読書録~脳神経科学の本だけど、ある意味哲学書のような A Thousands Brains by Jeff Hawkins
ビルゲイツの書評から興味をもって本書を手に取りました。
とても思考を喚起するような本でした。
第一章は、脳神経科学の歴史とThousands Brains理論の説明。
とても分かりやすい言葉で、脳神経科学の専門家でない一般人にもわかるようにThousands Brains 理論を説明しています。
筆者は、脳は驚くほど沢山のことができる(空間の認識、言葉の理解、楽器の演奏)ことに感銘を受け、それを解明したいとずっと考えていたそうですが、
こうして指摘するまで私はそんな風に考えたこともなかったなあと、科学者になる人ってやっぱ違うなあなんて思いながら読みました。
様々な研究が進む中で、脳細胞は機能分化しておらず、同じ仕組みのものが沢山ある、とうことが解明されます。
それが意味するのは、一見全く異なるように見えるこうした行為を一貫して説明できるような脳細胞や知能の理論があるはずだ、と、筆者たち研究グループはそうした理論を追及していき、Thousand Brains 理論に行きついたそうです。
そしてそれに基づき、そもそも何かが"Intelligent”であるとはどういうことかが説明されます。
第二章は、機械学習、ニューラルネットワークについて。第一章が知能の仕組みであるなら、現在のニューラルネットワークの延長線上に、知能の実現はないだろうと著者は言います。
現在のニューラルネットワークは、脳の仕組みとは全く異なる方法で様々なことを”判断”しているわけで、それ自体は有用だが、パソコンやICチップの進化の歴史からみるように、より汎用的な知能の実現が追及されるだろうということです。
第三章は、人間の知能について描かれます。
第三章の話は、宇宙にまで及び、中国人SF作家の三体シリーズを思い起こさせるようなスケールの話でしたよ。。。
そして、心理学で、目の錯覚とか、ヒューリスティックスを学びましたが、どんな風に自分の脳がこうしたこと引き起こしているのか、本書の理論を知り、そうした現象にちょっと違う角度からの説明が与えられた気がしました。。
とにかく全編をとおして、当たり前すぎて考えたこともなかったなということに、ずばりと迫っていく面白い本でした。
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