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米国東海岸の大学院で修士取得後、西海岸でFP&A系の仕事しています。ひたすら英語で出版されている本の感想を日本語で書いているのみのブログです。(現在個人名が含まれるメールアドレスのみしか所持していないため、お問い合わせに直接対応できません、すみません)

最近の記事

読書録~金融危機下でFedを率いたBen Bernankeが振り返る21世紀の金融政策~21th Century Manetary Policy

生まれて初めて世界規模でのインフレーションを経験して、マクロ経済や金融政策の本を読みたいと思っていたので、本書を手に取りました。 著者は、Great Depressionの研究者であり、世界金融恐慌時にFedの理事長を務めたBen Bernanke氏です。 本書は、前半は20世期のアメリカのFedと金融政策の変遷を、後半は21世紀以降の経済状況の変化や、新たに行われるようになった金融政策のツールについて議論しています。 21世紀以降の経済状況の変化として挙げられていたの

    • 読書録~色々な読み方ができる物語~To Paradice by Hanya, Yanagihara

      何となく表紙に惹かれて手に取ったTo Paradiceが、とても面白い小説でした。ちょうど図書館でAudiobookと電子書籍と両方を借りることができたので、活字と音声を行ったり来たりして読みましたが、Audiobookもめちゃめちゃよかったです。それぞれの章に合わせて異なる朗読者の方が読んでいて、ラジオドラマみたいで。Audibleの評価が4.5/5と非常に高いのも納得です。 本作は3部作で、1893,1993、2093と200年に渡り、ニューヨークのワシントンスクエアを

      • 読書録~妊娠出産に関するエビデンスを行動経済学者が読み解く~Expecting Better By Emily Oster

        以前に読んだことがありましたが、2021年に改訂されたと知り、また本書を手に取りました。 行動経済学者である著書が第一子の妊活を開始した際に、妊娠に関して巷でいわれる言説の根拠となるデータを調べていき、出版に至ったそうです。 私も経済学を勉強した身として、本書の姿勢には凄く共感でき、今回も楽しく読みました。 本書はあくまで、妊娠に関して一般的に言われる注意事項について、どのような研究に基づいており、どの程度エビデンスレベルが高いものか(ランダム化実験か、観察実験か、サン

        • 読書録~現代社会構成するもの~How the world really works by Vaclav Smil

          Numbers does not lieに続く、Vaclav Smilの一般向けの著作を読みました。 現在社会の基盤が、温暖化ガスの排出、化石燃料の利用を基礎に物凄く効率的に構築されおり、脱炭素化がいかに難しいことなのか、淡々とした語り口で語られ、勉強になりました。 私が特に印象に残ったのは、食糧生産の大幅な効率性の向上です。世界の急激な人口増について、これまで衛生環境の向上や医療技術の進歩しか考えてきませんでしたが、確かに言われてみれば、そもそも食糧生産の大幅な効率性の

        読書録~金融危機下でFedを率いたBen Bernankeが振り返る21世紀の金融政策~21th Century Manetary Policy

          読書録~ニューヨークでの偶然の出会い Rules of Civility by Amor Towles

          Gentleman in Moscow Lincoln highwayの著者の小説家としてのデビュー作を読みました。 1938年、大恐慌の後のニューヨークを舞台に、中年となった主人公Katyが20代半ばの、その後の彼女の人生を影響づけたある一年を回想する形で語られる小説です。 作者は、本作が予想以上に売れたため、早めにリタイヤして著作に集中出来るようになったそう。 彼の他の作品と繋がるキャラクターやモチーフ(ニューヨークやロシア、文学作品や映画、社会階級)がありつつも、

