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読書録~現代社会構成するもの~How the world really works by Vaclav Smil

Numbers does not lieに続く、Vaclav Smilの一般向けの著作を読みました。

現在社会の基盤が、温暖化ガスの排出、化石燃料の利用を基礎に物凄く効率的に構築されおり、脱炭素化がいかに難しいことなのか、淡々とした語り口で語られ、勉強になりました。

私が特に印象に残ったのは、食糧生産の大幅な効率性の向上です。世界の急激な人口増について、これまで衛生環境の向上や医療技術の進歩しか考えてきませんでしたが、確かに言われてみれば、そもそも食糧生産の大幅な効率性の向上なしに、これほど多くの人口は食べていけないなあと。そして、作付面積当たりの収穫カロリーを考えると、もう本当に物凄い効率性の上がりようなのです。。。。

それから、携帯電話からスマートフォンに至るまでにおきたような進化と、社会の脱炭素化に向けて今後起こるであろう進化を同列には語れないということも。

前者はあくまでデバイスの変化であり、それがよってたつ社会基盤(電気のグリッド、工業生産に使われるエネルギー、コンテナ船、船舶のエネルギー)は、何百年もかけて作り上げられたもので、簡単に根底から変えられるものではないと。

タイミングよく本作の後に読み始めたHanya YanagiharaのTo Paradiseという小説での近未来の描写が(*環境問題が主題ではなく、こちらは文芸小説ですが)、本作の今後我々が直面するであろう課題観と重なったりもしました。

著者の存在はBill Gates氏のブログで知り、読んでみたいと思っていたものの他の著作は大学の教科書みたいで手が出ませんでしたが、前作のNumber Does Not Lieは一般向けで読みやすく、とても勉強になったので本作も手に取りました。そして、こちらもとても読みやすく、勉強になりました。

なんと、作者は日本の食文化の変化に関する本も過去に執筆しているそうで(本作も前作も、日本のダイエットが摂りあがられています)、それもいつか読んでみたいなあと思っています。

Bill Gates氏のブログの紹介文がとてもよくまとまっています。

日本語にも翻訳されて、是非沢山の高校生や大学生が読むといいなと思ったりしました。

https://www.amazon.com/How-World-Really-Works-Science/dp/0593297067


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