読書録~情報化社会を生きていく上での心得たち~The Data Detective by Tim Harford
More or Less?というBBCのポッドキャストのホストであるTim Harford氏のThe Data Detectiveを読みました。
How to lie with Statisticsという有名な本をご存じでしょうか。
この本は、どうやって統計データに騙されないようにするか、ということを説いた本なのですが、Harford氏は、本作で、統計が、様々な科学的な検証を可能にして、沢山社会に便益をもたらしているという側面に光を当てたかったそうです。
第一章は”Search your feelings” ー 情報を判断する際に自分のバイアスに自覚的であろうという注意です。
そして最終章は、”The Golden Rule Be Curious”。
最初の方の内容や、最後の締めくくりは、全体を通じて、Adam GrantのThink Againを思い起こさせました。
そして、印象に残っているのが”Rule 8 Don't Take Statistical Bedrock for Granted”。
こちらの章を読むと、信頼できる統計データが収集、公開されていることのありがたみを思い出さされます。
ギリシャの財務危機の際に、国家の統計の責任者だった方は、ギリシャの国債の状況を正確に発信しようとしために、裁判にかけられ、何度も刑務所に入れられそうになったそうです。
ここで発表される数字の状況は、国債の価値に影響し、ひいてはEUからの厳しい緊縮財政を強いられる状況を招きうるということで、凄いプレッシャーがかけられる中、その圧力に屈しなかった彼のようなヒーローのおかげで、私たちは(多くの制約条件はあるにせよ)統計情報を利用できることに感謝しないとなあと思いました。
ちなみに著者はイギリス人なので、折に触れイギリスの政府機関やら事例に触れられており、普段アメリカに拠点を置く著者の本ばかり読んでいる私は、そんなところも勉強になったりしました。
折に触れて、自分はこういう姿勢でデータに触れられているだろうか、と確認したくなる本でした。そして、注釈がとても充実しています!
https://www.amazon.com/Data-Detective-Rules-Sense-Statistics/dp/0593084594
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