          読書録~ニューヨークでの偶然の出会い Rules of Civility by Amor Towles

          読書録~ビッグデータの知見でつづられる自己啓発本~Don't Trust Your Guts by Seth Stephens-Davidowiz

          Everybody Lies の著者の新作を読みましたが、本作も面白かったです。 前作は、著者自身のリサーチ(Goggle サーチ)からの知見を中心にしていましたが、本作は様々なビッグデータの研究成果を紹介していく形式になっています。 著者の新作を知ったのは、たまたま以下のPodcastの著者へのインタビューを聴いたからでした。 著者は、前作のKindleのブック―マークのデータを分析し、自己啓発をテーマにすることにしたとか。他にも、本作にまつわる面白い話が沢山出てきまし

          読書録~ビッグデータの知見でつづられる自己啓発本~Don't Trust Your Guts by Seth Stephens-Davidowiz

          読書録~頭の中の声を味方につける~Chatter The Voice in Our Head By Ethan Kross

          ミシガン大学の心理学、神経科学の教授が書いた、Chatterを読みました。 自分の頭の中で繰り広げられるモノローグのうち、負の影響があるものを筆者はChatterと呼びます。 本書は、そもそもどうしてChatterが起こるのか、そしてどのような対処の方法があるのかを解説する本です。 トラウマ的な体験をした際に、それについて周囲に話したり、自分の中で反芻することは、多くの負の影響を与えるそうです。 自分の中でChtterが止まらなくなったとき、冷静さを取り戻すのに役立つ

          読書録~頭の中の声を味方につける~Chatter The Voice in Our Head By Ethan Kross

          読書録~The Lincon highway 物語の中の物語の中の物語

          Gentleman In Moscowの作者の新作、The Lincon Highwayを読みました。 私には、とっても面白く、引き込まれて読みました。 私は、凄く没頭して読めた小説にであると、作者のことを知りたくなります。まず、他の作品も読んでみたくなるし、それから、作者の生い立ちに何か作品をより理解ヒントがあるかもと考えてしまうからかもしれません。 Gentleman In Moscowを読んで作者のことを調べた時、いい意味で期待を裏切られました。何かしらロシアに関係

          読書録~The Lincon highway 物語の中の物語の中の物語

          読書録~お金や投資との向き合い方についてのエッセイ~The pshycology of Money by Mogran Housel

          投資や金融は、一般には数学的に、アカデミックの世界で導かれた理論などに基づき教えられるが、心理学的や人生哲学に考えた方がいいのではないか、という筆者の考えに基づき展開されるエッセイです。 資産形成にあたって大切なのは、まず自分の選好をよく理解することであるというのが全体を通じての主張であると感じました。 筆者のお金や生活に対する考え方が自分自身に近いため、心に響くフレーズが沢山出てきました。 筆者がお金に求めるのは、好きなタイミングで、好きな人と、好きなことをする自由を

          読書録~お金や投資との向き合い方についてのエッセイ~The pshycology of Money by Mogran Housel

          読書録~人類とWorkの関係~Work byJames Suzman

          おそらく、サピエンス全史シリーズ以来の、文化人類学的な本を読みました。狩猟、採集の生活から、現在の都市部への人口集中まで、人類の歴史におけるWorkと人の関係に関する、なんとも壮大な本でした。 狩猟、採集生活におけるWorkを、生命維持のために必要なカロリーの摂取とすると、狩猟、採集生活をしていたころの人類は、現在人よりずっとWorkの時間は少なく、ずっと余暇の時間が多かったそうです。現代人が(特にアメリカ)、1日の推奨カロリーをはるかに超えるカロリーの摂取で病気になってい

          読書録~人類とWorkの関係~Work byJames Suzman

          読書録~情報化社会を生きていく上での心得たち~The Data Detective by Tim Harford

          More or Less?というBBCのポッドキャストのホストであるTim Harford氏のThe Data Detectiveを読みました。 How to lie with Statisticsという有名な本をご存じでしょうか。 この本は、どうやって統計データに騙されないようにするか、ということを説いた本なのですが、Harford氏は、本作で、統計が、様々な科学的な検証を可能にして、沢山社会に便益をもたらしているという側面に光を当てたかったそうです。 第一章は”Se

