです。
なお、これは相続税評価額とは異なるものであり、M&Aで
顧問税理士が知っておくべきM&Aの会計・税務~(その2)M&Aにより経営者が受け取る金額とは?
顧問先の経営者から、「先生、うちの会社を売ったらどのくらい入ってきますか?」と質問されたら、どのように答えるべきでしょうか?
M&Aによる事業承継を検討するに際して、従業員の雇用や取引先との関係の継続も気になるポイントですが、経営者の引退後の生活を考えるとM&Aによってどのくらいの手残りがあるかも重要な判断材料と言え、いつこのような質問を受けるかわからないので、予め回答の準備をしておくのが良いでし
顧問税理士が知っておくべきM&Aの会計・税務~(その1)顧問税理士としての役割
はじめに平成30年度税制改正によって事業承継税制の特例制度がスタートし、一定の条件の下に贈与税・相続税の納税猶予および免除が可能になりました。しかし、この制度は後継者がいることを前提としているため、そもそも後継者がいない場合には別の手段によって会社を引継いでくれる人または会社を見つける必要があります。その手段のひとつがM&Aです。
関与先に後継者がいない場合、どのような出口戦略が考えられるか、つ
M&A契約における表明保証と保険
今回のテーマは「表明保証とその保険」です。
M&A契約における表明保証とは、一方の当事者が相手方当事者に対して、契約締結日や譲渡日などのある一定の時点における、当事者自身に関する事実及び契約の目的となる対象会社の事業の状況や法的地位、財務内容等に関する事実について、当該事実が真実かつ正確であることを表明し、保証することをいいます。
バイサイドは、クロージングに向けて財務や法務のデューデリジェン