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読書録~人類とWorkの関係~Work byJames Suzman

おそらく、サピエンス全史シリーズ以来の、文化人類学的な本を読みました。狩猟、採集の生活から、現在の都市部への人口集中まで、人類の歴史におけるWorkと人の関係に関する、なんとも壮大な本でした。

狩猟、採集生活におけるWorkを、生命維持のために必要なカロリーの摂取とすると、狩猟、採集生活をしていたころの人類は、現在人よりずっとWorkの時間は少なく、ずっと余暇の時間が多かったそうです。現代人が(特にアメリカ)、1日の推奨カロリーをはるかに超えるカロリーの摂取で病気になっていることを思えば、狩猟、採取生活の頃の人類は一日あたり2000キロカロリーを容易に摂取し、一般的な現代人に比べ身体能力も発達し運動不足とは程遠かったことでしょう。

そして、人類の歴史の中で、この期間が一番長く、環境にかかる負荷という面から見ると、この頃の人類が一番うまく持続可能な生活をしていたといえるそうです。

また、個人間で物質的な豊かさに差がなく、社会集団のサイズも小さい彼らは、現代社会の貧富の格差や、妬みといった感情とは無縁だったそう。

もちろん作者は、そのころのような生活に戻ろうと主張するわけでは決してありません。私は、人間とWorkとの関係の変化を理解することで、現代のWorkや今後のWorkを見つめなおすヒントになるにでは、という風に解釈しました。

第一次産業革命から現在社会までは少し駆け足にも感じましたし、現代のある種の仕事を揶揄する部分は共感できなかったりもしましたが、総じてとても面白く示唆に富む本だったと思います。

普段あまり読まないジャンルの本を読むのって大切だなとも思ったりしました。

https://www.amazon.com/Work-Deep-History-Stone-Robots/dp/0525561757


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