          読書録~情報化社会を生きていく上での心得たち~The Data Detective by Tim Harford

          読書録~度々声を出して笑ってしまった Lesson in Chemistry by Bonnie Gramus

          ここ数年読む本は全て地域の図書館で電子書籍で借りており、次に読みたい本を常に複数予約しています。いつも読みたい本を探す参考にしているサイトの一つが、渡辺由佳里さんという方が運営されている「洋書ファンクラブ」というサイト。そちらで、今年読んだ中で一番面白かった小説として紹介されていたのが本書でした。 近々長時間飛行機に乗るのでその時にともっていたのですが、1章だけと読み始めたら、そのままこの週末で読み終えてしまう位、面白かったです。 1960年代のアメリカで科学者を志した女

          読書録~度々声を出して笑ってしまった Lesson in Chemistry by Bonnie Gramus

          読書録~脳神経科学の本だけど、ある意味哲学書のような A Thousands Brains by Jeff Hawkins

          ビルゲイツの書評から興味をもって本書を手に取りました。 とても思考を喚起するような本でした。 第一章は、脳神経科学の歴史とThousands Brains理論の説明。 とても分かりやすい言葉で、脳神経科学の専門家でない一般人にもわかるようにThousands Brains 理論を説明しています。 筆者は、脳は驚くほど沢山のことができる(空間の認識、言葉の理解、楽器の演奏)ことに感銘を受け、それを解明したいとずっと考えていたそうですが、 こうして指摘するまで私はそんな風に

          読書録~脳神経科学の本だけど、ある意味哲学書のような A Thousands Brains by Jeff Hawkins

          読書録~コンピュータサイエンスの知見を日々の生活へ Algorithm to Live By Brian Chritian and Tom Griffiths

          アルゴリズム思考術として日本語への翻訳もされている表題の本を読みました。 コンピュータサイエンスの文脈での重要なアルゴリズムを、日常の場面の文脈で説明してくれて、それが凄く面白かったです。 何度も耳にして、普通に使っているけど、全然理解していなかったコンセプト(キャッシュ、パケット)なんかも、なるほどそういう風になっているんだと勉強になりました。 それから、今まで別の領域の学問で聞いたことがあるようなコンセプトに、コンピュータサイエンスの視点からの説明がされて、それも目

          読書録~コンピュータサイエンスの知見を日々の生活へ Algorithm to Live By Brian Chritian and Tom Griffiths

          読書録~日系アメリカ人の強制所収容をテーマにした物語 When Emperor was divine by julie Otsuka

          日系アメリカ人Julie Otsuka氏のデビュー作である、日系アメリカ人の強制所収容をテーマにした物語を読みました。 Wikiからの引用ですが、Horizon氏のSylvia Santiago 氏のOtsuka氏の文体に対する評価ー "scrupulously unsentimental", thus "creating a contrast to the sensitive subject matter"が私の感じたことをピッタリ表していました。 私の遠い親戚にも、何

          読書録~日系アメリカ人の強制所収容をテーマにした物語 When Emperor was divine by julie Otsuka

          読書録~mRNAとCRISPRの可能性 Code Breaker by Walter Isaacson

          2020年のノーベル化学賞は、遺伝子工学の進歩に大きな可能性を拓いたCRISPRへの貢献に対して、Jennifer Doudna 、Emannuelle Charpentier の二人の女性が受賞しました。 本作は、Steve Jobsの伝記等の著作で有名なJournalistのIsaacson氏がDoudna氏を中心に、mRNA、CRISPRの研究とそれを取り巻く科学者、またCRISPR技術の進歩が突きつける倫理的な問題についても光をあてた作品でした。 Bill Gat

          読書録~mRNAとCRISPRの可能性 Code Breaker by Walter Isaacson