夫婦喧嘩は犬も食わないと言うけれど ~河野裕子・永田和宏著「たとへば君 四十年の恋歌」のこと
日本古来の詩が歌という「定型詩」であったのには、理由があったと思うのです。
言葉には「言霊」があり、そしてそれは感情的な言葉に最も宿る、もしかすると古代の日本人はそう考えたのではないか。
僕たちの感情というものは、大体において人間関係の中で生まれるものです。愛、喜び、怒り、悲しみ、そういった感情は、誰とも触れ合うことなく一人で暮していたならばあまり生まれないものでしょう。
そう考えると、歌というものはそもそも誰かに贈り、贈られるもの、相聞歌であったのかもしれない。
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